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記憶消去の魔法が欲しい

◇ヒトリ島・27日目◇


 翌日。

 好い加減罠を設置しようと思う。

 どんな罠が良いか・何処に設置すれば良いかと悩んだ結果、ボス戦部屋に設置する事にした。

 因みに、自分のダンジョンの罠は、自分にも眷族にも反応しないそうだ。巻き添えには気を付けなければならない。


 ボス戦部屋には、キラーホーネット部屋からの通路とマツの部屋からの通路の二つが繋がっている。

 其処からボス戦部屋に入って一歩目の所に、落とし穴(1,000DP)を設置。

 落とし穴を飛び越える辺りに、スパイクの罠(1,100DP)を設置した。

 これで、残りDPは、1,600となった。




 夜。


「そう言えば、奴隷にした人達は奴隷商行き?」


 私は、コールして来た水海(すいみ)に尋ねる。


『ううん。奴隷省で奴隷登録して、其々のダンジョンで働かせる事になったよ』


 皇国って、奴隷省なんてものが在るのか……。


「そう言えば、遊夜(ゆうや)って、ダンジョンに色街造っているんだよね? 奴隷は男? じゃあ、裏方的な?」

『陰間的な』


 その答えに暫し考える。


「陰間?! 陰間って男娼だったよね?! え?! 美少年なの?!」

『違うってさ』


 水海は、視線を横に向けてから否定した。


「ねえ? カンペでもあるの?」


 前から時々横を見るのが気になっていたので、確認する。


『……カンペナンテナイデスヨ』

「水海?」

『……気付かなければ幸せな事もあるよね』

「そう言う態度、好きじゃないな」


 何か、上から目線な感じがする。決め付けられたからかな?


『……ごめん。ホント、ごめん。マジ、ごめん。良く解らないけど、ごめん。取り敢えず、ごめん』


 水海は右を見て、謝罪の言葉を口にし始めた。


『ごめんなさい。済みませんでした。申し訳ありません。心の底から、悪かった』


 今度は左を見て、謝り続ける。


『黙っていて、ごめんなさい』


 水海は最後に正面を向いて、頭を下げた。


「え? 其処まで謝る事?」

『……良く思い返してみれば解るよ』


 カンペぐらいでと不思議がる私に、水海がそう言うので考えてみる。

 え~っと、謝罪の回数からして少なくとも五人以上が私と水海の会話を聞いていたんだよね?

 どんな話したっけ? 確か……?!

 ギャ~! 数日前、お月さんの話した! え?! 聞かれてたの?! 遊夜とか天地(てんち)とかに聞かれてたの!?


「嫌~! 恥ずかしい~!」


 私は、叫びながらコールを切った。




◇ヒトリ島・28日目◇


 その日は何時もと違った。

 コドクが、何時まで経っても起きて来ないのである。

 なので、マツは大声でコドクに声をかけた。


「マスター! 起きろ~! もう、昼だぞ~!」

「引き籠るから、放っといて!」

「え~……」


 返って来た返事に、マツは呆れて声を漏らした。


「どうする、カシ?」

「どうするって、ダンジョンマスターは引き籠っているのが普通だろ、先輩?」


 そう。彼等の知識では、ダンジョンマスターは普通ダンジョンの外に出ないものだった。


「それもそうか。じゃあ、釣りに行こうぜ」

「おう」


 なので、二人は何も心配せずに海岸へ向かった。




 夜。

 水海からコールが来たが、私は無視を決め込んで不貞寝していた。


『ねえ! 生きてる?!』

「わあ!」


 無視していたのに、何故かコール画面が開いたので、私はビックリして飛び起きた。


『良かった! 生きてた!』

「どういう事?!」

『あ、これ? 普通のコールよりDPを消費して、強制的に繋げられるんだよ。出ないから、聖剣使いに殺されたかと思った~』

「気まずかったんだよ!」


 心配かけたのは悪かったけれど、察して欲しかった。


『今日は、私独りだから』

「そう言われても……」

『あ、皆で話し合って、慰謝料をDPで払おうって事になったんだけど』

「別に良いよ。慰謝料貰う程の事じゃないかなって思うし」

『遠慮しないでよ! 普段、支援するの規制されているんだから、こういう機会にさ』


 規制? 誰が規制しているんだろう?


