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聖祈師リアライド・デ・フェルゼの知略戦  作者: ごろごろみかん。
4.恨みも恩も忘れない

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1.異空間

長いので、呼び名はエリュンのままで決定。

ついてきてくれるのはこちらとしても願ったり叶ったり。

ぜひお願いしたいくらい。ギルドには変わらず、エリュンの分霊が対応するので、ギルド員には言わなくてもいいし、言っても分からないと思うもん、とのことだった。

エリュンの本霊はいつもこの世界のあちこちをふわふわと漂っているのだそうだ。

だけど最近は瘴気の蔓延が酷くて、体調を崩しがちだったという。


「体調、というか、体が重かったもん……。しんどかったんだもん」


ああ、倦怠感。あれ、辛いわよね。

私も寝不足と疲労が酷い時、そうなる。前世は加齢とともに、それがデフォルト状態になった。アラサーになるとね、休んでも不調は改善しないの。肩こりと腰痛って、天敵よね。


「でもきみといると、元気になるもん!聖力がすごいもん。浄化されるも~~~~ん…………」


だんだん声が小さくなるので、危うく本当に浄化されたのかと思った。妖精だし、多分大丈夫。浄化されるのは瘴気だけ。エリュンは足元あたりで転がるように揺れていた。可愛い。

抱き上げたいな。触れるのかしら?


「ああ!そうそう!紅玉?っていうのは、多分グンドウェルにはないもん。あれは、ええと、僕にも難しいことは分からないけど、ただの石に、なんか、人間が細工して、それらしくしてるもん?」


試そうとした時、グンッとエリュンが跳ねた。危うく顔面衝突。


「よく知ってるのね。そうよ。紅玉は、綺麗なガラス玉に魔力を込めてるだけなの。オロラド国では、子供が欲しがるアクセサリーランキング1位なのよ」


「そうなのもん?それもよくわからないもん。そんなモドキを使うくらいなら、本物使うもん」


おお、妖精。

エリュンはふよふよと揺れると、道案内してくれた。


「こっちに高濃度の魔石があるもん」


「豪華すぎると、使いにくいわ。程々でいいの。欲を言うなら、沢山手に入って、品質は最低限魔力が込められていれば、それでいいの」


「モドキは、一回使ったら壊れるもん。高濃度の魔石は、使……沢山使う……あっ!使い回し?半永久的に使えるもん!」


人間の言葉にあまり慣れていないのかしら。

たどたどしくエリュンが言う。

え?というか、半永久的って言った!?


「半永久的ってそれ本当?」


「本当だもん。魔道具?っていう、人間が作るやつ、すごい効率悪いもんってずっと思ってたもん」


マジか。


「効率が悪いって、どうして?」


「そもそも、もん?なんで、あんなでっかくなるもん?邪魔じゃないもん?しかも、数回使ったら壊れるもん?ありえない欠陥品、もん」


一般的な魔道具は、大きい。


それは書き込む魔法式や魔法陣、必要とする魔動力が膨大だからだ。だから、寸胴鍋くらいのサイズになる。

魔道具は普通、持ち運びするようなものではないのだ。サイズが大きすぎるからね。物理的に。

だから、一家に一個。お守りのように持っておく家庭が多い。


だけど私は、でかい魔道具って、いざとなった時に使えなくない?無用の長物というか、と思い、軽量化に乗り出した。

それが、薄い基板に魔法式と魔法陣を書き込み、それを小さな石に吸収させる、ということ。

必要な魔力は予め私が込めておくことで、魔動力の削減にも繋がる。


「たとえば、もん?」


エリュンはふよふよと浮きながら、提案した。


「ブレスレットにするのはどう?もん?」


「ブレスレット型の魔道具なら、私持ってるわよ?」


今も腕につけてる。

これは、コンラートと陛下、フェアクロス公爵をぶっ飛ばしたやつ。指輪もある。これは、干渉を防ぐやつ。昨日、蕗の王族の指を弾いたやつ。


「違うもん」


「違うの?」


「石ひとつひとつを魔道具?にするもん?できるもん?」


──そのアイデアは、なかったかも。


画期的すぎる。魔道具で作るブレスレット?

めちゃくちゃ手間がかかるけど成功したらコスパはめちゃくちゃいい。

絶句する私を不安そうにエリュンが見る。


「無理もん?無茶もん?」


「………エリュン!あなた、天才ね!やってみるわ。ありがとう。感謝するわ」


「もん~~~~!!」


不思議な語尾でエリュンが喜ぶ。

耳がパタパタしてる。可愛い。


「目的地ってあの鉱石?なんか、すごい魔力濃度が濃いんだけど、ここ、本当にグンドウェル国内?グンドウェル国は、こんなものを秘匿していたの?どうやって?どうやってこの魔力濃度を……」


視線の先には、青々と輝く鉱石。

岩壁に沿うようにして、洞窟へと続いている。その色合いは深く澄んでいて、宝石としても売り出せそう。エリュンに尋ねると、エリュンはくるんくるん回りながら言った。


「ここは、妖精の森!僕たちが認めたひとしか、入れないところも~ん!」


「えっ」


どうやら知らないうちに私は、グンドウェル国でもオロラド国でもない、ひとならざる領域に足を踏み入れていたらしい。

妖精の森。どうりで魔力濃度がありえないほど濃いはずだ。キリアンも連れてきたかったな。


「ここは、座標で言うと?」


ギルドで割安で買った地図を広げる。


「地図には乗ってないもん。ここは、どの国とも繋がってるし、どの国とも地続きじゃないもん」


oh 異空間。


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