↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
21/34

答えと逆襲と

「——好きって、言って?」


 そんな言葉が、アカリから零れた。


「え……」


 俺の馬鹿っぽい声が出る。だってそんなこと……急に言われても……。


「……」


 潤んだ瞳のアカリを見る。その目から感じ取ったのは、不安定な心。


(今までそんな様子は……いや……)


 思い出すのは嵐の王と戦う前の会話。アカリと、なんというか、こころの距離が近い会話をしていた。

 あれから返事らしい返事はしていなかったし、触れる事を避けていた。何故かと聞かれれば、単に、俺が恥ずかしかったからだ。


「アカリ……」


 でも、彼女はずっと、あの時からずっと、この問題の答えを欲していたのかもしれない。それを俺は気かつかないふりをして……。


「——ごめん」


「っ――!」


「今まで、ちゃんと話せてなくて」


「——う、ううん! だって、忙しかったし、いろいろあったし……」


 確かに一旦腰を据えるような時間は無かったが、それでも俺はその問いには「すぐに答えなければならない」はずだ。

 だって、その答えは最初から決まっているからだ。


「その、改めて、だけど……。俺は――」


「——ううん! やっぱりいいや」


「え?」


 いい、ってなんでだ。この問題はずっと心に引っかかっていたことじゃないのか?


「ミオちゃんの方見てくるね!」


「あ、ああ……」


 呆気に取られる俺を横目にアカリはこの場から去った。

 ……。選択肢を間違えた、気がする。でもどうするのがよかったんだろう。


 ***(視点変わって)


「ミオちゃんの方見てくるね!」


 アタシは適当言ってその場から離れた。少し歩いたところで、下を向く。

「——ごめん」

 分かってる。アタシの問への本当の答えじゃない。今までのことを気遣って謝ってくれただけ。そんなことは分かってる。

 分かってる、けど。


(ホント、なんでだろう)


 ちゃんと言葉で聞いていない。彼の本心。でも、なんでだろうか。


 《《その言葉が全てだと感じた》》のだ。


「……」


 上を向いて吐き出した息は思ったより冷たかった。冷えた胸で弾き出した答えはとてもシンプルで、単純なものだった。


「サポート! ……だよね」


 ***(視点戻って)


 俺自身でなにか出来ないかとあれこれしていたら、アカリがみんなを連れて戻ってきた。休憩らしい。


 結局、俺自身で出来る事に関しては進展なし。少しでも強くなりたいとは思っているが……、進展なし。


「あの、命牙って、俺でも使えたりとかしませんかね?」


「え……。無理、じゃないかな。はは……」


 なんでちょっと笑ってるんだミューズさん。


「魔法の熟練者が最後に使える様になる奥義……なので。多少なり魔法が使えないと、そもそも話にならないというか、ね、はは……」


 俺は年下で魔法は確かに使えないが、ちょっと失礼じゃない?

 いや、相手側の事情を汲み取るのであれば、俺がかなりの馬鹿なんだろうが……。


「二人に守ってもらいなよ……二人なら一人どころか街を丸ごと守るくらい出来るだろうし……、ね」


 ……まあ、出しゃばるなというのはそうなのかもしれない。この世界において俺のような者は――。


「大丈夫だよ!」


 話をぶった切ったのはアカリ。


「ユーマはいてくれるだけで、ううん、魔法の事を教えてくれるだけで前に進めるんだから!」


「そうね」


 続いたのはミオ。


「たまに難しいこと言うけど、でも私たちのために一生懸命考えてるってのは分かる」


 二人とも……。その回答を得たミューズさんは――。


「そ、そっかぁ。……いいなぁ」


 何か、ひどくショックを受けたようで。焦点の定まらない目で自分の手を見つめている。


「でも……私は……」


(もしかしてこの人は……)


 推測だが、この人は未だにブルースさんとアーシャさんが倒されたことを根に持っているのかもしれない。

 ブルースさんは凄い人だ。でもだからと言ってこちらも足を止めていられない。


「ミューズさんの力だって、必要です」


「え……?」


「俺たちはまだまだ未熟です。それは分かっている。だから少しでも強くならなければなりません。その為には知恵が必要です」


 頭を下げる。バカにされようが、力は必要だ。


「そ、そっか~。ふふ……そっか~」


 なんだか楽しそうな、嬉しそうなミューズさん。機嫌が取れたならなによりだ。


「よ~し、このあともがんばろ~!」


 アカリが元気に振る舞う。……さっきの回答、本当にあれでよかったのだろうか。

 とはいえ、頑張らねばならないのも事実。さっさと立ち上がろう――。と。


 カンッ!


 何かがぶつかったような、そんな音がした。軽い音だった

 なんだ、なにか落としたか。と振り返ってもそんなことは無く。


 ——ミオが頭から血を流し倒れた。


 ***(視点変わって)


「……まず一人」


 魔法使い、ミオを撃ったのは――ヴァルメク。


「奥の手まで使ってまだ生き延びてるってのは癪だが――」


 相手との距離、およそ2000m。その超長距離狙撃を成功させた。


「あの女二人がヤバイってのは分かったからな。ヤるなら一方的にヤるに限る」


 再び、大型の長い木で出来た狙撃銃を構える。


「今度こそきっちり仕事させてもらうぜ」


―――――――――――――――――

お読みいただいてありがとうございます。

よければブクマや最新話から評価をつけて応援していただけるととても嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。