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ドゴーンドゴーンと爆発音が木霊する。ジジイである。【裸の王様】はとりあえず温存して手投げ弾をぶん撒いてダンジョン攻略を進めている。
あのモンスターはこう攻略、このモンスターはこの手で攻略…… とかは一切無い。馬鹿げた火力と馬鹿げた範囲攻撃によるゴリ押しである。
スリングショットライフルの射程距離なら安全確実にそれが行える。傍目にはロケットランチャーにしか見えないが。
もちろんこんな攻略はまともなプレイヤーには無理である。手投げ弾の火力もジジイは称号で押し上げられ、量産も容易い。更に一番のネックであるアイテム所持数が段違いなのだ。一般的なプレイヤーはアイテム袋の所持限界全て手投げ弾にしてもまるで足りない。そもそも全て手投げ弾にしたら他の回復系などのアイテムも持てなくなり現実的では無い。
「うひょうひょ! みるみる死んでいくわい。ホクホクじゃ!」
モンスターを撃破したダンジョン内はドロップアイテムが大量に転がっている。片っ端から拾っていけるのもジジイの強みだろう。
「結構手投げ弾も消費したの。いっぱいお土産もゲットでけたし、一旦引き揚げるかのぉ」
そうは言っても広大なダンジョン、鉱石なども掘削しながらだとどうしても時間がかかってしまうのだ。1階層毎、一通りチェックしては街へ戻りクラフトで消費分を回復させる。この方法なら次のアタックでは最短ルートで望めるのだ。
街の工房へと戻るとさっそくクラフトに取り掛かる。
「さてさて手投げ弾作ろうかのー」
「お? 手投げ弾のクラフトか? 最近癇癪玉は使わねぇのか?」
山岳工房の親方がジジイに話掛けてきた。
「ほうじゃなぁ、手投げ弾の方がゴッツイから好きじゃなぁ」
「癇癪玉++まで鍛えたのにもったいねぇな。一応更に上のクラフトを教えておくわ。土魔法に5ポイント振ってクラフトしてみろ」
何と親方から癇癪玉のパワーアップを教えて貰えた。これも工房でアホみたいにクラフトを繰り返して来て、親方との親密度が上がったからだろう。
「癇癪玉にまだ上があるんかいな! さっそくやってみるぞい」
ジジイがポイントを振ってクラフトした癇癪玉は癇癪玉Sと標記されている。
「癇癪玉Sとな?」
「スーパーのSだな。今までの癇癪玉と違って1点集中の火力タイプだ。爆発半径は最初期の癇癪玉レベルに戻る変わりに、威力はサイクロプスくらいは1撃だな」
「なんと!? 1つ目小僧をか!」
「ああ、それくらい強いな。それに++でもちゃんと作れるから安心しろ。自爆防止やパーティープレイ時に仲間を巻き込みたく無い時に使え」
「おお! そりゃ便利じゃ! こないだも盛大に殺しちまってペナルティ受けたわい」
「盛大にってお前、何人殺ったんだよ」
「確か36人じゃったな」
「……頼むから俺に投げるなよ?」
「ひょっひょっひょっ」
「笑顔が怖ぇわ! なんで投げないって即答しねえんだよ! 頼むぜほんとに」
なんであれ思わぬパワーアップを果たしたジジイ。ダンジョン攻略の様な面制圧を必要な時は手投げ弾や++、自爆しそうな場合には癇癪玉S。爆破の幅が広がる事に満足気でクラフトを続けた。
クラフトも一段落着いたところで、またダンジョンへと赴くジジイ。広大なダンジョンエリアを第3層までは攻略している。話に聞くと残り2層らしく攻略にも力が入るようだ。
「そーれどかーん。ほーらどごーん」
やってる事はムチャクチャではあるが。ゲームでなければ崩落して一巻の終わりであろう。
「うへへへ。歯ごたえが無いのぉ」
正直運営的にはもう少し攻略し難い設定で、モンスターも状態異常などを使用してきて、攻略適正レベル帯ならそこそこしんどいわけなのだが、
「いやっふぅ〜!! 吹っ飛べ哀愁!!」
ジジイはモンスターと哀愁を同時に吹き飛ばしながら進むので関係が無い。モンスターはジジイを確認する前に吹き飛ばされるのだから。
スタート時にはスライムに殺されていたジジイと誰が思うのか。まさしく破壊の権化と化していた。
ゲラゲラ笑いながら爆殺して進む事しばし、いよいよ到達した。
「おろ? この扉っちゅう事は、ここがボス部屋じゃな? 初めてじゃのここのボスは。オラ、ムラムラすっぞ」
すんな。ワクワクだ。
何とも怪しげなジジイの感情はさておき、いよいよジジイも【裸の王様】を発動する。エリアボスだけに通用するかは微妙だが、【賢さ】は散々上げてきている。これでダメならまたレベル上げの日々に戻るだけと、ジジイに気負いは無い。
「たのもぉ〜」
ボス部屋の重々しい扉を開けて決戦場へと入って行った。




