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ダンジョンマスターは神様です  作者: ひつじかい
番外編:ライラック諸島
93/191

アンデッドVS神聖騎士団

2018.11.13 投稿

2020.04.11 第93部分に変更

◇ダンジョン【ボレアス温泉ダイス屋】◇


『王都に、アンデッドが……』

『クッ! 知っていれば、避難の必要は……!』


 モニターの向こうでは、聖職者や神聖騎士達が悔しがっていた。


 まあ、それはそうだろうな。

 王都に犯人が居ただなんて、何の為に寒い中命がけで避難して来たんだって感じだろう。死者も出たし。


「それで、心当たりは無いのか?」

『心当たりと言われても……』

『若い女で、首を切り落とされた?』

『……もしかして、処刑されたイヴェット・アンドリアメーナ?!』


 なるほど。あの傷は、斬首刑によるものか。


「その女は、何故、処刑されたんだ?」

『あ、ああ。処刑されたのは、雪が降って来た日の前日。罪状は、殺人未遂』

「この国では、殺人未遂で処刑されるのか?」

『まさか! そりゃあ、加害者が平民で・被害者が王侯貴族ならそうだけど』

『イヴェットは貴族令嬢で、アンドリ王太子の婚約者だったんだよ』


 ん? アンドリ? どっかで、聞いた様な?

 あ! 最初に死んだ男の方か!

 いや、でも、同名の別人かもしれないな。護衛もいなかったし。


「王太子の婚約者が、処刑されるものなのか?」

『普通は無いけど……』

『事件の前、アンドリ殿下には平民の恋人が出来たのだよ。それで、婚約を解消したのだ』


 貴族らしき服装の男が、説明を始めた。


『平民の娘の為に捨てられたイヴェット嬢は、プライドが傷付いたのだろう。殿下の恋人を殺そうとしたらしい。幸い、軽傷で済んだそうだが』

「なるほど。で、それは事実なのか?」


 被害者が被害を訴えたからと言って、それが本当とは限らない。


『さて? イヴェット嬢は無罪を主張していたがね』


 無罪を主張していたからと言って、それが本当とも限らない。


「国王は、よく処刑の許可を出したな。王太子の婚約者と言う事は、家柄も良いんだろう?」

『ああ。そうだ。父は公爵・母は隣国ホーラー王国の公爵家の三女だ。それから、陛下は処刑の許可をしていない。陛下は病床に在ったので、アンドリ殿下が代理を務めていたのだ』


 と言う事は、国王は避難出来ずに王都に残ったのか?


「イヴェットの父親はどうしたんだ? まさか、縁座で処刑されたのか?」

『縁座ではないが、殿下が娘の処刑を命じた事に不服を申し立てて聞き入れられなかった為、殿下を殺害しようとしてその場で切り捨てられたと聞く。……彼は、法務大臣だった』


 法務大臣か~。日本だと、大臣が死刑執行命令書だかに署名しないと処刑出来ないんだっけ?

 この国は違うのか?


 もし、娘の死刑執行命令書に署名を命じたのなら、随分な鬼畜だ。

 でも、多分、死刑囚の親を大臣のままにしたりはしないよな。アンドリに抗議した時には既に解任されていたんだろう。きっと。


「じゃあ、母親は?」

『数年前に病死したと聞いている』

「そうか」

『イヴェット嬢は魔法が使えた。氷雪系が得意だった筈だ』

「では、恐らくイヴェットで間違い無さそうだな」


 その話を聞いていた民衆から声が上がる。


『ねえ。じゃあ、アンドリ殿下の所為って事?』

『冗談じゃねえ! 色恋沙汰に巻き込みやがって!』

『殿下は何処だ!?』


 わあわあと口々に不満が溢れた。

 大丈夫? 逮捕されない?


