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準備万端?

◇ヒトリ島・31日目(続き)◇


「後は、島の地上を全てダンジョン化」


 悩んだが、非殺傷指定はしない事にする。


「ジャガイモ畑は……。収穫出来そう。かな?」


 居住区近くに移動させようと思ったが、収穫出来そうなので止めた。


「明日は芋掘りね」

「おう」

「解った」


 迎撃用ダンジョンは、どうしようかな?

 今の所、これで良いかな?


「後は、船を……。操縦する人が必要だ! どうしよう?!」

「マスター。動力が魔力の船とか、あるんじゃねーのか?」


 確かに、魔力で動く電化製品があるのだから、魔力で動く船もあるかも知れない。

 マツの意見を尤もだと思った私は、リストを確認してみた。

 すると、確かにあった。でも……。


「高い!」


 今のDPでは足りません!


「小舟で外洋は超えられないよね?」

「さあ? やった事ねえからなあ……」

「泳いで行ったら?」


 カシが酷い事を言う。


「無理無理無理」

「なあ、マスター?」

「何?」

「海って、ダンジョンエリアに出来ねえのか?」

「やった事無いけど、出来ないんじゃないの?」

「やってみたら?」


 マツの勧めに従い試しにダンジョン化出来るかマップで海を選択してみると、可能を表す緑色で選択された。


「出来るみたい。でも、何処(どこ)まで出来るのかな?」


 どんどん長くして行くと、やがて、横にスクロールしていたマップに別の島が見えて来た。

 ヒトリ島とその島の丁度中間辺りから、不可を表す赤色になった。

 私は、境目近くのエリアを広げ、小島を設置した。これ、浮島だそうだ。ダンジョンなので、波で流されたり等はしないらしい。

 更に、石造りの転移魔法陣部屋を設置。


「此処からなら、小舟で行けると良いな」


 仮に駄目だったとしても、【水中呼吸】で何とかなるかもしれない。

 あ! サメが居たら駄目だ!


「ん?」


 突然、その小島の隣に別の小島が出現した。

 どうやら、其処をダンジョンエリアとする誰かが造ってくれたらしい。

 これなら、大丈夫!



『やっほー。さっきぶり』


 直後、水海(すいみ)からコールが来た。


「うん。島を造ってくれたの、水海?」

『ううん。違うよ』

『俺だよ。俺。遊戯(ゆうぎ)さんだよ』


 強制コールで開いたモニターに、遊戯が映し出された。


「そうなの? ありがとう」

『どう致しまして。まあ、有料なんだけどね』

「お金取るの?!」

『皆、そうだよ』


 そのお金、何に使うんだろう?


「私、皇国のお金、持ってないんだけど」

『大丈夫。DPで交換出来る』

「通貨偽造じゃん!?」

『殺人(蜂が)も死体損壊(吸収)もしているのに、何を今更』


 ああ! そうだった~!


「まあ、そうなんだけど……。娯楽の為に罪を犯すのは、ちょっと……」

『じゃあ、両替してあげるよ』

「ありがとう」

『で、何時来る? 明日?』


 明日? 明日か~。


「ん~……。いや、まだ、次が来ると思うし」

『それじゃ、ユティが死ぬまで来れないじゃん』

「そうなっちゃうね~。は~……。ユティ、自殺でもしないかな?」


 あり得ないと分かっているけどね。

 でも、私達はユティを殺せない訳だし……。


『もう直ぐパーティーが始まるから、気を付けないとね』

『ああ。ユティがどんな行動を取るか分からないからな』


 水海が突然不思議な事を言って、遊戯が同意した。


「パーティーって、何の事?」

『その時になったら解るよ。コドクは、人質に取られない様に頑張ってね』

「どういう事?!」


 口止めでもされているのか、二人はそれ以上の事は教えてくれなかった。



「どう思う?」


 私は、マツとカシの意見を聞く。


「どうって……。ユティがマスターを人質に取ろうとするんだろう?」

「ユティにカチコミするんだろうな」


 カチコミって、殴り込みの事だっけ?


「え? でも、ダンマス同士の戦いって、ダンジョンバトルになるのに?」

「いや、マスター。今回、相手、奴隷にしたじゃねえか」

「あ、そっか! それか!」


 しかし、私は直ぐに疑問を覚えた。


「ダンジョンバトルで、人質?」


 あのロードアーク様が許すだろうか?

