カウントダウン開始?
2018.04.01 誤字を訂正。
◇ヒトリ島・24日目◇
翌日。
晴れたので外に出ると、じゃが芋畑のじゃが芋がわさっと育っていた。
魔法って凄いと改めて思う。
しかし、まだ収穫は出来る程では無いので、何時もの様に、私は海に潜りマツとカシは釣りをした。
『どうしたの? 元気無いね?』
コールが繋がると、水海が気遣ってくれた。
「あ~……うん。お月さんが無いなあって」
『ああ。生理』
ズバリ言うの照れるんだよ~。聞くのも照れるんだよ~。
「う。まあ……」
『ダンマスには無いんだよ。安心して』
「そうなの? じゃあ、子供作れないんだ」
『作れるよ』
どういう事だよ?
「え? だって、……無いんでしょう?」
『DP消費で設定変更』
「私等、アンドロイドか~!」
え?! ロボット的な何かなの?!
『アンドロイドじゃないよ。だって、人造じゃなくて神造だから』
神造……。いや、確かにそうなんだけど。何だろう? この釈然としない気持ち。
◇ユティ神国東南部・リゼル地方◇
ユティ神国東部へ向けて徒歩移動していた姫と王子は、野営をしていた。
姫がハイヒールの靴を履いているので、進んだ距離は比較的短かった。
ハイヒールはこの世界にもあった。これは、ユティ神女から貰った物だ。
歩き易さを重視してヒールの低い靴に履き替えると言う発想は、二人には無かった。
食後。姫は、うっとりと聖剣を眺めていた。
金色のそれを彼女達はオリハルコンだと思っているが、実際は黄銅である。真鍮とも言う。
彼女の脳裏には、山羊の頭を持った悪魔――想像上のターゲット――相手に聖剣で圧倒的な立ち回りを見せる自身の姿が描かれていた。
尚、実際に聖剣を振ってみた事は一度も無い。
当然、イメトレと言う名の都合の良い妄想のように、片手で振り回せたり・身長より高く跳んだり・相手の攻撃を華麗に避けたり出来るかは不明……と言うか、恐らく不可能である。
剣を片手で振り回す位は出来るかもしれないが、最弱のモンスターとも戦った経験の無い彼女の身体能力は、一般的なオークと変わらない。
いや、太っている分劣っているかもしれない。
一方、王子は銅剣を手に素振りをしたりしていた。
が、姫にそれをやる様には言わない。
聖剣の能力を、神女が説明した以上に過大に想像しているのだ。
それは、姫も同じかもしれない。
「そろそろ、寝ましょう」
「そうだな」
二人は、王子が張った二つのテントに其々別れて眠りに着いた。
◇ヒトリ島・25日目◇
夜遅く、侵入者がやって来た。
ピード:Lv52 オーガ 28歳 神国兵士
元聖剣使い達よりレベルが高い。
しかし、一人だけと言うのは不思議だ。兵士は複数名で行動するのではないだろうか? 勝手なイメージだけれど。
元聖剣使いを三人も倒した――殆ど自滅だが――のだから、少なくとも二名は送って来ると思っていたのだが……。
彼は中央出入り口から侵入すると、偽装部屋を調べ回り始めた。
どうやら、隠し通路を探しているらしい。
そして、漸く、最初の通路の壁の土を掻き出せる事に気付き、彼は其処を掘り進めた。
明かりに照らされるスズメバチの群れに、彼は動揺する事無く炎の魔法を食らわせた。
眷族であるスズメバチが殺されても胸が痛まないのは、虫だからだろうか? それとも、毒虫だからだろうか?
そして、彼は通路を先に進もうとして、狭くて通れずにいた。
彼はマツより細身だが、それでも、その穴を通るには大きかった。
そこへ、スズメバチの生き残りが忍び寄った。
ピードは、それに気付けず刺されて死んだ。
ピードを吸収すると、5,200DP増えて5,940DPになった。
彼一人で、元聖剣使い二人分以上ってどういう計算なんだろう?
ピードには案の定隷属の首輪とカメラが付いていたが、元聖剣使い達には隷属の首輪もカメラも付いていなかった。女性には付けない理由は何なのだろう?
ピードに聖剣を持たせておけば、もしかしたら、ボス戦部屋まで行けたかもしれないのに。何故、女性にしか持たせないのだろう?
10DPでスズメバチを補充し、掘られた通路はもうそのままにして置く。
さて、寝るか。
◇ユティ神国首都・ユティ神城◇
「ヒャ~!」
神女は、ピードの首輪に付けたカメラから送られて来た蜂だらけの映像に、悲鳴を上げた。
「何事ですか、陛下!」
悲鳴を聞いた兵士達が駆け込んで来る。
「む、虫が……」
「虫?」
兵士達は、神女を驚かせた虫を室内で探し始めた。
神女は、その後、十分ほどで捜索を止めさせベッドに入ったが、蜂に埋め尽くされた映像を思い出して眠れなかった。
◇ヒトリ島・26日目◇
朝。
また雨だった。良く降るなあ。
今日は梅干しを作る。作り方は、昨日、水海に聞いた。
梅(10DP)・粗塩(10DP)・焼酎(20DP)・瓶(20DP)・落とし蓋(10DP)・重石(20DP)を交換。
残りは、5,840DP。
瓶を焼酎で消毒して、梅を水で洗って乾燥させた。
串焼きに使って余っている串を用意し、梅のヘタを取る。
瓶の底に塩を一掴み入れ、梅を平らに並べた。
その上に塩を振って梅を並べるというのを繰り返す。
落とし蓋をして、瓶に蓋をする。
後は、日陰の涼しい場所で数日保管か。
「二人共、梅酒要る?」
ついでに作ろうかとマツとカシに尋ねた。
「要らん」
「どっちでも」
「じゃあ、作らないよ」
「ああ」
他に、蕪の甘酢漬けを作った。
残り、5,830DP。
「昨夜、神国の兵士が来てさ~。幸い、スズメバチで倒せたから良いけど、下手したらボス戦になってたかも」
コールして来た水海に、昨夜の出来事を語る。
『無事で良かったね~! コドクのダンジョンって、雀蜂が大活躍だね!』
「そう言えば……」
全員スズメバチにやられているわ……。もうあいつ等だけで良いんじゃないかな? ……なんて、もうスズメバチがいる事がばれたから、次は【毒耐性】持ちが来るよね。
『ダンジョン名は、【スズメバチの巣】で良いんじゃない?』
「バレバレだから、却下で」
『そう。あ、こっちにも下見の連中来たよ』
敵は、漸く皇国のダンジョン出現に気付いたのか。まあ、海を隔てているしね。早い方かな?
