表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/191

VSユティ

◇ユティ神国首都・ユティ神城◇


「そんなデタラメに騙されると思ったら、大間違いよ!」


 ユティは、ローダルク様の説明を信じずに吠える。


「私を、こいつ等のようなアホガキと一緒にしない事ね!」

「弱い犬ほど良く吠えるな」


 天地(てんち)がボソッと呟いた。


「誰が弱いですって!?」

「【威圧】で気絶しておいて、弱くないとか良く言えるな」

「レベルだけ高くてもね~?」


 怒りに震えていたユティは、ビシッと私を指差した。


「ダンジョンバトルよ! 私の強さを証明してやる!」

「明らかに一番弱い私で?!」


 弱者に勝利しても強さは証明出来ないのに、何を言っているんだ、こいつは?


「煩いわね! 私が勝ったら、ローダルクのメインダンジョン内への転位陣を寄越しなさい!」

「良かろう。コドクが勝利した場合は、ダンジョンキラーを回収・交換サービス終了。更に、ダンジョンエリア縮小。ダンジョンマスターとしての権限の大部分を凍結とする」


 バトル受けるって言ってないんですけど! 拒否権ください!


「何よ、それ! 不公平だわ!」

「これでもまだ釣り合わん。しかし、Lv100にも満たない人間が、我がダンジョンのコアを破壊出来る筈も無し。故に、この程度に収めた」


 敵を招き入れると言う事で釣り合わないのだろうか? それとも、ローダルク様が神祖だから釣り合わないのだろうか?


「ローダルク様のメインダンジョンって、何処にあるんですか?」

「我がメインダンジョンは、最も深く・最も広い【アディア】。【最も高きダンジョン】の最奥に入口が在る」



 聞き覚えがあるような?


「【アディア】って何だっけ?」


 私は水海(すいみ)に尋ねた。


「この世界の事だよ」

「あ、そっか。……この世界自体がダンジョン?!」


 私は驚いたが、しかし、考えてみれば、『創造神』で『ダンジョンマスター』なのだから、その可能性に気付いて然るべきだったか? 多分、水海達が驚いていないのは、その可能性を想像していたからなのだろうし。


「ん? と言う事は、もしかして、ダンジョンコアは星の中心にあるんですか?」

「左様」



「この世界が、空に見える星と同じな訳無いじゃない!」


 ユティが変な事を言い出した。


「世界は端まで真っ直ぐなの! そんな事も知らないの?!」


 私は、ドヤ顔で語るユティからローダルク様に視線を移した。


「球体ですよね?」

「然り」

「この世界って、平面説が主流なんですか?」

「否。平面説を主張するのは、一部の国や宗教だけだ」


 なるほど。一部の一例がこれか。


「この世界が平面なら、海の水はどうして無くならないの?」

「壁が在るからよ! 空は天井なの!」


 それって、ダンジョン?


「ローダルク様……?」

「【アディア】はダンジョンだが、空も宇宙も、其方等の前世の世界と変わらぬ」


 ダンジョンマスターになって、ダンジョン内に草原エリアとか造って、本物の空もダンジョン内の空と同じだと勘違いしたんだな。



「ユティよ。我が提示した条件を呑めぬと言うのであれば、転位陣の設置はせぬぞ」


 ローダルク様が話を戻す。


「厭らしいわね! 分かったわ。どうせ、私が勝つし!」


 そりゃそうでしょうね。Lv60台で私に負けたら、恥ずかしいよ。

 それはそうと、長く生きている割にはレベル低いよね。ダンマスはレベル上がり難いのかな?


