【美術館】
◇クリサンセマム皇国・ダンジョン【美術館】◇
ダンジョンマスターに転生して、私の名は、彫石美絵になった。
イージーモードのクリサンセマム皇国にダンジョンエリアを与えられ、シルバー伯爵領にダンジョンを構えている。
私のダンジョン【美術館】は、絵や彫刻等の美術品の他、写真・工芸品も展示している。
展示物は、地球の物のコピーの他、皇国や他国の人々の作品である。
絵画教室・陶芸教室等も開いている。
他に、絵具等の画材を売る店・カメラを売る店等がある。
「展示物には触れないようにお願いします」
美術館では、眷族がそうお願いしている。
お客さんの多くはそれに従っているけれど、偶に触れようとする人が居た。
まあ、見えない壁の向こう側に展示しているから大丈夫なんだけどね。
今日も、触ろうとして壁に手をぶつけた人が居た。
「って~。近くで良く見ようとしただけなのに、何だよ!」
「展示物には触れないようにお願いした筈ですが」
「はあ? 良いじゃねえか! ちょっとぐらい!」
「もし、触る事で展示物が壊れるなどしたら、修繕費用を払えるのですか? まあ、払えるなら良いと言う訳でもありませんけれど」
「修繕費用……」
金の話を持ち出すと、男は怖気付いた。
「あ、でも、壁が在って触れないんだから、そこまで近付いても良いよな?」
「……失礼ですが、もしかして、目が悪いのでは? 此方の眼鏡を使ってみてください」
「え~? 悪くねえと思うけど……。無料?」
「はい。館内無料レンタルです」
男は試しに眼鏡をかけてみた。
「おお! よく見える! 俺、目が悪かったのか!」
「ダンジョン【病院】で検査して、眼鏡を作った方が良いですよ」
「でも、高いし……」
「では、拡大鏡を購入したらどうでしょうか?」
「拡大鏡か。買ってみるかな」
因みに、近視なのに眼鏡を使わず無理して見ようとすると、近視は進行するらしい。
後、眼鏡は近くを見る時には外さないと、やっぱり近視が進行するそうだ。
コンタクトもね。
美術館を出ると、先日手に入った奴隷達が、休憩時間らしくベンチに座ってサンドイッチを食べていた。
「あ。マスター」
犬獣人が此方に気付いて声を上げた。
「仕事には慣れた?」
彼等には、画材屋で働いて貰っている。
奴隷の仕事にしては楽だけど、良いのかな? まあ、酷い扱いをしている訳じゃないし、良いよね?
「まあ、それなりに」
「そう。……あ、そうだ! 明日は、美術教室のヌードデッサンのモデルをして貰うから」
伝えるべき事を思い出して、良かった。良かった。
「……ヌード?」
「そう。裸で。休憩挟んで三時間ぐらいかな?」
「男相手に?」
「女性も居るよ」
そう言うと、三人の顔色が変わった。
「無理! 恥ずかしい!」
「しかも、三時間とか! 人形で良いだろう! ジッとして居られない!」
「痴女?! 痴女なのか?!」
「痴女ではありません。で、時間は……」
私は拒否の言葉を無視して、時間と場所を告げる。
「報酬は、一人三万ね」
「任せてください!」
「頑張ります!」
「お前等……」
コロッと態度を変えた二人に、残りの一人は頭が痛そうだった。
深夜。日付が変わった頃。
『皆! 起きろ! 来たぞ!』
遊戯の強制コールが入ったので、吃驚して起きた。
着替えてダンジョン内を映すモニターを見ると、二人の少女がガーゴイルと戦っていた。
一人が手にする聖剣に必要以上の魔力を込めて、スパッと両断して行く。
Lv40超えているのに、魔力の扱い、下手だなあ。
彼女達は、扉を見れば手で開けようとせずに、聖剣で即壊して行く。
絵を並び替えるだけで開けられる扉も、間違い探しに正解するだけで開けられる扉も、斬って捨てられた。
ちょっとは魔力を温存すれば良いのに。
そうして、彼女達は、地下四階への階段前の扉も壊して行った。
「あ~あ。折角、注意書きして置いたのに」
まあ、読んでも先に進むだろうけどさ。
流石に、Lv1の素手のオークは、ガーゴイルを倒せなかった。
魔力を温存していたら、もう少し先の武器が在る場所まで行けたかもしれないけれど。
あ、そうだ! コドクの為に、ユティの肖像画を用意しておかないと!
私は、現・ユティ神女の肖像画では無く、ユティ神の肖像画をDPで交換した。




