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ダンジョンマスターは神様です  作者: ひつじかい
番外編:ライラック諸島
97/191

ラビリス

2018.12.11 投稿

2020.04.11 第97部分に変更

◇ダンジョン【ボレアス温泉ダイス屋】◇


 或る夜の事。

 侵入者に気付いた俺は、目を覚ました。


「こんな時間に来るなんて、非常識な」


 着替えた所で、ラウンジに転移させられた。

 其処には、鎧を身に着けた美少女とソファに座ってコーヒーを飲んでいる美青年が居た。


「私はダンジョンマスターのラビリス。此処に居る人間達の命を賭けたダンジョンバトルを望む」


 先に口を開いたのは、鎧少女だった。

 銀の髪に青い目をした黒い肌の美少女だ。


「俺は大好(だいす)だ。で、其方は?」

「我が名はロードアーク。【アディア】の創造神にして、ダンジョンマスターの神(なり)。この地では、邪神アルカと呼ばれておる」


 そう名乗った青年は、美女へと変身した。


 何で変身した?!


「邪神アルカが創造神と言う事は、ナラ教の神は?」

「実在せぬ」

「……そうなんですか」


 ナラ教は、創造神を邪神扱いして、想像上の神様を崇めているのか。

 しょっぱい真実を知ってしまった。


「それで、何で、このダンジョンの人間達を殺したいんだ?」


 気を取り直して、俺はラビリスに尋ねた。


「貴方に言う必要は無い」

「じゃあ、受けない。帰れ」

「帰らない」


 我儘な女だな。


「じゃあ、一生此処に居れば良いさ」


 そう言うと、俺はロードアーク様に向き直った。


「此処って仮想空間ですか?」


 ダンジョンバトルの事は、マニュアルを読んだので知っていた。


「左様」

「此処から現実空間に干渉出来ますか?」

「可能だ」


 じゃあ、問題無いな。


「仮想空間に俺の部屋は在りますか?」

「其方のダンジョンを再現している」

「ありがとうございます。それでは、寝ますのでお休みなさい」


 ロードアーク様が頷いたので、俺は部屋に向かおうとした。


「待ちなさい。理由を話すわ」


 一生此処から出られないのは、やはり嫌なのだろう。

 ラビリスは漸く譲歩した。



「私は、ホーラー王国で生まれ育った。何処にでもいる普通の人間だった。でも、今から五十年ほど前、ケイモーン王国のナラ教徒共が、ホーラー王国を滅ぼした」


 戦争かな?


「死んだ私は、アルカによってダンジョンマスターに転生した。そして、DPと引き換えにホーラー王国の復活が出来る事を知った」

「え?! 死んだ人を生き返せるんですか?!」


 驚いてロードアーク様に尋ねる。


「然り」

「だから、私は、ホーラー王国復活の為にケイモーン王国人を殺して必要なDPを得た。そして、ホーラー王国を復活させた。私も含めて(・・・・・)

「え? どう言う事? お前は、今もダンジョンマスターなんだろう?」

「そう。人間だった私のコピーと言う事になる。魂がどうなっているかは分からない」


 生き返った他の人達もコピーだったりするのだろうか?


「どうして、自分のコピーを?」

「アルカに頼んで私を元に戻して貰う事も考えた。でも、ナラ教徒共がまたホーラー王国を滅ぼそうとしたらと思うと、ダンジョンマスターのままで居るべきだと思った。元通りにしたいと言う願いと両立するには、私のコピーを造るしかなかった」

「なるほど」


 でも、それって、『元通り』か?


「そうして、三十年程が経った。今から二十年位前。或る公爵家の三女が、ケイモーン王国の貴族に嫁ぐ事になった。奴等に滅ぼされた記憶は誰にも無かったから、そんな話が出ても不思議じゃ無かった」

「イヴェットの母親の事か」

「知っているの。ならば、解るでしょう? ケイモーン王家は彼女の娘イヴェットを謀殺した」

「でも、イヴェットはホーラー王国人じゃないだろう?」

「私は、三世代目まではホーラー王国人だと思っている」


 ああ。江戸っ子とかね。言うよな。「三代住まないと(略)」って。


「イヴェットは、ケイモーン王国を滅ぼそうとしている。後は、此処に居る奴等だけ」


 そうか。やっぱり、他の連中は皆死んだのか。


「理由は解った。でも、俺にメリットが無い」

「貴方は、貴方が欲しいものを要求して勝てば良い」

「俺が欲しいもの……?」


 はて? 欲しいものなどあっただろうか?

