第2話:0.01ミリ秒の奇跡
「……信じるだと? 笑わせるな」
秋月は銃口を下げぬまま、豊を地下深くの「最深部」へと案内した。
そこは、重厚な鉛の扉で閉ざされた秘密のドックだった。
中央に鎮座していたのは、ボロボロに引き裂かれ、もはや動くことのない鉄の塊。この世界の豊と共に戦い、共に砕け散った**「初代ザボーガー」の残骸**だった。
「豊は、これと心を通わせていた。だが、お前が乗っているその綺麗なマシンは何だ? OMEGAの作った模造品にしか見えねえんだよ!」
秋月の怒声が響く。だが、その言葉を遮るように、要塞の天井が巨大なドリルでぶち抜かれた。
「イレギュラー……大門豊……抹消……!」
現れたのは、OMEGAの暗殺将軍**『ジャッジメント・ダイス』**。
崩れる天井。逃げ場のない地下ドック。秋月や美希が瓦礫に呑み込まれそうになったその時、豊の瞳が蒼い炎を宿した。
「秋月……美希……。俺は、俺たちの絆を『ガラクタ』とは呼ばせないッ!」
豊が叫ぶ。
「ZEROォォォーッ!!」
その瞬間、世界の時間が止まった。
【転身:0.01ミリ秒の再構築】
0.001ms: 豊の細胞がZEROのメインCPUと直結。脳波が限界まで増幅される。
0.003ms: バイク『ZERO』の全パーツが分子レベルで分解。一陣の蒼い旋風となって豊を包み込む。
0.007ms: 豊の肉体を核として、分解されたパーツが「再定着」。皮膚は超合金の装甲へ、血管はプラズマを運ぶパイプへと再構築される。
0.010ms: 最後に赤い瞳のバイザーが閉じ、全エネルギーが火花となって散った。
「なっ……何が起きた!?」
秋月が瞬きをした一瞬の間に、そこには「バイク」も「人間」も消えていた。
代わりに立っていたのは、全身を白銀と蒼のラインで縁取られた鋼鉄の戦士。
「……戦士、ZERO」
豊の声が、装甲の奥から重低音となって響く。
ジャッジメント・ダイスが振り下ろした巨大なドリルを、ZEROは片手で受け止めた。衝撃波だけで地下ドックの空気が爆ぜる。
「0.01秒もあれば十分だ。……お前を、原子レベルで解体する!」
ZEROの右拳に、次元を超えたエネルギーが収束する。
それは、この世界の仲間たちがかつて見た「ザボーガー」を遥かに凌駕する、絶対的な破壊の力だった。




