表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンマスターは神様です  作者: ひつじかい
番外編:アケビア半島
78/191

ディバイドの街

2018.02.22 投稿

2020.04.11 第78部分に変更

◇アケビア半島南西部・ディバイドの街◇


 翌日。

 俺達はディバイドの街に辿り着いた。

 城壁に囲まれているのは、魔物対策だろう。


 因みに、ウィニクさんが同行して以降、モンスターに襲われる事は無かった。

 嫌な気配が近付いて来ても、去って行く。

 理由をウィニクさんに聞いたら、大抵のモンスターは強過ぎる相手を襲う事は無いのだと教えてくれた。

 ウィニクさんがLv72なので、襲って来ないと言う訳だ。

 しかし、人間はモンスターより感覚が鈍いので、盗賊等は実力差が判らず襲って来るそうだ。


「この国では、街に入る時はお金を払わないといけないんだよ」

「へ~。そうなんですか」


 盗賊団の根城で手に入れた金があるから、被害者には悪いが有り難く使わせて貰おう。



 街の中は、石造りの建物ばかりに見えた。

 大きくて立派な建物の屋根は丸い。ドーム状だ。

 武装した人間が多く見受けられるが、鎧に統一感が無い。

 何処かの組織に属している訳ではないのだろう。


「あんた等、盗賊に襲われなかったのかい?」


 その内の一人に声をかけられた。

 さて、どう答えよう?


「誰かが退治したんじゃないですかね~?」

「それが本当なら、こっちは商売上がったりだな!」

「懸賞金でもかけられているんですか?」

「ああ。そうだよ」


 懸賞金か……。倒した証拠が無いから、貰えないな。残念!




 宿屋を探して街の中を歩いていると、物乞いが至る所に居た。


「ウィニク教では、貧しい者に施しをすると天国へ行けるとされているんだよ」

「へ~。その割には、誰もお金上げませんね」


 たった数分しかみていないが、大勢の人が行き交っているのに一人もお金を与えていない。


「まあ、回数が指定されている訳ではないからね」


 年に一度とか、一生に一度とか?



「いらっしゃい。偉大なるウィニクを讃えん」


 宿屋に入ると、そう挨拶された。


「二人部屋お願いします」

「二人部屋だと、同性愛者だと思われるよ」

「え?! そうなんですか?!」


 ウィニクさんの言葉に、俺は驚いた。

 何で、『二人部屋に泊まる=カップル』なんだよ!


「じゃあ、一人部屋を二つ」

「金はあるのか?」


 失礼な従業員だな!

 

 俺は、金が入っている革袋をカウンターに置き、奴から見える様に中を確認する。

 勿論、宿に泊まるに十分な金はある。金貨も入っているし。


「無いので止めておきます」

「あ! ちょっと!」


 俺は、従業員の制止の声に耳を貸さず、ウィニクさんを促して宿を出た。



 二軒目。


「いらっしゃいませ。偉大なるウィニクを讃えん」

「一人部屋二つ」

「悪いが満室だ」


 満室じゃしょうがないな。


 そこへ、男性客が入って来た。


「いらっしゃいませ。偉大なるウィニクを讃えん」

「偉大なるウィニクを讃えん。……一部屋頼むよ」

「はい。空いてます」


 うん?


「どうやら、異教徒差別の様だね」

「そのようですね。ウィニクさんは、あの挨拶は?」

「あれは、旧ウィニク教の挨拶じゃないよ。旧ウィニク教の神は、僕じゃないし」

「そうなんですか?」

「うん」


 意外だった。

 自分の名を冠しているから、てっきり、自分を神とする宗教を作ったのだと思っていた。


「どうする? ウィニク教徒の振りをする?」

「いえ。野宿します」


 幸いマントのダンジョンがあるから、安全に野宿が出来る。


「ウィニクさんは?」

「僕も野宿で良いよ」




 俺達は、野宿する場所を探して歩いていた。


「そろそろ夜市が開く筈だけれど、どうする?」

「そうですね。見てみますか」



 活気のある市場を眺め、食料を買い漁るかと考えて、露店の一つに近付いた。


「いらっしゃい! 偉大なるウィニクを讃えん!」


 またか。


「一つください」

「はい! 一つね!」


 男はバナナらしき物の内、痛んでいる物を選んで寄越した。


「60銅貨だよ!」


 さっき二本買った客と同じ値段だな。


「こっちの綺麗な物が良いな」

「……120銅貨」


 更に倍になったな。

 そう言えば、街に入る時もあの挨拶されたし、ぼったくられたんだろうな。


「高いので止めておきます」


 俺達は市場を立ち去った。

 あの時、トウモロコシを手に入れる事が出来て良かった。

 ああいう奴等に金を払わずに済む。




 裏路地の行き止まりに、ダンジョンであるマントを敷き壁を設置した。

 茹でたトウモロコシとトウモロコシのスープを飲んで、さっさと寝る。


「そう言えば、マリクって、元は旧ウィニク教徒だったんですか?」


 寝る前に、ふと、昨日の話を思い出して、ウィニクさんに尋ねた。


「そうだよ」

「え~。それなのに、豚食べたんですか。しかも、腹壊したのは神罰だとは思わなかったんですよね?」

「そうだね~」

「全然、敬虔な信者じゃないですね」

「そりゃあ、敬虔な信者だったら、他の神を唯一神とする宗教なんて作らないよ」

「確かに」


 当然の事を気付かされて、納得する。


「でも、恩人が信仰する神を否定して、恩人の宗教を改変して、恩人を神にして、挙句の果てに恩人を家から追い出す心理が理解出来ないですね」

「僕も出来ない」


 あいつを理解出来たら良いなとは思えないが。


「明日は馬車乗り場を探しましょう」

「そうだね」

「きっとぼったくり価格でしょうけれど、徒歩で行きたくないから仕方ないですね」

「うん」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