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第10話:遺言(メッセージ)、そして最終加速へ


 夜明け前のガレージ。

 豊の姿は、もはや陽光に透けるほど淡くなっていた。パラディン・モードへの覚醒は、彼の「亡霊としてのエネルギー」をほぼ使い果たさせていたのだ。

 豊は、眠る父の枕元に一通の封筒を置いた。そして、別室で疲れ果てて眠る妹・美希の寝顔を、そっと見つめる。

 実体があれば、その髪を撫でてやりたかった。だが、今の彼の手は、空気を切るだけだ。

「……ごめんな、美希。約束、守れそうにない」

 豊はザボーガーのコンソールに向かい、一言だけボイスレコーダーにメッセージを残した。

『――美希。俺の分まで、父さんを頼む。お前が笑っている世界を、俺は守りたかった』

 豊は、パラディン・モードの輝きを放つザボーガーに跨った。

 これが、最後の「チェンジ」になる。そう直感していた。

【最終決戦地:ネオΣ浮上要塞】

 湾岸の海上に姿を現した、ネオΣの巨大浮上要塞。

 世界中のネットワークをジャックし、人々の意識を奪おうとする悪之宮に対し、一筋の蒼い閃光が海面を駆ける。

「悪之宮……ッ!! 貴様の野望も、ここで終わりだ!」

 要塞から放たれる無数の迎撃ミサイル。

 だが、今の豊には迷いはない。**【三連機トリプル・ドローン】**がザボーガーの周囲を旋回し、完璧な防御陣形を敷く。

 

 ヘリキャットがミサイルを撃墜し、マウスカーが要塞の外壁を爆破、シーシャークが内部の電源系を断つ。

「無駄だ、大門豊! 貴様の魂はもはや限界のはず。戦えば戦うほど、貴様はこの世から消滅するのだぞ!」

 要塞のスピーカーから悪之宮の嘲笑が響く。

「消えるのが俺一人で済むなら、安いもんだ! 俺の命は、最初からあの日、ザボーガーに預けてあるんだよ!!」

 豊は要塞の心臓部、巨大な重力炉へと突入する。

 そこには、悪之宮自身が乗り込んだ超巨大機動兵器**【Σ(シグマ)・ゼロ】**が待ち構えていた。

「来い、亡霊ライダー! 貴様の『怒り』ごと、虚無の彼方へ葬ってやる!」

 ついに始まった、最終決戦。

 豊の身体は、加速するごとに粒子となって散り始めていた。

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