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ダンジョンマスターは神様です  作者: ひつじかい
番外編:アケビア半島
77/191

旅は道連れ

2018.02.19 投稿

2020.04.11 第77部分に変更


◇アケビア半島・???(続き)◇


「どうしたら良いと思う?」


 俺は、夏芽(なつめ)に『コール』して相談した。


『そうだな~。スキルに【鑑定】か何かがあれば、種族判ると思うけれど』

「スキルか……」


 俺は、メニューを開いて『ステータス』のタブを表示した。

 此処で、自身の姿を見たり・能力を確認したり出来るのだ。


「無いな」

『スキルリストには?』

「……あった。今のレベルで覚えられるようだ」

『良かったね』

「そうだな」



 『コール』を終えた俺は、早速【鑑定】を覚えた。

 そして、未だ倒れている猪に使ってみる。


 ウィニク:Lv72 ダンジョンマスター(猪) ウィニク教の神 状態異常:脱水症状


 神が脱水症状?!

 自称と言ったって、Lv72にもなって何で?

 取り敢えず、猿型モンスターの時の様な嫌な感じは無いし――そう言えば、マリクが来た時も嫌な感じがしたような気がする――、助ける事にした。


 え~っと、スポーツドリンクはリストに無いから、水と砂糖と塩を混ぜれば良いのかな?

 割合、知らないな。

 取り敢えず、砂糖多めに塩少々で適当に作るか。



「はい。飲めますか?」


 犬用の水入れに入れて、口元の地面に置く。

 ウィニクさんは、聞こえていないのか動かない。

 仕方がないので、スプーンで掬って口に入れてあげた。


「甘い……。水?」


 少し元気が出た様で、ウィニクさんは身を起こした。

 そして、最初はゆっくりと、次第に勢い良く経口補水液(?)を飲み尽くした。


「ああ……。幻覚じゃないようだ」

「大丈夫ですか?」

「君が砂糖水をくれたのか? 何て、良い人だろう。見ず知らずの猪に対して。……何で、猪が喋っているのに、驚かないんだい?」


 ウィニクさんは目を細めて感動した後、不思議そうにそう聞いた。


「俺もダンジョンマスターなんで」

「そうなんだ。じゃあ、此処は君のダンジョンエリアなんだね」

「まあ、そうですね。ウィニクさんは、何故此処で倒れていたんですか?」

「う~ん。それは、ちょっと恥ずかしい話なんだけどね……」




 ウィニクさんの話は、ダンジョンバトルで負けて追い出され、DP消費で飲まず食わずで生きて来たものの、到頭(とうとう)DPが尽きて……と言うものだった。


「その相手って、マリクと言う名前ですか?」

「何で分かったんだい?」

「俺もそうなんで」

「君もか~。……マリクは、何を考えているんだろうね~」


 俺は、ウィニクさんにマリクとの関係を聞いてみる事にした。


「ところで、マリクって、ウィニク教の開祖マリクと同一人物ですか?」

「うん。ダンジョンマスターに転生したんだよ」

「マリクとは、どういう関係なんですか?」

「死にかけていたマリクを助けてあげたんだ」

「命の恩人と言う訳ですか」

「まあね」


 それなのに、何故、猪(と豚)を穢れた存在としたのだろう?


「それがどうして、こうなったんです?」

「う~ん。マリクはね~。……豚を食べて死にかけたんだよね」


 食中毒か?


