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ダンジョンマスターは神様です  作者: ひつじかい
番外編:アケビア半島
81/191

【ナツメヤシ園】

2018.03.09 投稿

2020.04.11 第81部分に変更

◇アケビア半島東部・マルティプライの街の近く◇


 私の名は、售笥(うるす)夏芽(なつめ)

 ダンジョンマスターになった私は、自分の姿を確認して愕然とした。

 だって、牛だったから。

 だから、【変身】出来ると知った時はホッとした。


 その後、ダンジョンを造っていたら、前世で幼馴染だった明豆(めいず)から『コール』が来た。

 明豆は鶏になっていた。

 鶏と言っても、チャボやブロイラーでは無かった。

 彼は、マリクと言うダンマスに勝負を挑まれ、負けてダンジョンを追い出されたと言う。

 しかも、食料リスト等を削除までされたらしい。

 その男がうちに来るかも知れないと言うので、私はダンジョン入り口を『男子禁制指定』した。

 そして、明豆に此方に来て貰い、食料を分けてあげる事になった。


 『コール』が終了してから、有る事に気が付いた。

 初めての一人暮らし……。

 此処は、治安の良い日本では無いし、ダンジョンを攻略してダンマスを殺そうとする人もいる。

 正直、怖い。

 でも、『ヘルプ』で検索したところによると、この国には外国人を除いて女性冒険者は居ないらしいし、男子禁制にしたから、きっと大丈夫だろう。モンスターも沢山召喚したし!


 一時間位後、再び『コール』が来たので出たら、明豆のドアップが映った。

 しかも、画面が暗い。

 理由を聞けば、モンスターに襲われたので、ダンジョンにしたマントに包まって蹲っているのだと言う。

 ダンジョンエリアなら敵が居れば気付けるのだと、教えてあげた。



 翌日。

 男子禁制にしたからDP入手が出来ないと気付いた。

 解決策として地上をダンジョン化した。

 しかし、この辺りに来る人はいるだろうか?

 街の近くとは言え、街道からは離れているからね。

 何か、人を集める物でもあれば良いのかな?

