縁
「、、で、だね、どうだろう。いつまでもキミの旅路が止まってしまうのはキミにとっても損なんじゃないか?
ここで会ったのも縁だし、私達に王都を案内させて貰えないかな?」
「私達には王都の商会にもご縁がありますのよ?
特許にあなたの名を載せて、大きな工房で大々的に作らせて、キチンとした商会から販売をする、、
こちらと違って、あなたはちゃんと対価も得られますしね?
世に流行を作るのなら王都に行った方が良いと思いますのよ」
「失礼ながら、それは伯爵様の了承を得られての言葉か?アオは伯爵家の食客なのだが。
、、他人の懐に不遠慮に手を突っ込むような真似はされない方が宜しいゾ?」
今のは挑発的だったな。
エルヴァナさんの言葉に男爵夫妻の顔色が変わったぞ?
「私は世の道理を説いているつもりだったがね、、エルヴァナは私を卑劣な泥棒のように言うのかい?」
※※
「過分な評価をイタダキ、大変光栄な事と存じます、、。
しかしワタクシも村から出たバカリの右も左も分から無い若輩の身でゴザいまして、
お世話になっています伯爵家の皆様方にごアイ拶もしないままに領都を離れるワケにも行かズ、
今は王都の伯爵様のご帰宅を待つのが肝要かとゾンじます次第でありましテ」
「、、、」
「、、いや、無理にキミを連れて行こうという話しでは無いのだよ?
私達はキミならもっと先に進んだ方が、キミの益になるのでは、とね」
「アナタ、、色々と急かしてしまっても申し訳無いわ。
ゴメンなさいね、アナタとの出会いが嬉しくて、話しを急ぎ過ぎてしまったかしら?」
「今回は出会えただけで良しとしよう。王都へ出るのなら、こちらにも一声掛けてくれれば良い」
※※
男爵夫妻を館の外まで見送って、姿が見えなくなるまで頭を下げ続ける。
これも館で習った無爵位がするべき作法だそうだ。
(随分と護衛が多かったな、、)
館の外に待たせていただろう護衛達がすぐにワラワラと集まって来て、男爵の馬車の前後を囲んでいった。
「随分と手厚い護衛ですね、、装備もしっかりしてる」
「、、そうだな」
安全な伯爵領内でする護衛の数なのかねぇ?
「アオ、すまんな」
「?」
エルヴァナさんが不意に謝ってくる。
「流石にアオも気付くだろ?、、奥方様には露骨すぎると言ったのだが、、」
ため息混じりにエルヴァナさんが気持ちを吐露する。
俺はエルヴァナさんの手を取り持ち上げて、貴族式の礼を取る。
「特に困ってませんよ?急に王都に行くだなんて言ったら、ラキネルだって困ってしまうでしょうしね」
エルヴァナさんは何か言い出そうに唇を歪めて、俺はその変顔が面白くて笑ってしまった。




