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ダンジョンマスターは神様です  作者: ひつじかい
番外編:クリサンセマム皇国(17人) VS 聖剣使い(34人)
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【住宅展示場】

◇クリサンセマム皇国・ダンジョン【住宅展示場】◇


 ダンジョンマスターに転生して、私の名は、住居(すみい)かぐやになった。

 イージーモードのクリサンセマム皇国にダンジョンエリアを与えられ、グリーン公爵領にダンジョンを構えている。


 私のダンジョン【住宅展示場】は、文字通り住宅を展示している他に、家具や玩具の販売をしている。勿論、皇国製の物も受託販売している。


 先日、ダンジョンを視察に来た公爵の部下がプレハブ小屋を目にして、後日、災害で家を失った人達の為に仮設住宅としてレンタル契約を結びに来た。

 孤児の扱いに困っているとも聞いたので、ダンジョンに孤児院を造って受け入れた。



『マスター。【水族館】が捨て子を引き取って欲しいと』


 眷族からコールが入ったので、眷族の元に転移した。

 其処には、幼い女の子と水海(すいみ)の眷族が居た。


「御面倒おかけしますが、宜しくお願いします」

「気にしないで」


 私は、眷族に幼女を連れて行かせた。


「それにしても【水族館】に捨てるなんて、うちに孤児院が在る事知らなかったのかな?」

「どうでしょう? グリーン公爵領の領民ですから、知っている可能性もありますが……」

「知らない可能性もあるよね」


 でも、わざわざ【水族館】まで行かなくても、うちに来れば良かったのに。

 最後のサービス的な?


「まあ、どっちにしろ、【水族館】に迷惑なのは変わらないよね。水海、怒ったでしょう?」

「はい。マスター自ら、親を捜しに行かれました」

「わ~。怒ったドラゴエルフと顔を合わせるなんて、可哀相~」


 私は、心の籠っていない同情をする。


「平気なのは、ドラゴンを倒せる人か恐怖心が全く無い人ぐらいだからね」

「そうですね」


 別に顔が怖い訳ではない。【威圧】が自動発動するだけだ。

 怖がりな人だったら気絶するし、心臓が弱い人だったら止まるかもしれないけれど。

 これはドラゴエルフだけの特性では無く、竜人種でも言える事だ。


「まあ、孤児院に連れて行く手間を他人に押し付けるような人が気絶しようが、どうでも良いけどね」



 玩具売り場では、奴隷達に玩具の説明をさせている。

 彼等は、先日、ユティ教に雇われてダンジョンの情報収集にやって来た紅星帝国人だ。

 見れば、お客さんを放ってけん玉で遊んでいるのが居た。


「何やっているの?」

「マ、マスター?! いや、その、練習です!」


 けん玉にハマったのだろう。


「練習するなとは言わないけどね、お客様に気付かないのは駄目だよ」

「あ! す、済みません!」


 次やったら、けん玉禁止しよう。


「済みません。返品したいんですけど」

「はい。一週間以内でしたら、対応しております」

「え。そんな……。だって、これの所為でうちの人は仕事をしなくなったのよ!」


 それは、その人の自制心の問題だろう。


「マスター。どうします?」

「規則だから駄目です」

「ですよね~」

「貴方達がこんな物を売るから!」


 普通のプラモデルなんだけどな~。


「落ち着いてください。もし、旦那様がお客様の物を勝手に売ったり捨てたりしたら、どう思いますか?」

「酷いと思うわ」

「それと同じですよ」

「でも、これの所為で仕事しなくなって!」

「でも、酷いと思われますよ。仕事しなかった所為だなんて反省しないでしょうね。下手をすれば、捨てられたり・売られたりしたショックで病気になるかも」

「まさか!」


 捨てた人にとってはくだらない・不必要な物でも、捨てられた人にとってはそうじゃない。立派な暴力だと思う。


「もっと他の方法を試して、捨てたりするのは最終手段にするべきです」

「他の方法?」

「旦那さんのご友人に相談するとか・上司に相談するとか・ご両親に相談するとか」

「そんな事……」


 女は、何か苦手意識でもあるのか、躊躇った。


「そんな面倒な事をするより、捨てたり売ったりする方が簡単だし」


 駄目だ、こいつ。


「殴られる覚悟はありますか?」

「え? そんな事出来る人じゃありません」

「離婚される覚悟はありますか?」

「これぐらいで離婚なんてあり得ません」

「それは、貴女の希望であって、確実な未来ではありません」

「二歳児に諭される大人……」


 奴隷が要らん事を呟いた。笑いを堪えながら。


「帰ります!」


 女が駆け去って行く。


「こら」

「済みません。マスター! だって、見た目が!」


 きっと、彼女は、何処かに売るか・捨てるかするのだろう。

 それで離婚になろうが・殴られようが、私には関係無いけどね。



 後日分かった事だが、夫はちゃんと仕事していた。

 在宅仕事で、それまでだらだら長時間仕事していたのを、さっさと片付けて趣味に時間を当てていただけだった。

 二人は名主の裁定で、妻有責で離婚した。




 深夜。日付が変わった頃。


『皆! 起きろ! 来たぞ!』


 遊戯(ゆうぎ)の強制コールが入ったので目を覚ました私は、ベッドから降りて着替えた。


 聖剣使い達は、聖剣に魔力を過剰に込めてパペット型モンスターを倒しながら、奥へと進んで行く。

 本棚の隠し扉も・人形をプレートのヒントに従って置けば開く扉も、面倒臭かったのかぶっ壊して。

 そして、地下四階への階段前の扉のプレートを読まずに斬り壊して降りて行った。


『聖剣が……!』

『どういう事?!』


 上の階に戻ろうとしても、階段は壁に塞がれて戻れない。

 諦めて先に進んだ二人だったが、地下五階でモンスターハウスに入り込んだ。



「もっと先まで行くと思ったのに」


 やっぱり、レベルが下がると厳しいか。


 私は、ダンジョンから聖剣を回収して、ベッドに戻った。

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