「へ~。何人で来たの?」
『三人ずつ十七ヶ所だから、五十一人だね』
「そんなに大勢?! 良く入国出来たね!」
『勿論、三年前の事件以来、入国禁止にしているんだけど。今回来たのは、金で雇われた紅星帝国人だから』
それじゃあ、通しちゃうか。
「紅星帝国って?」
『神国の西側の国だよ。セリアノイドの国だね』
「セリアノイド?」
『この世界の獣人の一種』
「へ~。どういうタイプの獣人? 二足歩行の動物系? 耳や尻尾だけ系?」
『後者だね。獣化出来る人を、セリアンスロープって言うらしいよ』
うん。良く解らん!
『まあ、別に覚えなくても支障は無いよ。神国には殆ど居ないし。帝国に行く予定も無いでしょう?』
「まあね」
でも、折角ファンタジー世界に来たんだから、獣人見てみたいな~。
『で、話を戻すけど、捕獲した連中は、皇国の法律に基いて犯罪奴隷になったよ』
「法律に基づいて?」
『うん。神国に雇われて来た事が判ったから、邪教(=ユティ教)に与した罪で』
「なるほど。でも、金に困ってそんなハイリスクな仕事受ける人って、弱いでしょう? 下見になるのかな?」
『全員レベル50は超えていたよ。ハイリスクだとは、思って無かったみたい』
あ~。部外者の国の人だから、ユティ教が皇国で邪教認定されているって、知らなかったんだろうな。
「じゃあ、結構深くまで下見されたんだ?」
『ううん。地下三階までで捕獲したから。例の制限は、地下四階からだからね』
ああ。アイテム持ち込み禁止とか。
『下見を送って来たという事は、近々聖剣使いが来るでしょう。そっちも気を付けてね』
「出来れば助けて欲しいな。な~んて」
冗談めかして本音を言う。
『ごめん。説得出来たらね』
水海は申し訳無さそうにそう言うと、コールを切った。
◆所持DP◆
5800P
◆覚えた魔法(現在Lv7)◆
Lv1:浄化・着火・散水 Lv2:土掘り・潜水・衣類乾燥
Lv3:鑑定・耕作 Lv5:水中呼吸
◆所持品◆
懐中電灯・筏(偽装用)・木の蓋(偽装トイレ用)
【小屋】(一部)
シャベル・草刈り鎌・釣竿・餌・バケツ・タオル・タモ・盆ザル
【マツの部屋(偽装)】
干し草・毛布・オイルランプ(植物油入り)・布の袋・風呂敷
【マツの部屋】
解体ナイフセット・ミスリルの胸当て
寝袋・マット・保温シート・電池式ランタン・米焼酎・粟焼酎・コップ
【カシの部屋】
寝袋・マット・保温シート・米焼酎・粟焼酎・コップ
【多目的部屋】
テーブルセット(椅子四脚)・瓶(塩漬けの梅)
【ペット部屋】
猫用ベッド四つ・餌箱
【コドクの部屋】
寝袋・マット・保温シート・ラグ
ミニ七輪・オガ炭・電子レンジ(魔力で動く)・小型冷蔵庫(魔石で動く)
包丁・まな板・小型の鍋・小型のフライパン・お玉・小型の土鍋・卓上コンロ(魔力で動く)
食器セット(三人分)・ボウル・ピッチャー(飲料水入り)
塩・醤油・食用油・バター・味醂・砂糖・料理酒・酢・味噌(だし入り)
カラーボックス・ハサミ・ダイビングマスク
◆眷族(下記以外の虫は省略)◆
スズメバチ(群):眷族になった事で毒がパワーアップしている。
パラポネラ(群):眷族になった事で、毒がパワーアップしている。
キラーホーネット:スズメバチ型モンスター。幼児大。
コドク:眷族になった事で、メスは毎日卵を産むようになった。
ローグゴブリン:モンスター化したゴブリン人。
ローグオーク:モンスター化したオーク人。
ローグオーガ:モンスター化したオーガ人。
◆食料リスト(一部省略)◆
魚(塩焼き・干し魚・刺身・バター焼き・煮付け)
貝(生・バター醤油焼き)・蟹(茹で蟹)
肉(牛・豚・鶏)(ステーキ・串焼き)
コドクの卵(生・固茹で・卵焼き)
蕪(甘酢漬け)
じゃが芋・にんにく・炊いた粟・ご飯・梅・ビワ・小豆
ワカメ(酢の物・味噌汁)




