決戦前
嵐の王を撃破し、魔王城へと向かう。
こういう時のセオリーは玉座へ侵攻する……であってると思うが。
「敵が来たぞー! であえであえ~!」
「おお~!!」
——ドゴォォォン!
「「うわああぁぁぁぁぁ!」」
ひっきりなしに湧いてくる魔物をギャル二人が蹴散らしていく。
SS級と言われた嵐の王を倒したわけで、恐らく魔王軍側には魔王を除いて強い存在はもういないだろう。だから足を進めるわけなんだが……。
「こっちで合ってる?」 「うわああぁぁぁ!」
「わかんない。ユーマしっかり!」 「ぎゃああああ!」
「お、おう……」
押し寄せる敵は何の障害にもならない。ただ魔王城を進むだけなんだが、城というだけあってデカイ。階段やら通路やらいろんな道がある。
ゲームでも魔王城といえば当然最終ステージなわけで、これまでのダンジョンの集大成みたいなものだ。……もっともダンジョンには一度も寄っていないが。
ラノベ知識だけでは魔王城は攻略できそうにないので、ゲーム知識を引っ張り出す。その知識曰く、外周から入って中を攻略、また外に出て階層を登り、また中を攻略という感じなのだが……。
――ボゴォォ!
「ユーマ! 隠し通路っぽいのあるよ!」
「ええと、じゃあ行ってみるか……」
ギャルズの力技でショートカット(?)をしていく。多分近道、だと思うが……。
「あれ~? こっちさっき来たよね?」
「ユーマ、しっかりして」
「お、おう。ちょっと待ってくれ……」
なんか任されているが元々普通の高校生が城の構造なんぞ知ってるわけがない。とりあえず外に出たら高くなっているところを目指して……を繰り返していく。
そして……一時間くらい経った。
「うーん、敵も落ち着いたしちょっと休憩するか」
と、敵陣のど真ん中で休憩を取ることに。多分半分くらいまで来たと思うのだが。
ゲームだったらセーブポイントがあったりして分かりやすいがここではそうはいかない。なんとなくで進むしかない。
しばらく伸び伸びと休憩したので、体力も回復し、立ち上がる。さて、どう進んでいくか。
「やっぱこういうのって真ん中じゃない?」
というアカリの助言を受け、真ん中をぶち抜いていくことに。……。城を建てたであろう魔王が怒ってなければいいが。
「む?」
そんな真ん中をぶち抜いた時、でっかい扉とそれを守る巨人が二体立っていた。
「ねね、めっちゃぽくない?」
「たしかに……」
でかい扉が魔王城にあってその先に魔王がいる、というのは王道だ。真ん中ぶち抜き作戦は成功したようだ。
「よぅし、もうちょいだな」
そう気合を入れたその時。後ろから誰かが来るのを感じた。
「——意外と、仕事はありそうだな」
その声の主は――。
「ブルースさん! なんでここに?」
「なに、お前らが魔王城に向かったと聞いてな。手伝いに来たんだが……」
彼は後ろを振り返る。ギャルズによって蹴散らされた魔物の群れがあった。
「……こういう時に駆けつけるのはいいもんだと思っていたが……そうでもないか?」
「いや、ありがたいですよ!」
「そうか? ならちょっとだけ仕事させてもらおうか」
そういいながら彼は命牙を取り出し、構える。そこへもう一つの影。
「いやはや、ここまで来ているとは。それに、私も間が悪いようだな?」
「シルヴィアさん! どうしてここまで?」
「そりゃぁ、魔王との決戦とあれば駆けつけるものだろう。城の方にも敵が来なくなったからな。加勢にきた、というわけだ」
というわけでなんだかんだ俺の知る現地人最強の二人が来てくれた。
「っと、こういう状況で言ってみたいセリフがあるんだが……」
ポリポリと顎を掻きながら言うブルースさん。
「——ここは任せて先に行け。……だな!」
横からかっさらうシルヴィアさん。
「……。そういうわけだ、行け」
ちょっとしょんぼりしながら背中を押してくれるブルース。
「分かりました。……必ず魔王を倒して見せます! アカリ!」
「ほいよっ」
アカリの砲撃で扉が崩れ、先に進める様になった。
「じゃあ……行ってきます!」
親指を立てるブルースと優しい目線を送るシルヴィア。
俺たちは先へと向かった。
***
「……。大陸最速と名高いブルース殿、で間違いないか?」
「そういうアンタは王城の切り札ってやつで間違いないか?」
そんなやりとりをした後、二人は笑った。
「しかしあいつら、すごい成長をしたもんだ」
「ふふ、違いない。城で見かけたときとは大違いだ」
「だってな……」
敵がぞろぞろと集まってくる。
「A級が無数体とS級の巨人か」
「最速の剣士が恐れるか?」
「当然だろう。こんなやつらを相手にするなんざ、正気じゃない」
「ふ、それを聞いて安心した。私が感じている死の感覚に狂いはないらしい」
「だが、恰好つけてしまったからにはやるしかないだろう」
「だな。……さて、どこまで持つか」
二人は魔物の軍勢の中へと飛び込んでいった。
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