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聖祈師リアライド・デ・フェルゼの知略戦  作者: ごろごろみかん。
3.食って大事

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7.ゆるキャラ




ギルドに向かうと、ちょうどタイミング良く、カインゼルがいた。彼女は私に気がつくと、ぴょんぴょん跳ねるようにこちらに向かってきた。兎みたいな子だ。


「リアライド!どうしたの?ギルドに何か用?クエストをこなしにきたの?」


「こんにちは、カインゼル。違うわ。実は、野菜を採れるところを探してるの。あとは、定価で売ってくれるところ」


「ああ……。野菜は、高いよね」


途端、カインゼルの眉が下がる。


「探索に行けば、野菜……山菜も採れるよ!だけど、場所が場所っていうか……。結構険しいところに成ってたりするし、採りやすいところは採り尽くされている感はあるかなー」


「!お願い。場所が知りたいの。旅の同行者がね、グンドウェル国の食事があまり合わないらしくって。サラダを作ることにしたのよ」


油なし(ノンオイル)サラダね。


「食事が合わないのは、辛いね……」


カインゼルは同情の顔になった。


「それなら、向こうのカウンターで採取のクエストを受けるといいよ。薬草採取ってクエストだけど、頼めば野菜……香草とか山菜とか生えてるところも案内してくれる。だけど、足腰使うよ?リアライド、細身だし、心配。同行しようか?」


「ふふ、大丈夫よ。これでも魔術に覚えはあるの」


いざとなったら魔法でチートすればいいしね。

風魔法で刈り取ってしまえばいいのだ。だけどカインゼルは私の正体を知らない。

バラしてもいいのだけど、バラしたことで彼女に迷惑をかけるのは本意ではない。この秘密は、彼女を危険に巻き込む可能性がある。


「そっか。困ったことがあったら、言ってね。カウンターは向こう!」


カインゼルに教えられて、カウンターに向かう。

そこには、魔法用紙がぐるぐると宙を浮いていた。金色の魔法用紙。

何となく目の前にあるものを掴む。


【ランク:SS

依頼:ナマズドクバリの退治

報酬:金貨二枚】


金貨二枚とは太っ腹だ。

一ヶ月の生活費になる。

だけどそれくらい手強い相手ということなのだろう。


これじゃないな……。

もう聞いた方が早いかしら?


そう思って顔を上げると、私の様子を伺っていたのだろう。女性のギルド員がニコッと営業スマイルを向けてきた。


「こんにちは。冒険者の方ですか?探索者の方ですか?」


「ええと、どう違うんですか?」


慣れた質問だったのだろう。

ギルド員は、引き出しから一枚のパンフレットを出した。

オロラド語だ。助かった。国境だからかしら?


「失礼ですが、オロラド人でいらっしゃいますよね?こちらのパンフレットでよろしかったですか?」


「ありがとうございます、オロラド人です」


答えると、ギルド員はニコッとふたたび笑った。

愛想がいい。おじいちゃんとかに好かれそうなタイプだわ。


「では、まずは簡単な説明から。ギルドでは、薬草採取や、鉱物探索、素材集めをメインとする方を探索者。魔獣討伐を主にこなす方を冒険者、と呼んでいます。探索者の方は基本的に、その地に住んで、その周囲を探索します。たまに、遠出まで足を伸ばされることもありますが、そんなに多くはありません。逆に冒険者は、住所不定で、同じ地に長居はしません。魔獣を倒して旅をする方が多いです」


探索者は永住者、冒険者は流れのものが多いってことね。


「それで、本日はどのようなご要件ですか?」


「野菜を採れる場所を探しているんです」


「野菜。薬草採取クエストの副産物対象ですね。分かりました。エリュン、案内してあげてください」


彼女が言った瞬間、今まで何も無かった場所にしゃぼん玉が弾けるように光が現れた。思わず身構えた私に、ギルド員が説明する。


「こちらは、妖精の分霊、エリュンです。この子があなたの働きを見定めます。働きぶりによって、報酬は決められます」


「エリュンだもん!よろしくだもん!」


エリュンと名乗った妖精……の分霊?は、長い耳に、つぶらな大きな黒の瞳。白いモコモコだった。ゆるキャラっぽい。見た目が。


「よ、よろしくお願いします」


「うん!それじゃあ早速、レッツゴー!」


「…………というわけですので、エリュンがこの先は道案内をしてくれます。迷うこともないはずです。エリュンの忠告には従ってください。エリュンを無理に隷属させようとしたり、害した場合、即刻ギルドに報告が上がります。その際は、発行証の取り消し、ギルドの永久追放。場合によっては、それに加え、罰金罰則を受ける場合があります。エリュンはあくまで妖精の分霊。適度な距離感を保ってくださいね」


おお、厳重な忠告。

これは恐らく過去に、このエリュンを巡ってトラブルが相次いだのだと思う。たしかに道案内をしてくれる妖精って貴重だ。絶対に遭難することはないし、採取物まで案内してくれるなら、餓死することもない。

こうして、休日の朝の幼女向け番組から出てきたようなゆるキャラと探索に出ることになったのだった。


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