 でも、有名になり過ぎたら外国人女性冒険者が来る確率も上がるだろうし……。


 そう言えば、この国ではナツメヤシが良く食べられているらしい。

 人を集める物を考えて、やはり食べ物かなと思った私は、その情報を思い出した。


 そこへ、明豆から『コール』が来た。

 今度は良く見えた。

 明豆の髪色は、赤→金→黒に近い青のグラデーションだ。派手だね。


 話を聞くと、喋る猪が居たのだと言う。

 私は、【鑑定】と言うスキルを取る事を勧めた。



 『コール』を終えて、私は地表のダンジョン部分にナツメヤシを沢山設置した。

 これだけ植えれば、異変に気付いて誰かがやって来るだろう。

 ついでに、ダンジョン部分とそうでない所を区別しやすくする為に柵で囲んだ。

 あ。そうだ。『モンスター立ち入り禁止指定』しておこう。

 此処にモンスターが入らないと判れば、追われた冒険者が逃げ込んで一時間位滞在してくれるかもしれない。



 午後。

 数名の武装した男達が街の方からやって来た。

 恐らく、調査に来たのだろう。

 彼等は警戒しながらナツメヤシの間を進み、地下への入り口にやって来た。


『何だ?! 見えない壁が在るぞ?!』


 私はメニューの『モニター』で、彼等の様子を見ている。


『【鑑定】で何か判らないか?』

『……【条件を満たしているので入れない】だそうだ』

『は? 【満たしていない】の間違いじゃないのか?』

『いや。間違い無い。【条件を満たしているので入れない】だ』


 男達は暫く怪訝そうにしていたが、そう言う事もあるかと納得したようだった。


『レベル制限か?』

『そうかもな』


 残念! 違います。……ふふふ。まさか、性別制限だとは思うまい。


『後は……。このデーツだな』


 ナツメヤシを振り返って、一人の男がそう言った。


『これは、無害なのか?』

『【デーツ。ありふれた普通のデーツ】だそうだ』

『それなら、採って帰ろう』

『そうだな』


 男達は、一人一つずつ出した空の袋に入るだけ採って行った。


「良し! 一時間滞在クリア!」


 滞在者のレベルが高い程、得られるDPは多くなるらしい。

 彼等は大分強かったようで、かなりのDPを得る事が出来た。



 その夜、明豆からまた『コール』があって、今朝の猪がダンマスであった事・マリクの恩人である事・明豆に同行して此方に来る事などを聞いた。




 翌日。

 今度は揃いの鎧を着た男達と、荷車などで荷物を運ぶ男達がやって来た。

 後者の鎧を着ていない男達が、運んで来た物を地面に並べたりなどして行く。

 その間、鎧を着た男達は周囲を……特に、地下への階段を警戒していた。


 作業をしている男達はどうやら大工の様で、何かの建物を造り始めた。

 まさか、鎧を着た男達の宿舎? え? 見張りが常駐するの?!

 やばい。明豆が来るのに。どうしよう?!



 何?! 上空から敵意?!

 空飛ぶモンスターでも来たのだろうか?


 上空に敵性存在を察知した私は、地表を映すモニターを操作し、上空を映す。

 しかし、それより早く、敵はダンジョンエリアから出て行った。

 何故だろう? 偵察にしては短い様な?


 暫くして、敵は街道の方からやって来た。

 【鑑定】って『モニター』越しでも出来るかな?


 マリク:Lv38 ダンジョンマスター(マギ) ウィニク教の開祖


 出来た!

 こいつがマリクか……。


『何者か?! 此処は危険に付き、Dランク未満の者の立ち入りを禁じている!』


 え? 酷い! あ、でも、こいつ等から滞在DPが手に入るか。


『私は指導者のハシムだ』


 偽名使って、何する気?


『これは、失礼を……!』

『良い。お前達の職務なのだから』


 マリクは地下への階段を睨み付け、見張り達に話しかける。


『此処は近過ぎて危険だ。せめて、柵の向こうまで下がりなさい』

『はっ。そのように』


 私の滞在DP~!


『立ち入り禁止との事だが、貧しい者は入れてやりなさい』


 マリクはナツメヤシを見上げて、そう言った。


『但し、其処で彼等がダンジョンのモンスターに襲われても、助ける必要は無い』


 自己責任と言う奴ですか。


『はっ。承知致しました』




 翌日。

 如何にも貧しそうな身形(みなり)の老若男女がやって来た。

 彼等の目的は、勿論ナツメヤシ。

 時折、何も出て来ない事を確認するかの様に、地下への階段を見る。

 幸い、誰も階段を降りようとしなかったので、女性なら入れると言う事がばれずに済んだ。


 私は考える。

 どうすれば、怪しまれずに明豆に会えるだろうか?

 明豆がこのダンジョンに近付く事は問題無い。

 問題が有るのは私の方だ。

 どうやって、地上に出れば良い?

 ダンジョンエリア内に死角となる岩でも在れば、其処に出入り口を造るんだけど。


 寝る直前に漸く思い付いた。

 階段に屋根が在るから、死角が在るじゃん!

 良し! 問題解決!

 私は安心して眠りに着いた。



 何も解決してねえ!


 翌朝。

 起きた私は問題点に気付いて頭を抱えた。

 確かに、階段の裏は見張り達から見えない。私が地上に出る事に問題は無い。

 でも、明豆達が階段の裏へ向かったら、不自然極まりないのだ!

 何故なら、ナツメヤシも何も無いから。


 如何すれば良いんだ?!

 う~ん……。あ! トイレと言う事にすれば良いのかな?

 うん! それなら、不自然じゃない! 長くても大きい方だと思って貰える筈!


 後は、一応そっちの出入り口付近も『男子禁制指定』にしよう。

 出入り口作るのは、明豆が来る頃で良いよね。




 そうして、特に問題無く一ヶ月ほどが経ち、漸く明日着くとの連絡が明豆から入った。

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