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 かつて親友だった子と出かけることを果たして、日本語ではなんと言うのだろう?

 恋人同士で出かけることはデート。

 友達や親友同士なら遊ぶ。

 知らない人や顔見知り程度なら……まぁその場合はそもそも二人で出かけるなんてことしないか。

 もちろん私は18歳未満なので使ったことはないけれど、マッチングアプリでマッチした人と初めて会う時もこんな感じなんだろうか。

 あれも恋人とは言えないし、友人というのともちょっと違うはずだ。けれど互いのパーソナリティはある程度事前に知っているという点も今の私達に少し似ている。だとすると彼女と私は今から恋人同士になろうとしているわけだ。そんなわけあるか。

 社会人や学生にとっては少なからず環境が変わり、どうしても忙しくなる4月を乗り切った、一時の安息の地としてまるでその名の通り金色に輝いて見える、しかし最近では、人を五月病へと引きずり込むどす黒い闇でしかないということが発覚した、金色とは名ばかりのゴールデンウィーク初日の午前11時。

 私はそんな金色でもなければ黒色でもない、しいて言えば頭ピンク色なことを考えながら、待ち合わせ場所である某大型書店前のバス停の椅子に座りつつ、これから来るであろうその親友だったはずの女の子を待っていた。

 駅前へ行くバスが来るのは11時10分。

 こういう時、早く来るのは私よりも彼女の方だというイメージというか経験があったのだけれど、どうやら今回はそうではないらしい。

 一応Lineを送り、「そろそろ着く」とは返ってきたので、寝坊ではないし、ドタキャンではないことは分かっているから、だとすると、準備に手間取っていたのだろうか。

 けど、失礼ながら、彼女にあまりそういうイメージはない。

 あまりに無関心過ぎると思ったことはないけれど、逆に手間をかけているなと思ったことは中学時代に一度もなかった。

 少なくとも、春ならギンガムチェックのシャツにカーキ色のボトムスでいいかと、5分で決めた私と同程度なくらいにはファッショナブルだったはずだ。酷い時は考えるのがめんどくさかったと、休日で、しかもボーリングに行くのに中学の制服で来た覚えもある(その時は流石に着替えさせた)。

 だからまぁ、忘れ物でもしているのかな。そうでなければ、少し下品だけど、お腹でも下したのかもしれない。

「待たせた……わねっ」

 そんなことを思い出しながら、大体5分ほど経った頃合いだっただろうか。

 横から見知った声が聞こえてきた。

 走ってきたのだろう、ただでさえ少ない体力も手伝ってか、肩で息をしていることが見なくても分かる。

 私は立ち上がり、肩を竦め、ちょっと意地悪な笑みを浮かべ、冗談めかした口調で彼女――嵐麗華に注意しようとした――

「もう遅いよ。麗華。これは罰金だから、ね……?」

 ――注意しようとしたのだが、そんな私の口調は疑問形へと変貌した。

 おかげで『罰金だからね』。などと言う、およそ疑問形には絶対になりえないはずの文章の例外を作ってしまった。

 だが、それもむべなるかな。

 誰だって私と同じ反応をしたに違いない。

 だってそこには。

 薄くはたかれた化粧。

 普段は流しっぱなしにされている二つに垂らされた三つ編み。

 白のインナーの上から羽織られたデニムのジャケット。

 春風に踊る、小さく花柄があしらわれたロングスカート。

 主張し過ぎず、しかし、春らしいファッションをまとめ上げる、やや厚底な革製のベージュのローファー。

 ファッショナブルだなんて、とんでもない。

 本当の本当に、本物のオシャレなファッションに身を包んだ、

 中学の時の面影など、影も形もない、とんでもなくおしゃれした、今日の、なんだ、まぁデート相手である嵐麗華が私の前に立っていたのだから。


ご一読ありがとうございました。

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