 大抵の物は、DPで手に入る。

 恋人や配偶者は、ダンジョンバトルで得るものではない。


「じゃあ、俺が勝ったら、お前がイヴェットを殺せよ」


 そう言うと、初めてラビリスの無表情が崩れた。


「私が?」

「当り前だろう。ホーラー王国人だと思っていながら、イヴェットは生き返さないつもりだったのか?」


 だとしたら、軽蔑するわ。


「そんな事は……」

「生き返せるのにアンデッドのままで居させるなんて、可哀想だ」


 恐らく死後数時間でアンデッド化したのだろうから、それ以上腐りはしないだろうけれど。


「大好。それでは、釣り合わぬ。何方が勝利しようとも、ラビリスは其れを為すだろう」

「ああ。そうですね。じゃあ、俺のDP入手用家畜を二度と要求しない事」

「……良いわ。負けるつもりは無いから」




 ダンジョンバトルが始まり、ラビリスは大好が造ったダンジョンの中に居た。

 何の変哲もない正方形の部屋だった。

 閉ざされた扉に近付こうとすると、上から何かが落ちて来た。

 ラビリスはトラップかと思ったが、違った。

 それは、人間の頭位の大きさの正方形のサイコロだった。


『サイコロを振って出た目の数だけ進めます』


 女性の声でアナウンスがあった。

 そう。これは、人間双六だ。


「運任せの時間稼ぎタイプか……。ふざけてる」


 戦闘で負けるなら兎も角、時間稼ぎで負けたら納得がいかない。

 それでも、やるしかなかった。


 サイコロを振ると、出た目の数だけ扉が開いた小部屋を通って行く。

 目的の部屋に入ると赤く光った。


『この部屋ではモンスターが出ます。倒してください』


 一本角が額に生えた兎型モンスターが転移して来た。


「行くよ。アーマル」


 身に着けているリビングアーマーの名を呼び、ラビリスはモンスターに向かって行った。




「初っ端からオイルトラップと鉄球トラップか~!」


 ラビリスの造ったダンジョンに入り、下り坂を降りている途中でオイルが流れて来た。

 それに滑って転んだ所に上から鉄球が転がって来たのだ。


「殺意が高過ぎる!」


 俺は虫に変身して隙間に避難した。

 鉄球がギリギリ通る筒状の通路でなくて良かったよ。


「はあ~……。寿命が縮みそうだよ。ダンマスに寿命無いけど」


 ダンジョンバトルで死んでも終われば生き返るが、だからと言って平気で死ねる訳じゃない。

 この後も殺意高いトラップ構成なんだろうと思うと、先に進む気が削がれてしまう。

 でも、行かなければならない。

 むざむざと、DP収入源を失ってなるものか!




 部屋が黄色く光る。


『サイコロを振って出た数戻ってください』


 赤く光る部屋が敵の出現・黄色く光る部屋は戻らなければならない。緑色の部屋では何も無い。

 次にサイコロを振れるのは、部屋を移動して一分後だった。



 部屋が青く光る。


『十五分間の休憩です』


 ラビリスは苛々としていたが、こういうダンジョンなのでどうしようもなかった。




 殺意が高い罠を殆ど飛ぶ事で回避した俺は、先へ進む扉を守るリビングアーマーと戦っていた。

 足の踏み場も無い程トラップだらけの部屋だったので、飛行魔法を使って戦わなければならなかった。

 覚えておいて良かったよ。


 でも、レベルが低く種族がサピエンスの俺の攻撃力は低い。

 因みに、サピエンスは魔法が使えないが、ダンマスは別なのだ。


「アシッドレイン!」


 酸を雨の様に降らせる魔法を使いダメージを与えているが、大して効いていない。

 このリビングアーマー、レベルが高いのだろう。




 疲労に限界を覚えた所で、俺達は動きを止められた。


「其処まで! 勝者、大好!」

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