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ダンジョンマスターは神様です  作者: ひつじかい
番外編:クリサンセマム皇国(17人) VS 聖剣使い(34人)
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【動物園】

◇クリサンセマム皇国・ダンジョン【動物園】◇


 ダンジョンマスターに転生して、俺の名は、蟲籠(むしかご)天地(てんち)になった。

 イージーモードのクリサンセマム皇国にダンジョンエリアを与えられ、パープル伯爵領にダンジョンを構えている。


 俺のダンジョン【動物園】は、地球の動物・この世界の動物・モンスターを生きたまま展示しているダンジョンだ。

 モンスターを間近で安全に見られると言う事で、来客は多い。


 触れ合いコーナーもあり、猫や犬や兎等と触れ合う事が出来る。

 今日も、家族連れで賑わっていた。

 見ていると、一人の幼女が猫の尻尾を鷲掴みにし、引っ張ろうとして崩れ落ちた。


「キャア!」


 母親らしき女が悲鳴を上げる。


「しっかりして!」

「【ヒール】」


 眷族が回復魔法をかけると、幼女は目を覚ました。


「ああ! 良かった!」

「おかあさん?」


 涙目で抱き締める母親に、幼女は不思議そうな声を上げた。


「尻尾引っ張ったら駄目だよ。痛いし、大怪我しちゃうかもしれないからね」


 俺が幼女に優しく注意すると、母親は怒りを露わにした。


「貴方達が何かしたんですか! 人間より、猫なんかの方が大事だと言うの!?」

「入り口で説明しましたよね? 此処は、非殺傷エリア指定をしています。人間だろうが動物だろうがモンスターだろうが、傷付けようとすれば気絶します」


 その上で入場しておいて、文句付けないで欲しい。


「でも、この子はまだ小さくて、そんな事解らないのよ!」

「解らないなら、貴女が守るべきでは? 他の方々は、ちゃんと子供が動物を傷付けないよう見ていますよ」

「でも、子供はちょっと目を離した隙に何をするか分からないんだから、子供は例外にするべきでしょう!」


 例外にしていないと分かった上で入場しておいて、文句付けないで欲しい。


「大きくなるまで連れて来なければ良いだけですよね?」

「子供の頃から、色んな体験をしておくべきなの!」


 気絶体験させる為に、自由にさせていたのか?


「猫や犬や兎なら、此処に来なくても触れますよね? 外なら尻尾引っ張るのも自由ですから、咬まれるなり引っ掻かれるなり体験させれば良いんじゃないですか?」

「そんな体験させる訳無いでしょう!」

「ダンジョン以外でなら守るのに、ダンジョンでは守らないってどういう事ですか?」

「こう言う施設では、施設側が客の安全を守るべきでしょう!」

「ええ。ですから、非殺傷エリア指定をして、最大限配慮していますよ。他人や動物に危害を加える人にまで配慮なんて出来ません」


 それでも、母親は納得出来ないようだった。


「だから! あの子は子供なの!」

「小さい子供だけ例外なんて、設定上無理です。小さい子供が好き勝手出来るようにする為に、安全レベルを低下させるつもりはありません」

「小さい子供気絶させて、謝りもしないの!?」


 確かに、小さい子に対してやり過ぎかな?


「申し訳ございませんでした」

「最初から、素直に謝れば良いのよ! 気絶されられた影響が有ったら、訴えてやるから!」


 ダンジョンを何処に訴えるんだろう?


「訴えるって、ユティ神国にですか?」


 途端に、空気が張り詰めた。

 肯定したら、袋叩きになりそうな雰囲気だ。


「ち、違うわ! お上によ!」


 お上に訴えて何になるんだろう?

 普通、放置するか討伐するかの二択で、討伐は祟られると思っているこの国では、放置一択なのに。

 ダンジョン立ち入り禁止令でも出して貰うのか?

 一人の子供が動物を傷付けようとした所為で気絶させられた程度の被害で、立ち入り禁止令出す程過保護な国って在るかな?


「そうですか。回復魔法をかけたから大丈夫だと思いますよ」

「フン!」


 回復魔法を信じていないのか母親は鼻を鳴らしてソッポを向くと、遊びたくて泣き喚く娘を抱えて、そそくさと帰って行った。



 因みに、現在入り口での説明は、先日奴隷になった紅星帝国人達にさせている。

 



「このモンスターを売ってくれんかね?」


 眷族に呼ばれてモンスター展示エリアに移動すると、貴族らしき男が、美しい銀狼モンスターを指してそう言った。


「申し訳ありませんが、非売品です」

「相場の倍は出す」

「お金の問題ではありません」


 お前のレベルじゃ、従えられないぞ。


「足りないと言うのか。ならば、三倍!」

「足りないなんて言っていません」

「では、何が欲しいと言うのだ!」

「非売品だと言っております」

「この美しい獣は、私に飼われる為にあるのだ!」


 ねーよ。


「これに引っ掻かれたり咬まれたりしたら、人間は余裕で死ねますから、非売品です」

「そこを何とかするのが、お前だろう!」


 しねーよ。


「皇国の法律では、モンスターの私的所有は禁じられている筈です」


 国軍は公的に持っているけどねー。空軍とか。


「狼だと言い張れば問題無い!」


 こんなデカイ狼、いねーよ。


「【鑑定】魔法はどうするんですか?」

「何とか出来るだろう?」


 出来るけど、やらねーよ。


「ところで、後ろの方々はご友人ですか?」

「は?」


 男が振り向いた先には、同じく貴族らしき男性達が二人。

 彼等がニコリと笑うと、男の顔色が悪くなった。


「モンスターの私的所有ですか?」

「このような美しいモンスターを陛下に献上もせず、ねえ」

「いや、それは……」


 言い訳出来ないよな。


「じょ、冗談だ! ほんの冗談!」

「そうですか」

「それなら良かった」


 三人は白々しく笑い合った。




 深夜。日付が変わった頃。


『皆! 起きろ! 来たぞ!』


 遊戯(ゆうぎ)の強制コールが入ったので、起き上がる。


 転移して来た聖剣使い達は二人。

 地下一階からドラゴンが出現する事に驚きながらも、聖剣で攻撃した。

 流石にドラゴンは一撃では倒せないようだった。

 わらわらと集まったドラゴン達が、一斉にブレスを噴き付ける。


「あ。良かった。ダンジョンキラーは無事だ」


 俺は、聖剣使い達が居た場所から聖剣を回収した。

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