「では、ダンジョン製作、始め!」



 私は、先ず最初に、ファントムだらけの部屋を造った。

 ファントムは老若男女揃えてみた。

 その先の通路は幅を狭くし、カスピコブラを配置。

 そして、目立たない様にスズメバチも配置。

 その奥の部屋には、またファントムと扉型ミミックを配置。

 そこを抜けると虫だらけの狭い通路。

 といった風に、ファントムとそれ以外を交互に配置して行った。

 ボス戦部屋には、ローグゴブリン・ローグオーク・ローグオーガ、更に罠と床石型ミミックを配置。スズメバチも目立たぬよう配置した。


「それまで! バトル、開始!」



 ユティが造ったダンジョンの外観は、ユティ神城と似ていた。

 こいつも、城好きか……。


 私は、カスタムで罠を発見したり解除したり出来るようにしたローグゴブリンを召喚して、先導させる。




 一方のユティは、慎重さが欠片も見受けられない足取りで、コドクのダンジョンに足を踏み入れた。

 彼女にとって、Lv10にも満たないダンマスのダンジョンなど、警戒するに値しなかった。

 公平を期す為にダンジョンキラーの使用を禁じられているが、恐るるに足らずとの考えは揺るがなかった。


「ヒィ~~!!」


 ファントムの群れを目にしたユティは、悲鳴を上げた。

 彼女は、(ぷりんせす)と同じく、幽霊が苦手だった。

 襲い来るファントムを半泣きで倒し、先へ進むと蛇が居た。


「ヒィ~~!!」


 ユティは、蛇も苦手である。

 ユティが蛇に気を取られている隙に、スズメバチが忍び寄った。



「そこまで! 勝者、コドク!」


 元の空間に戻った私は、水海達に尋ねた。


「どうなったの?」

「ワンパターン」

「必勝パターンって言ってよ!」


 私は、辛辣な評価を下した小雪(しょうせつ)に、異議を申し立てる。


「こんなの、ズルだわ! インチキよ! 私がLv8の邪神になんて、負ける筈無い!」

「では、ダンジョンキラーは回収。リストから削除。ダンジョンマスターとしての権限のほぼ全てを凍結」


 ローダルク様はユティの抗議に耳を貸さず、淡々と処理して行く。


「ダンジョンエリアの縮小」


 ローダルク様がそう言うと辺りの景色が変わり、私達は洞窟の前に立っていた。



「この洞窟にユティのダンジョンコアが在る」

「何処なんですか、此処?」

「ユティ神国北部。かつて、『悪魔の住処』と称された洞窟だ」

「そんな所に?」

「ゴブリン・オーク・オーガは、かつてその所業から悪魔と呼ばれていた」


 凶悪犯罪起こしまくったんだな。


「そいつ等の住処が在ったんですね」

「左様」

「聖地を『悪魔の住処』だなんて、酷い侮辱だわ!」


 洞窟に中に居るユティが憤慨して外に出ようとする。


「何で、出られないのよ!」


 見えない壁にぶつかったユティが怒鳴る。


「ダンジョンマスターがダンジョン外に外出可能であるのも、我の力あってこそ」


 それも?!


「ちょっと! これじゃあ、餓死してしまうわ!」

「安心するが良い。飲食物と衣服の交換は可能にした。DPも、暫くは持つだろう。気温も冬を乗り切れる温度にしてある。知恵を絞り、生物を呼び寄せるのだな」




◇ヒトリ島◇


 そして、私達はヒトリ島に転移していた。


「ダンジョンキラーの交換サービスを終了した為、ユティ神国をノーマルモードに戻す」

「おお……!」

「良かったね、コドク!」


 水海達が、我が事のように喜んでくれる。


「ありがとうございます」

「礼には及ばぬ。ユティの要求の高さ故」

「レベル差を覆して、勝ったからだよ~!」

「覆したと言うか……。何で、【毒耐性】のアイテム着けていなかったんだろう?」

「そんなの、考えるまでも無いでしょう? ユティが間抜けだからだよ」


 水海の言葉は辛辣だが、事実だ。


「つまり、棚ぼた勝利だよね」

「勝利には違いない」

「レベル差があるのも事実」

「ユティは、勝利の女神様も邪神扱いだから、負けたんだよ」


 勝利の女神様って、この世界にも居るのかな?


「そうだよね。素直に喜んでおこう」

「そうそう! 素直が一番だよ!」

次回はエピローグですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