『落ち着け。皆! 殿下は此処には居ない! 恐らく、メトポーロン王国の方へ行ったんだろう』


 アンドリを捜せと暴れ出しそうだった人々は、それを聞いて大人しくなった。

 が、それは、暴れそうなのを止めたと言う意味であって、口の方はアンドリへの恨みの言葉が漏れ続けている。


『と、兎に角、食事を再開しよう!』




 その後、食事を終えた彼等をピップは大浴場へ案内した。

 因みに、食べ過ぎで腹を痛くした者が結構居た。


 大浴場と言っても全員一度に入れるほどでは無いので、卓球台やビリヤード台の使い方を教えて遊んで待って貰ったり・ラウンジで食後のコーヒー等を飲んで待って貰ったりした。

 そして、入浴を終えた者から地下の部屋に案内した。


 地下二階が十人までの部屋。地下三階が六人までの部屋。地下四階が四名までの部屋。地下五階が二名までの部屋となっている。

 全部畳の部屋だ。

 ダンジョンなので、DPさえあれば増築も簡単。全階同じ広さにしなくても問題無い。

 そう言う訳で、部屋が足りなくなると言う事も無く、全員を収納。


 いや~。滞在DPが初日で大量に手に入るようになって、ラッキーだったな。

 これで、俺が飢え死ぬ心配は無い。眷属も養える。

 でも、外の天気は何とかしないとな~。誰か解決してくれ。




 翌朝。

 神聖騎士達は売店で購入した防寒具を着込むと、王都に向けて出発した。

 道中のモンスターにやられないか、心配。



 モニターで見ていると、一時間ほどした所で昨日の熊型モンスターの同種が現れて襲いかかって来た。

 突然の事で二人殺され、攻撃魔法を放ったものの倒せず更に二人殺され、その後三人の犠牲を出して漸く討伐出来た。


 つえ~……。流石、モンスター。流石、熊型。

 恐くて外出出来ない。




 神聖騎士達が王都に到着するまで何度かモンスターとの戦闘があり、犠牲者は三十人を超えた。

 こんなんでイヴェットを倒せるのだろうか? アンデッド特効の魔法を使えるのかな?


『居たぞ!』


 独り佇むイヴェットを見付けた神聖騎士達は、駆け寄ると魔法を放った。

 燃え盛る炎がイヴェットを襲う。


 何でだよ!? ターンアンデットとか使えよ!

 まさか、一人も神聖魔法使えないとか無いよな?!


 イヴェットを焼こうとした炎は、彼女が掲げた例の魔導具から吹き出した猛吹雪によって掻き消された。

 そして、吹雪は勢いを失う事無く、神聖騎士達の命の炎も消してしまった。


『どうして、私に気付いたのかしら?』


 イヴェットは、不思議そうに呟いた。




「食事の前に、悪い報せだ」


 夕飯を取ろうとしていた人々に、俺はモニター越しに報告した。


「神聖騎士達は、アンデッドに敗北した」

『そんな……』


 絶望の声が漏れる。


「証拠の映像記録を見せよう」


 俺は録画された映像を再生した。



『王国はお終いだ……』

『神よ……!』


 人々が絶望する様を冷めた目で見ている連中が居る。

 恐らく、神聖騎士達が勝つと期待していなかったのだろう。


「報告は以上だ」


 俺は、そう言って通信を切った。




 翌日。

 冒険者達が防寒具を購入し、立ち入り禁止のダンジョンに挑み始めた。

 イヴェットを倒す為に、レベルを上げるつもりらしい。


『は~。寒かった~』

『あったか~』


 戻って来た彼等は、室内の暖かさに幸せそうな表情になった。


『雪が積もっていないだけマシかな』

『まあ、まだ一層目だしな』


 その通り。先へ進めば、積雪が在ったり、更に吹雪いていたりする。


『飛行魔法や寒冷耐性が欲しいよな』

『全くだ』




 さて、他の人々だが、室内に閉じ籠ってばかりでは辛いだろうから、地下六階に公園を造った。

 遊歩道を散歩したり芝生に寝転がったり、やり方を教えたグランドゴルフやバドミントンやテニスをしたり、アスレチックや子供向け遊具で遊んだりしている。




 こうして、数日が経ったある日。

 侵略者がやって来た。

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