パスタマシン
パンにワインに、パスタに熟成肉、、
思いつくままに料理研究に勤しんでいた所、伯爵夫人に呼び出された。
「王都に居る旦那様にも食べさせてあげたいの」
儚げな色気を前面に押し出されて、上目使いでそんな事を言われたら、頑張るしか無いので、
記録の『保存』をする傍らで、俺はせっせと料理レシピをまとめる作業に追われていた。
「ねぇ、、奥様に直々に頼まれたからって、頑張り過ぎじゃない?」
ルーナさんが言う。
俺は顔を上げずに答える。
「、、仕事だって言われたから」
「・・・」
(パン粉とジャガイモがあるならコロッケも出来るな)
「コロッケ、、コロッケ、、クリケット?」
頭の中でコロッケでクリケットをするイメージが邪魔して、レシピが思い出せない。
俺はルーナさんが呆れたようにため息を吐いたのにも、気付かなかった。
※※
パスタマシンの作製には相当な苦労が要った。
俺はパスタマシンを使った事なんか無かったし、麺の断面がどうとかあったような?とおぼろげな記憶だったのだ。
大体どんな事が出来る、したい機械なのかを執事長と料理長を交えて話し合い、ルーナさんも居たが。
多分こんな動きで、とハンドルをぐるぐると回す動作をすると片方からスルスルと麺が出て来る、そんな夢のような機械を口頭で説明された面々は呆れたように俺を見ていた。
しかしさすが異世界チートのある世界なもんで、
館に呼びつけられた領内いちの職人は、俺の拙い説明を聞くだけで「分かった」とぶっきらぼうに告げ、
3日後には完成品を納品しに来たのだ。
異世界チートは俺だけの専売特許では無かったと思い知らされたものだ。
※※
異世界職人に感動した俺は、さらなる進化を得るためにピーラーの作製に手をつける事にした。
まあ、コロッケを作るのにジャガイモの皮むきが死ぬ程に面倒くさかったからなのだが。
俺は再度執事長と料理長と、あとみんなに口頭でピーラーがいかに素晴らしい文明の利器かを朗々と説明をし、
再び理解を得られず、、
(ちっ、、異世界の原始人共には早すぎた技術だったか)
なんて心の中で怨嗟を吐きつつ、そんな中で再度呼びつけられた職人は「、、分かった」と答えると、次の日には俺が説明した通りのピーラーが館に届いたのだ。
「素晴らしい、、異世界、、チート、、」
神の与えたもうた神器を天に掲げ、感謝の祈りをささげる。
「で、結局それって何に使うの?」
ルーナさんが良い質問をしてくれたので、さっそくキッチンでこの神の与えたもうた神器の真のちからを見せつけてくれようぞ、、
と、俺はルーナさんにニコリと微笑んだ。