 公平にする為にって、ダンジョンキラーの使用を禁じたんだから。人質取ったら公平じゃないよね?


「ダンジョンバトルがどんな感じかは知らねえが」


 マツは、そこで焼酎を一口飲んだ。


「相手が合理的な行動を取るとは限らねえと思うぜ」

「……確かに」


 あの二人に、無駄に大量のDP貸してたものね。


「マスターは、人質に取られる心配より殺される心配をするべき」


 カシの言葉も尤もだ。

 ユティは、私が水海達と友達だと言う事を知らない筈なのだから。

 (プリンセス)達が教えた可能性もあるけれど。


「そうだね。でも、取り敢えず、今日はもう寝よう」



 転生後初のお風呂を堪能した私は、【浄化】で綺麗にした服を身に着けて寝袋に入った。




◇ヒトリ島・32日目◇


 翌日。

 月が変わったらしい。


<一ヶ月生存おめでとうございます。ハードモードの方だけに、特別にリストに好きなものを一つ追加します。何が良いですか?>


 ジャガイモを収穫していると、そんなアナウンスが入って入力ウインドウが開いた。

 どうしよう?


「二人共、何か欲しい物、ある?」

「酒」

「俺も」

「それは、その内皇国で買うから、モンスターとかさ」


 そう言うと、二人は考え込んだ。


「聖剣の使用には魔力が必要だから……。魔力を奪う奴!」


 何て名前だよ?!

 私、モンスター詳しくないんだよ。頼むよ~。


「油断させて倒すような……。擬態系?」

「二人共、ありがとう。具体的な名前は、水海に聞くよ」



『擬態系ね……。ミミックとか?』


 夜。コールしてくれた水海に尋ねると、擬態系の方を教えてくれた。


「ミミックって、宝箱に擬態しているモンスターだよね? 聖剣使いが宝箱なんて開けるかな?」

『開けないだろうね~。じゃあ、カメレオン型モンスターにする?』

「う~ん……。通じ無さそう……」

『コドクは、どんなダンジョンにしたいの? 虫一杯ダンジョン?』

「え?! いや、虫に拘りは無いよ!? リストに居ないからだよ!」


 そこは強く主張しておく。

 私は、寧ろ虫は苦手なんだ。


「誰も襲撃して来ないダンジョンを造りたい」

『……一部屋目を肥溜めに』

「却っ下~! 無理無理無理!」

『冗談だよ』


 と水海は笑うが、私は気付いている。

 奴は本気だった。

 多分、水海が私の立場だったら、それを実行するのだろう。交換リストにもあるし……。何故、あるんだ?


『でも、それぐらいしないと駄目なんじゃない? 生存率0%なダンジョンだって、聖剣使い達は来るかもしれないしね』

「あ~。来るだろうね」



 結局、その後天地(てんち)達まで加わってあーだこーだ話し合って決めたのは、カスピコブラである。


『蛇、平気?』

「うん。私に危害を加えないならね」


 天地の確認にそう答え、入力ウインドウにカスピコブラと入力する。


<眷族召喚リストに、カスピコブラを追加しました>




 皆にお礼を言ってコールを終え、私は早速、ボス戦部屋にカスピコブラを四匹召喚した。

 そして、部屋の四隅に穴を開け、侵入者が来たら其処に隠れて待機して貰う事にする。

 そして、ミミックメーカーをDPで交換した。

 ミミックはHPが高いので、余程魔力が多くないと、ダンジョンキラーでも一撃で倒すのは難しいだろうとの事。


 ミミックを造る前に、昨日、誰かが置いて行ってくれたユティの肖像画を元に、ファントムメーカーでユティ似ファントムを造る。

 これを見て、隙が出来ると良いのだが。


「さて、ミミックを造りますか」


 宝箱・壺・戸棚等の選択肢の中から、床石タイルを選択。

 部屋の中央に敷いて行く。

 全部に張らないのは、罠を設置した箇所にだけ張らなかったら、バレバレだからである。

 ミミックは罠の上に置けるが、そうすると罠が発動しないらしい。


 更に、メーカーの選択肢から下りの階段を選択。

 騙し絵かな?

 それを部屋の奥に設置した。


 そして、ダンジョンコア置き場への通路を、壁に偽装したミミックで隠した。

 残りDPは、約57万である。

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