【食の都】
◇クリサンセマム皇国・ダンジョン【食の都】◇
ダンジョンマスターに転生して、私の名は、飲食屋美味になった。
イージーモードのクリサンセマム皇国にダンジョンエリアを与えられ、マロン公爵領にダンジョンを構えている。
私のダンジョン【食の都】は、食材を売る店や飲食店が、激安店から高級店まで沢山在るダンジョンだ。
皇国各地から食材を購入したり、皇国人のお店に食材を買って貰ったりもしている。
当然、皇国に無い食材等は高値に設定した。
他に、料理教室等を開いたり、農業指導等もしている。
「キャアアア!」
悲鳴が聞こえたので見れば、オープンテラスで食事をしていたあるカップルの男性が倒れていた。
「どうして?! 誰かが毒でも盛ったの?!」
「落ち着いてください。これは、アナフィラキシーショックと言う重度のアレルギー反応です」
【鑑定】で原因が判ったので、私は周囲を宥めた。
「何それ?!」
倒れた男性の恋人が、疑問の声を上げる。
そこへ、駆け着けた眷族(医者の知識・技術をカスタムで付けた)が、補助治療薬を注射した。
「直ぐに、ダンジョン【病院】へ運んで」
「はい!」
男性が運ばれて行くと、私は、アレルギーについて説明した。
「そんな病気が……」
「詳しい事は、【病院】で聞いてください」
「はい。……私も、念の為に検査して貰おうかな?」
女性は恋人を心配して【病院】へ、私は巡回を再開した。
スーパーの一つに入ると、奴隷達が商品の補充をしていた。
彼等は、先日、神国の手先としてやって来た紅星帝国人だ。
「は~。スリルが足りねえ」
「休みの日にダンジョン【遊園地】に行けば良いよ」
「っと! ……マスター!」
私が声をかけると、彼等は驚愕して商品を落としそうになった。
「あっぶね~。吃驚させんな!」
「ごめんね? でも、驚き過ぎだと思う」
「そりゃ、一番偉い奴がこんな所に来るとは思わないからな」
こんな所って……。私のダンジョンだよ。
何なの? 本社の社長が突然支社に来た感じなの?
「ところで、【遊園地】って?」
豚獣人のおじさんが尋ねる。
「スリルある遊具とか怖がらせるお化け屋敷とか巨大迷路とか、【女神製ダンジョン訓練所】みたいなダンジョンが在る所だよ」
「死んでも死なないダンジョンか。なら、行ってみるか」
「へ~。神じゃなくても造れるんだな」
「もしかして、ユティ神もダンジョンマスターか?」
「そうだと思うよ」
私がそう言うと、三人はそれなりに驚いた様だった。
「ダンジョンは邪悪だとか言っているのにな」
「な~。ん? じゃあ、他の神もダンジョンマスターなのか?」
「その可能性はあるな」
流石に、全員ではないだろう。
ところで、店内には所々試食を置いているんだけど、貧しい人が食べ尽くそうとしていた。
……明日から、炊き出しでもしようかな?
深夜。日付が変わった頃。
『皆! 起きろ! 来たぞ!』
遊戯の強制コールが入ったので、パジャマから着替えてボス戦部屋に転移する。
私のメインダンジョンには、スライムメーカーで作った色んなスライムが居る。
ゴールドスライムやシルバースライム、オリハルコンスライムやミスリルスライム等のメタル系。
ルビースライムやダイヤスライム等の宝石系。
ジューススライムやワインスライム等のドリンク系。
プリンスライムやゼリースライム等のスイーツ系。
HPポーションスライムやMPポーションスライム等の魔法薬系。
他にも、薬草や野菜や木を生やしたスライム、肉を核にしているスライム、体内で魚が泳いでいるスライム等々。
それ等を聖剣使い達は、「何、これ?」と言いながら、聖剣で魔力を飛ばして倒して行く。
無双する為か、込められた魔力は多めだった。
スライム達は物理攻撃無効なのだが、魔力による斬撃だからか、それとも、ダンジョン特効の武器による攻撃だからか、あっさり斬られてしまっていた。
指定の料理を作らないと出られない部屋も壊され、一時間も経たない内に地下四階まで辿り着かれてしまった。
扉の注意書きを読まずに先に進んで、武器も防具もその他アイテムも、更にはレベルも失った二人は、毒の罠に掛かった。
私は、地下三階に落ちているダンジョンキラーを回収した。
「小腹空いたな~。カップ麺でも食べようかな?」
カップ麺にお湯を注いだ私は、ダンジョンキラーに目を向ける。
「蓋を押さえるには大き過ぎるか」
ちょっと残念に思いながら、私は小皿を乗せた。




