絶体絶命!
番外編が十七話もありましたので
前編を忘れてしまった方は
読み返して頂けると嬉しいです。
◇ヒトリ島・31日目◇
深夜。日付が変わった頃。
私は、島への侵入者に気付いて飛び起きた。
侵入者は二人だ。
彼等は最初に中央へ向かい、途中で引き返してファンが建てた小屋に入った。
何をしているのだろう?
もしかして、別の入り口を探している?
二人は直ぐに小屋から出て、反時計回りに東部出入り口へと向かって来る。
「マツ! カシ! 起きて! 侵入者!」
私は、コールで二人を起こし、『たまご』と『にたまご』を連れて、急いでボス戦部屋に向かった。
多目的部屋から、マツの部屋への通路に入った所で、侵入者達がダンジョンに入って来た。
土が斬られる音がする。
急がなきゃ!
「マスター!」
ボス戦部屋に到着すると、カシが心配そうに私を呼んだ。
「敵は、聖剣使い!」
「とうとう、来たか」
『たまご』と『にたまご』を虫部屋の方の通路に隠し、ファントムメーカーを起動して、十体召喚した所で敵が到着した。
ダンジョンキラーで斬って崩れた土を【土掘り】で退かして現れたのは、太ったオーク女性とオーガ男性。どちらも不細工だ。
私は、二人の顔を見た瞬間、気付いた。
「先生……」
二人は、うちのクラスの担任と天地のクラスの担任だった。
どうして、以前名前を見た時に気付かなかったのかは分からない。
親密さの違いなのかも知れない。
「私の教え子でありながら、邪神になるなんて」
「【ウインドカッター】!」
姫先生の話の途中で、カシが魔法で攻撃した。
「話の途中で攻撃す」
聖剣で防いで文句を言う先生に、ファントム達が殺到する。
「ヒイッ!」
「任せろ!」
そう言えば、先生は怪談の類が苦手だったっけ。
代わりに王子先生が、普通の剣でファントムに斬り付ける。
しかし、ファントムは霊体なので、物理攻撃では通用しない。
「クソ! 【火炎斬】!」
ファントムの攻撃を受け、王子先生は、魔法を纏わせた剣を使い始めた。
その隙に、私はファントムを更に十体召喚した。
「好い加減にして!」
恐怖でキレた姫先生が、聖剣でファントムを全て斬り裂く。
余波を受け、私達の身体に切り傷が付いた。
ヤバい。カシがかけた防御魔法を、聖剣の攻撃力が上回っている。
「よくもコケに」
一歩踏み出した姫先生が、落とし穴に落ちた。
「姫!」
「ヒギャアアアアア!!!」
パラポネラに咬まれた先生の悲鳴が上がる。
「姫!」
慌てて覗き込んだ王子先生は、「毒か」と叫んだ。
「【ウインドカッター】!」
「グッ!」
カシの攻撃に耐え、王子先生は瓶を取り出すと、中に入った液体を穴の中に振りかけた。
そして、姫先生の手を取って引っ張り上げる。
「もう、教え子だからと手加減するのは止めよ!」
「そうだな。本気で行くぞ!」
落とし穴を飛び越えた姫先生が、スパイク(毒付き)の罠を踏んだ。
「ギャアアア!」
「姫!」
慌てて隣に跳び寄った王子先生も、スパイクの罠を踏んだ。
「グワアアア!」
「うおお!」
駆け寄ったマツが、ミスリルの剣を振り下ろす。
痛みの八つ当たりの様に振り回された聖剣の攻撃が、マツを切り裂いた。
「マツ!」
「【ファーストエイド】!」
此方がマツを回復する間、向こうも回復魔法を使っていた。
「おかしいわ。どうして、鎧が斬れていないのかしら?」
ダンジョン産じゃないからだよ。教えないけど。
「まさか……。聖剣じゃないの?」
姫先生は、顔色を悪くして聖剣を見詰めた。
「ユティ様が姫を騙す筈無いだろう?」
「そうよね。でも……」
ユティをそんなに信用しているなら、ユティを疑うより、自分の強さを疑ったらどうかな?
