39
ジジイが転移した場所は森林エリアだ。とは言っても見慣れない場所である。水の精霊様がいた草原エリアの様な場所なのだろう。
「ここが風の精霊界かいな。風の精霊様は何処に行ったのかのぅ」
テケテケ歩き回れば程なくしてどっかで見たようなテラスがある。そこには先程助けた風の精霊シルフィがいた。
「よく来たな人間。よくぞ我を助けてくれた。礼を言う」
「なんもなんも! 当然の事をしたまでじゃわい」
「フム、謙虚で良いな。そなたにはコレをやろう」
【風の精霊の加護】
・風属性魔法の威力(効果)上昇 消費MPの軽減
・風属性極大魔法入手条件開放
・風の精霊召喚
・土属性攻撃の被ダメージ軽減
・風属性アイテムの威力(効果)上昇
・クラフトに風属性アイテムを使用時、必要個数軽減、効果上昇
・状態異常軽減・微
・地形ダメージ軽減・微
【風の精霊の薄羽】
・???
「こりゃ有り難いの。さんきゅーじゃわい、しるふぃちゃん」
「!? クックック…… 我をシルフィちゃんか」
「あかんかったかの?」
「良い。我はシルフィちゃんだ」
基本誰にでも気さくなジジイ。それが精霊だろうがお構い無しである。
「ほんでのしるふぃちゃん。ワシ、アンタに頼みがあるんじゃ。【精霊石】が欲しいんじゃよ」
「ほぅ…… 精霊石か…… すまんな、あいにく今、我の手には無い」
「無いんかい! ほうかぁ〜、それは困ったのぉ」
「ただ、持っている奴なら知っておる。【土の精霊ノーム】じゃ」
「ホンマかいな! ほんで、何処に行けば会えるんかの?」
「ノームは山岳エリアじゃな」
「ほうか! 情報ありがとのしるふぃちゃん! またの!」
「ああ、我も助けて貰って感謝しておる。また会おう」
お目当ての【精霊石】こそ手に入らなかったが、貴重な情報は手に入れる事は出来た。意気揚々とソフィーの待つ転移ポーター前に戻ったが、
「なんでなんでなんでありえないありえないありえない……」
何やら俯いて呪詛の様な物を呟く、綺麗な金髪がボサボサのソフィーがいた。
「お、おおう…… どうした江藤さん、拾い食いでもして当たったのかの?」
ジジイが戻って来た事に気付くと、慌てて手ぐしで髪をくしくしと整えるソフィー。
「あ、あ、すいません、少し考え事を、はい、もう大丈夫ですので、ど、どうでした?」
「う〜ん。目当ての物は入らなかったぞい」
「あ……、それは残念でしたね。でも、そのうちきっと見付かると思いますよ!」
何も確証など無いが、このお爺さんはきっと見付ける。そんな予感しかしないソフィーだった。
一応の目的を果たした2人は、森林の村まで戻るとパーティーを解散した。
「では、また何か有りましたらお願い致しますね」
「今日は助かったぞい。またの、江藤さん」
ソフィーと別れたジジイ、もちろん向かう先は山岳エリア。とりあえず山岳の街で情報収集するかと、ジジイは山岳の街を目指した。
「うほーい、山岳の親方ぁ! 聞きたい事があるんじゃよー、ノームって何処ぞにおるんかいのぉ」
「お前ねぇ、土の精霊様を呼び捨てにするんじゃねぇよ。ノーム様なノーム様」
「おう! そのノムさんは何処ぞにおるんかいの?」
「ID野球しそうな呼び方にしてんじゃねぇ! まったくもう。まぁ結論から言うと知らん」
「知らんのかい!」
「精霊様がそんなにホイホイ会ってくれるわけねぇだろ。ん~~でも、エリアダンジョンに居る噂は聞いた事あるな。まぁ噂だし、ダンジョンは隅々まで探索されてるからガセっぽいけどな」
「山岳のダンジョンかいな」
「おう。お前さんもよく知ってる鉱山だ。かなり入り組んでるから最奥まで行くなら骨は折れるぞ」
そう、いよいよエリアダンジョンも第3エリアから冒険者泣かせの本格化が始まる。手始めの冒険者泣かせは広さと複雑さである。
複雑に掘り進められた鉱山はさながら迷路の様に入り組んでいる。第2エリアまでの様な単純構造では無い。階層数も増えて、しっかりと事前準備が無いならアイテム枯渇で詰む可能性もある。
「まぁ採掘ついでに行ってくるわい」
ただ、【裸の王様】のあるジジイは比較的に有利だし、何しろ爆破で行進と言う荒業がある。ダンジョンは広いフィールドよりジジイにとって安全かも知れない。
因みにだが、ダンジョンと言うのは個人、或いはパーティーで挑戦する仕様だ。フィールドのようにそこらにプレイヤーはいない。つまり同じ時間に同じダンジョンに入っても、別の同じダンジョンに挑戦していると言う感じだ。
そうと決まれば威風堂々と突き進むジジイ。
「うひょー! 爆発じゃあ!!」
今日も今日とて喜色満面に山岳ダンジョンの鉱山へと潜っていった。




