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ジジイがボス部屋の重々しい扉を開けると、中央にそれはいた。ボスである。
ゴツゴツしい岩の塊の様なそのフォルムはいわゆるゴーレムである。基本的に弱点部位以外攻撃が一切通用しないこのゴーレムの攻略方は、先ずは小さな弱点部位を攻撃し続けダメージを与える。ダメージが一定数入ると胸が開き弱点コアが露出する。そこをコアが仕舞われるまでに一気に叩いて削り切るのだ。削り切れない場合はまた小さな弱点部位からやり直しとなる。
「おひょ〜。バレとらん。バレとらんぞーい」
どうやらジジイは【賢さ】で勝っていたようだ。ゴーレムは気付いていない。
「ゴッツイやっちゃのう。おんどれの耐久力とワシの爆弾の力比べじゃな」
どうあれジジイの攻略方法は1択である。
爆殺。
これ以外にない。そそくさとゴーレムの周りに爆発物を設置する。プラスチック爆薬などは直接ゴーレムにくっつけたりしている。じゅうぶんな火力といえよう。
「それじゃいくわいな! 発火!」
スリングショットライフルから手投げ弾が投擲される。狙いは違わずゴーレムを捉え、爆発物が次々と誘爆すると、盛大な爆発は一気にゴーレムを包み小さな弱点部位を削り切る。
現れた弱点コア、これはもうジジイの勝ち確かと思いきや。
「な、なんじゃ!? 倒しきれんかったのか!?」
驚愕である。あの爆発を凌ぎ切るとはジジイは思ってもみなかった。
そう、このボスモンスターの二段構えと言う仕様をジジイは知らないのだ。一撃必殺で倒してきたジジイゆえの悲劇だ。
「コンニャロ! こなくそ!」
こうなるともうやけっぱちになって手投げ弾を撃ちまくる。が、コアを狙う事を知らないゆえにダメージは幾らも入らない。爆風ダメージが入る程度だ。それでも超火力で半分以上削り切ったのだが、時間切れでコアは仕舞われてしまった。
それでも手投げ弾を撃ちまくるジジイだったが、コレまた上手く小さな弱点部位にダメージが通らない。ピンポイントで狙うか一気に大火力で押し切るか。ピンポイントで狙うプレイヤースキルの無いジジイは、大火力で押し切る選択肢しか無いが、弱点部位はかなり小さい。結局2度目のコア出しの前に【裸の王様】が切れてしまった。
ゴアアアアアと唸り声の様な雄叫びと共に、ゴーレムが突如現れたジジイに向かってきた。
「し、しもた! 裸の王様が切れてもーた! に、逃げ……」
だがいかんせん逃げ場など無いボス部屋。そして足の遅いジジイ。それは当然。
「あはぁ〜!」
踏み潰されて死に戻りとなるであった。
「おっふ! 死に戻ってしもーた。まさかあの爆発でくたばらんとはのぅ」
せめて弱点コア近辺に手投げ弾を撃ちまくる事が出来てれば削り切れたのかも知れなかったが、ジジイはそれを知らないのだ。
「あれ? コオロギさんじゃないですか?」
どうやら死に戻った先に偶々ゼロが通り掛かっていたようだ。ジジイに気付くと近付いてきた。
「また死に戻りましたか?」
「カッカッカッ! 面目ない」
あんな火力があればそうそう死ぬ事なんて無いと思ってみればこれだからな。
やれやれと苦笑するゼロ。
「それは災難でしたね。因みに何にやられました?」
「坑道ダンジョンのボスじゃ、イマイチ爆弾ダメージが通り難くての」
ああ〜と、その状況を思い浮かべるゼロ。確かに爺さんには相性の悪い敵かと。
「アレはですね、倒し方がよくわかって無いとしんどいんですよ」
ゴーレムの倒し方をレクチャーするゼロ。
「コア出しまで出来てるならコオロギさんの火力なら多分余裕ですよ」
「ほうか、あの赤いコア狙わにゃならんかったのか。ワシは足元ばっか狙っとったの」
結構わかりやすい弱点なんだけどな……
ゼロはその言葉を飲み込んだ。
「よっしゃ! 兄ちゃんありがとの! ワシ岩夫をやっつけてくるぞい!」
言うやいなやスッタカターと去って行くジジイの背を見ながらゼロは思った。
「ほんとにめげない人だよな。岩夫も災難だな。爺さんに目を付けられるなんて」
モンスターにすら同情するゼロであった。