「それより、何で黙ってたの?」

『それは……。初日に、十七人で話していた時に、ハードモードのコドクが心配だねって話になって……。全員でコールするのは大袈裟だよねって事になって、私が代表してコールしたんだけど……。心配しているって知られるの恥ずかしいとか言う人が居てね。そう言う訳』


 確かに、十七人は多過ぎるかも。


「でも、それなら、正確な人数を言わないで、他の人も聞いているとか言ってくれれば良かったんじゃない?」

『そうですね。気付きませんでした。済みません。それで、慰謝料なんだけれど』

「要らないよ。皇国で長年ダンマスしてたローダルクさんでも勝てなかったんだから。もうどうにでもな~れ」


 私はそう言うと寝袋に寝転んだ。


『コドク。投げないで、足掻こうよ』

「もうやだ」


 恥ずかしい思いしたので、折れました。


『今死んだら、皆、コドクの事を思い出す時に例の件も思い出すよ。生きて記憶を埋もれさせなきゃ』

「ちょっ!? 嫌な事言わないでよ!」


 私は、ガバッと起き上がった。


『じゃあ、頑張ろうね! 慰謝料だけど、DPじゃなくて物資の方が良いかな?』

「あ~……」


 私は何が良いか考えたが、投げやりになっていた所為か思い付かなかった。


『コドクとカシの防具……。ローブで良いかな?』

「ローブって何だっけ?」

『袖付きワンピース状の外套だよ。ファンタジー物で魔法使いがよく着ているアレ』

「あ~。そう言えばそうだった」


 ど忘れしていた。


『あ。駄目だ。DPで交換した防具は、聖剣に弱いんだった』

「罠や壁やモンスターだけじゃないんだ?」

『うん。厄介だよね。ローブは、皇国製の物にするよ。後は、マツの武器は剣で良いのかな? 盾は要る? カシは杖で良いの?』

「そんなに貰えないよ!」


 多分、お金もあり余っているんだろうけれど。


『遠慮しないで! 滅多にないチャンスなんだよ!』

「じゃあ、ジャポニカ米とパンとチョコと」

『コドク。食べ物より、先に増やすべきものがあるでしょう?』


 食欲を優先したら、呆れられてしまった。


「そうだけど……」

『解ったよ。お詫びだもんね。武器や防具はこっちで適当に見繕って送るよ』

「あ、出来れば、うどんとかラーメンとかパスタとかも欲しい」

『はいはい』




◇ヒトリ島・29日目◇


 29日目。

 現在、DPは1,720である。


 そんな事より、日も昇らない内から島に侵入者が来たのだが。


 やって来たのは、ファンとその友人のドンフウだった。

 マップで確認すると、彼等は、ファンが建てた小屋の辺りで立ち止まり、それから、中央出入り口から侵入して来た。


『こんな所に横穴が?』

『先に、こっちに居るか確認しようぜ』


 ダンジョン内監視モニターで見ていると、そんな会話が聞こえた。

 塞がないでおいたスズメバチ部屋への通路に、気付いたのだ。


 二つの部屋とトイレに私もマツも居ない事を確認した二人は、スズメバチ部屋へと向かった。

 此処の通路は大きめに掘ってあるのだが、どうやら、ファンしか通れないようだ。無理すれば、ドンフウも通れるのかもしれないが。


『掘れねえな。これは、ダンジョンで決まりだ』

『やはり……。許しませんよ、ヒトリさん! いや、ヒトリ!』




 ファンとドンフウは、ヒトリ島に向かったピードが帰って来ない為、やはりダンジョンが在る・自称ヒトリがダンマスだろうと確信し、装備を整えてやって来た。

 穴を広げられない事で、ダンジョンだと言う事は最早疑いようも無い。

 妻を奪われ・騙されていたファンは、殺意を漲らせ、穴の奥を睨み付けた。


「私一人でも行く!」