「マスター。駄目だ。血が止まらねえ!」
カシが悔しげに叫ぶ。
鎧は斬れなかった。でも、鎧で守られていない場所は、そうはいかなかった。
「マツ!」
カシがマツを回復する傍らファントムを召喚していた私は、慌てて向き直った。
「カシ……。マスターを、頼……」
「マツ!」
「先輩!」
「貴女、邪神なんだから、悲しむ振りは止めなさい。不愉快よ」
不愉快? 不愉快だって?!
「私は邪神じゃない!」
「否定したって無駄よ。ユティ様は間違わないわ」
微笑む姫に、ファントム達が襲いかかった。
でも、一時的な盾にしかならなかった。
王子先生が素早く接近し、カシの首に……。
「カシ!」
先生達が近寄って来る。
「よくも卑怯な罠をかけてくれたわね」
「邪神となった報いだ」
嫌だ! 誰か助けて!
「死んで、ユティ様に詫びなさい」
二人が剣を振り翳す。
カチカチ
スズメバチの警告音が聞こえた気がした。
「双方、そこまで!」
突如聞こえた声に、誰もが動きを止めた。
それは、絶対の強制力。
◆所持DP◆
870P
◆覚えた魔法(現在Lv8)◆
Lv1:浄化・着火・散水 Lv2:土掘り・潜水・衣類乾燥
Lv3:鑑定・耕作 Lv5:水中呼吸
◆所持品(一部)◆
懐中電灯・ローブ・オリハルコンのナイフ
【小屋】
シャベル・草刈り鎌・釣竿・餌・バケツ・タオル・タモ・盆ザル
【ボス戦部屋】
ファントムメーカー
【マツの部屋】
解体ナイフセット・ミスリルの胸当て・ミスリルの大剣
寝袋・マット・保温シート・電池式ランタン・米焼酎・粟焼酎・コップ
【カシの部屋】
樫の杖・ローブ
寝袋・マット・保温シート・米焼酎・粟焼酎・コップ
【多目的部屋】
テーブルセット(椅子四脚)・瓶(塩漬けの梅)
【ペット部屋】
猫用ベッド四つ・餌箱
【コドクの部屋】
寝袋・マット・保温シート・ラグ
ミニ七輪・オガ炭・電子レンジ(魔力で動く)・小型冷蔵庫(魔石で動く)
包丁・まな板・小型の鍋・小型のフライパン・お玉・小型の土鍋・卓上コンロ(魔力で動く)
食器セット(三人分)・ボウル・ピッチャー(飲料水入り)
塩・醤油・食用油・バター・味醂・砂糖・料理酒・酢・味噌(だし入り)
カラーボックス・ハサミ・ダイビングマスク
◆眷族(下記以外の虫は省略)◆
スズメバチ(群):眷族になった事で毒がパワーアップしている。
パラポネラ(群):眷族になった事で、毒がパワーアップしている。
キラーホーネット:スズメバチ型モンスター。幼児大。
コドク:眷族になった事で、メスは毎日卵を産むようになった。
ローグゴブリン:モンスター化したゴブリン人。
ローグオーク:モンスター化したオーク人。
ローグオーガ:モンスター化したオーガ人。
◆食料リスト(一部省略)◆
魚(塩焼き・干し魚・刺身・バター焼き・煮付け)
貝(生・バター醤油焼き)・蟹(茹で蟹)
肉(牛・豚・鶏)(ステーキ・串焼き)
コドクの卵(生・固茹で・卵焼き)
蕪(甘酢漬け)・じゃが芋・にんにく・梅・ビワ・小豆
ご飯・ラーメン・うどん・パスタ・パン
ワカメ(酢の物・味噌汁)
チョコ・ジャム




