最終回:さよなら、鋼鉄の兄弟(ブラザー)
「これで……全部終わりだッ!!」
崩落する浮上要塞の最深部。豊は**【パラディン・モード】**の全エネルギーを右拳に集中させた。
対する悪之宮の巨大兵器【Σ・ゼロ】もまた、地球の磁場を狂わせるほどの暗黒エネルギーを収束させている。
「消えろ、大門豊! 貴様の魂も、そのガラクタも共にな!!」
両者が激突しようとしたその刹那。
ザボーガーのコックピットに、これまでにない穏やかなシステムメッセージが流れた。
『――大門豊の生存を最優先。……魂の再定着プログラム、最終段階へ』
「な……ザボーガー!? 何をするつもりだ!」
豊の意図に反し、ザボーガーのシートが激しく発光した。
父・大門博士が密かに仕込んでいた真の最終機能。それは、ザボーガーが蓄積した「怒り」を「生命エネルギー」へと変換し、豊の魂を肉体へと再構築して射出する**【リバース・シンクロ】**だった。
『ユタカ……サヨナラ……』
機械の声が、一瞬だけ親友のような響きを持って豊の脳裏に届く。
次の瞬間、豊の身体は眩い光の球体となって、爆発する要塞の外へと弾き飛ばされた。
「ザボーガァァァーッ!!」
豊の叫びを背に、主を失った鋼鉄の騎士は、残された全出力を暴走させ、悪之宮のΣ・ゼロへと突き刺さった。
ドォォォォォォォォォンッ!!
夜の海に、太陽が生まれたかのような巨大な光柱が立つ。
ネオΣの野望は、その光の中に完全に消滅した。
エピローグ:風の向こう側
数ヶ月後。
事故のあったサーキットの観客席に、一人の青年が立っていた。
大門豊。彼は奇跡的に「生身の人間」として、この世界に帰還していた。
傍らには、車椅子に乗った父と、兄の手をしっかりと握る美希がいる。
「……豊。あいつは、ザボーガーは、最後にお前に自分自身の『命』を譲ったんだよ」
父が静かに呟く。
豊の手には、あの大爆発の後に浜辺で見つかった、焦げ付いた**「ザボーガーのエンブレム」**が握られていた。
実体がある。手の温もりが伝わる。それは、バイクが彼にくれた、最高の贈り物だった。
ふと、サーキットの向こう側から、聞き覚えのあるエンジン音が風に乗って聞こえた気がした。
秋月と競い合い、ザボーガーと共に駆け抜けた、あの風の音。
豊は空を見上げ、エンブレムを胸に強く押し当てた。
「ああ。あいつはまだ、俺の中で走ってるよ。……これからもずっと、一緒にな」
豊が歩き出すと、空はどこまでも蒼く、チェッカーフラッグを振るかのように雲が流れていった。
【電人ザボーガー -THE GHOST RIDER-】 完
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!昭和の名作が、切なくも希望ある現代の物語として蘇りましたね。