「ついて行きてえが、俺じゃ通れねえからな……。気を付けろよ」

「勿論だ!」


 冒険者を引退した彼等は、身も心も鈍っていた。

 現役時代の彼等だったら、無策で生き返れない(邪神の)ダンジョンに挑む事は無かっただろう。

 怒りと憎しみに支配され・自棄にもなっているファンは未だしも、ドンフウは良く考えるべきだった。

 実戦を離れて鈍ったLv40以上の元聖剣使いだけではなく、Lv50超えの現役兵士でも命を奪われているのだから。


 ファンが冷静さを失っている理由は、もう一つある。

 それは、急がないと聖剣使いに討伐されてしまい、仇を討てなくなると言う焦りだ。

 故に、彼は、ヒトリが強く見えないと言う理由だけで、確実に仇を討てると確信していた。



「こ、これは……!」


 通路を奥に進むと、スズメバチの大群が居た。


「なるほど。だから、サクリムは……」


 妻が虫を苦手とする事を知っていたファンは、元聖剣使いだったサクリムがヒトリを討伐出来なかった事に納得した。

 虫を見て恐怖した為に生じた隙を突かれたのだろう。そうでもなければ、生まれたての邪神にやられる筈は無いと。

 十年前に生じて、十年間姿を隠していた可能性は全く考えていない。


「はあああ!」


 【毒耐性】も無いのに、退かずに剣を振り翳すファンの死角から、スズメバチが忍び寄った。

◆所持DP◆

 4,720P


◆覚えた魔法(現在Lv7)◆

 Lv1:浄化・着火・散水   Lv2:土掘り・潜水・衣類乾燥

 Lv3:鑑定・耕作   Lv5:水中呼吸


◆所持品◆

 懐中電灯・筏(偽装用)・木の蓋(偽装トイレ用)

【小屋】(一部)

 シャベル・草刈り鎌・釣竿・餌・バケツ・タオル・タモ・盆ザル

【マツの部屋(偽装)】

 干し草・毛布・オイルランプ(植物油入り)・布の袋・風呂敷

【マツの部屋】

 解体ナイフセット・ミスリルの胸当て

 寝袋・マット・保温シート・電池式ランタン・米焼酎・粟焼酎・コップ

【カシの部屋】

 寝袋・マット・保温シート・米焼酎・粟焼酎・コップ

【多目的部屋】

 テーブルセット(椅子四脚)・瓶(塩漬けの梅)

【ペット部屋】

 猫用ベッド四つ・餌箱

【コドクの部屋】

 寝袋・マット・保温シート・ラグ

 ミニ七輪・オガ炭・電子レンジ(魔力で動く)・小型冷蔵庫(魔石で動く)

 包丁・まな板・小型の鍋・小型のフライパン・お玉・小型の土鍋・卓上コンロ(魔力で動く)

 食器セット(三人分)・ボウル・ピッチャー(飲料水入り)

 塩・醤油・食用油・バター・味醂・砂糖・料理酒・酢・味噌(だし入り)

 カラーボックス・ハサミ・ダイビングマスク


◆眷族(下記以外の虫は省略)◆

 スズメバチ(群):眷族になった事で毒がパワーアップしている。

 パラポネラ(群):眷族になった事で、毒がパワーアップしている。

 キラーホーネット:スズメバチ型モンスター。幼児大。

 コドク:眷族になった事で、メスは毎日卵を産むようになった。

 ローグゴブリン:モンスター化したゴブリン人。

 ローグオーク:モンスター化したオーク人。

 ローグオーガ:モンスター化したオーガ人。


◆食料リスト(一部省略)◆

 魚(塩焼き・干し魚・刺身・バター焼き・煮付け)

 貝(生・バター醤油焼き)・蟹(茹で蟹)

 肉(牛・豚・鶏)(ステーキ・串焼き)

 コドクの卵(生・固茹で・卵焼き)

 蕪(甘酢漬け)

 じゃが芋・にんにく・炊いた粟・ご飯・梅・ビワ・小豆

 ワカメ(酢の物・味噌汁)

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