「だからなんじゃないかな?」


 なるほどね。恩を仇で返したのは、ウィニクさんが猪だと知ったからか。



「あれ? そう言えば、君はどうして砂糖水を出せたんだい?」


 ウィニクさんは、今それに気付いた様で尋ねて来た。


「ああ。俺、新人なんで、ロードアーク様が、ハンデ少なかったお詫びにプチサブダンジョンコアをくれたんですよ」

「良いなあ。僕は古株だからな~」


 俺も、ウィニクさんに疑問に思った事を尋ねる。


「ウィニクさんも、人間に変身出来るんですよね?」

「うん。出来るよ」

「じゃあ、何で人間として街で働いて生活しなかったんですか?」


 そう聞くと、ウィニクさんはドサッと倒れた。


「その手があったか……」


 落ち込ませてしまった。




 その後、暫くして立ち直ったウィニクさんに頼まれて、一緒に行動する事になった。

 飲食物を与える代わりに、護衛したり・この国の常識を教えたりしてくれるそうだ。


「あ。雨?」


 ポツリポツリと雨が降り始めた。


「念の為に高台に避難しよう」

「え? はい」


 避難する程の事だろうかと思ったが、俺よりこの国に詳しい人の言う事なので、従った。



 高台から、先程まで居た場所を見下ろす。

 其処では、勢い良く水が流れていた。


「この辺りでは、吸収されるより早く流れるんだよね」


 道じゃなくて川の跡だったのか?

 これって、上流だけで降ったら、気付けなくて逃げようがないんじゃ……?



 暫くして雨が止み、流れる水も無くなったので、俺達は街へ向けて出発した。

 麓まで来た時、倒れている人々を見付けた。


「溺死だね。可哀想に」


 先程の流水の所為で亡くなったらしい。


「この辺りでは降らなかったんですかね?」

「そうかもね」


 彼等をダンジョン(マント)に吸収するが、食料は持っていなかった。


「変だな。食料も水も無しに、此処まで来るものなのか?」

「盗賊に奪われたんじゃないかな?」


 独り言を言うと、ウィニクさんが答えた。


「近くにアジトがあるんだと思うよ」

「なるほど」


 此処は、未だ俺のダンジョンエリアだ。

 盗賊が居るなら、敵として存在を感知してもおかしくないが、それが無い。

 俺に敵意を向けていなければ、感知出来ないのか?


「そろそろ、人に変身するよ」


 そう言うと、ウィニクさんは人の姿になった。

 髪は白く、同じ色の口髭が生えている。

 初老だろうか? 良く判らない。マリクよりは若く見えるが。


「さあ、行こうか」

「ああ」




「殺されたくなきゃ、食いもんと金目のもんを寄越しな!」


 暫く歩いた俺達は、盗賊に囲まれて剣を向けられた。

 その存在に気付いてはいたのだが、回避出来るかは別問題だ。ウィニクさんは病み上がりだし。


 ウィニクさんの体調は、護衛出来るほど回復しているのだろうか?

 もし、そうなら、Lv72だし心配いらないと思うが……。


 そう思った次の瞬間。

 盗賊共に雷が落ちた。


「……どうして、鶏になったんだい?」


 驚いた俺が鶏の姿になった事に気付いたウィニクさんが、不思議そうにそう聞いた。


「驚くと変身が解けるんです」

「そうなんだ。レベルが上がったら、驚いても解けなくなるかもしれないよ」

「だと良いんですが」


 因みに、ウィニクさんがバリアーを張ってくれたので、余波の影響は受けていない。




 その後、盗賊団のアジトを見付けて、其処に居た連中もウィニクさんが殺してくれた。

 DPがかなり手に入ったので、少し贅沢しようかな?


「そろそろ野宿した方が良いと思うけれど、此処でする?」


 ついさっき人が殺された事件現場で? 殺したの俺達だけど。


「誰か来て、盗賊団と間違われるかもしれないので、外にしましょう」

「そうだね」



 外に出た俺は、テントを交換した。


「ウィニクさん。風下ってどっちですかね?」

「そうだね。大体、向こうから吹く事が多いかな?」

「じゃあ、こっちが風下か」


 ウィニクさんに手伝って貰い、マント(ダンジョン)の上に、出入口を風下側にして設営した。


「これは、ドワーフ製?」

「……どうなんでしょうね?」


 異世界から転生して来た事は、伏せる事にした。

 信じては貰えるかもしれないが、色々質問されるだろうから説明が面倒だ。


「それじゃあ、ちょっと早いですけれど、夕飯にしますか」

「そうだね」


 明日は、街に着けるだろうか?

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