表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ジジイ爆ぜる  作者: おやびん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/38

28

「北の玄武とな」


 ジジイがラファエルに割り当てられたのは拠点の北、玄武が現れる方向だ。

 今現在、拠点の外の荒地で他のプレイヤーと一緒にいるのだが。


「よりにもよって北かよ」

「完全にお荷物扱いだな俺達」

「ジジイのお守りもさせられるしよー」


 集まったプレイヤー達は口々に愚痴を垂れている。


 なぜか?


 この北の玄武は他のボスモンスター、朱雀、白虎、青龍と比べると足が遅い。こちらが無理に攻め込みでもしない限り、接敵は一番遅い。

 つまりここに集められたプレイヤーはとにかく足止めを目的にしろと、他のボスモンスターを倒したプレイヤー達が来るまでの、時間稼ぎ要員程度にしか思われていないのだ。案に実力不足を言い渡されたみたいなものなのだ。

 期待されないというのは情けなくも悔しく、だがそれを覆す力も無く、腐ってしまって愚痴っているのだろう。


「のう、罠って仕掛けてもいいんかの?」


 そんな内情などつゆとも知らないジジイ、早速新爆破アイテムを試したいのだが、


「ああ? 勝手にそんなもん仕掛けたりすんなよ! 危ねぇだろうが」


 却下されてしまった。


「ほうかぁ〜」 


 心底悲しそうに肩を落とすジジイ、そんなジジイに声を掛ける女性プレイヤーが。


「ね、ねえ、お爺ちゃん。お爺ちゃんて便所コオロギさん……だよね?」


「ん? ほうじゃよ?」


 便所コオロギ! キターーーーーッ!!


「アタシね、ゼロさんのお友達でササメユキっていいます! お爺ちゃんもお友達になってくれるかな?」


 魔女っ娘ルックに身を包むササメユキ。実力的には中堅プレイヤーくらいか。ジジイの話は板の方でゼロに聞かされている。


「ほっほ~(あん)ちゃんのお友達かいな。構わんよ、人類皆兄弟じゃ」


「やった!」


 こんな状況でフレンド交換するあたり、案外肝の座った女の子なのかも知れない。


「で、お爺ちゃんこんなとこしょげてどしたの?」


「ああ、ワシは罠を仕掛けたかったんじゃがの、ダメじゃ言われてのぉ」


「う〜ん、確かにこの辺は戦場になるから罠仕掛けるのはあぶないかな。でももっと森林の奥の方なら大丈夫じゃないかな? アタシが聞いて来てあげるよー」


 ササメユキは他のプレイヤーに説明しに行くと、程なく笑顔で戻ってきた。


「お爺ちゃん、荒地の外なら別にいいって! 良かったね!」


「ほんまかいなぁ! エエ事聞いたわい。ユキちゃんありがとのー」


 ジジイは軽くササメユキに礼を告げると森林地帯に入って行く。


「ちょっと待ってよぉ! お爺ちゃんアタシも行くぅ〜」


 そしてササメユキも付いてゆくのだった。


 タッタカスタコラ進む2人。5分くらい道なりに進み続けると、


「あった! アレがモンスターの這い出て来る魔法陣じゃな!」


「うん、そうみたいだね。で、お爺ちゃん、こんなとこまで来て大丈夫?」


「さぁ? どうじゃろうの?」


「えええ〜!?」


 そりゃジジイがそんな事まで考えてるわけも無い。


「まぁでも面白いもんが見れると思うぞい。ここらを罠まみれにしちゃろ」


「おお! お爺ちゃん! してその罠は? どんな罠ですか?」


「地雷じゃ」


「へ!? 地雷? Z・I・R・A・I? わぁお」


「対人地雷に対戦車地雷、カスタムクラフトでフレシェット弾頭地雷なんてのも出来たの」


「よ、よく分かんないけど凄そうだね」


「せっかくじゃしTNT爆薬もそこら仕掛けとくわい。火力上がりそうじゃの」


「うわぁ……、アタシ、なんかゼロさんみたいに歴史の生き証人になりそうだよ」


 中堅プレイヤーでもちょっと聞いたことの無いラインナップである。そもそもこの手のゲームで地雷なんてあんまりお目にかかれるもんでも無いだろう。


「あっと! いけない! お爺ちゃんまだ掛かる? あと5分くらいでモンスター出てくるみたいだよ?」


「おお、そりゃマズイの。ここらできり上げるかの。ほしたら……」


 辺りを見回すジジイ。

 

「うむ、あそこが良いの」


 少々離れてしまうが、かなり高くガッシリとした巨木に目を向けると、いそいそとよじ登る。

 ソフィーに貰った【力の指輪】がその効力を発揮してくれて、以前より木登り速度は上がっている。


「よいっしょっと!」

「ふぃ〜、やっと登れたわい。ユキちゃんありがとの」

「どーいたしまして!」


 それでも結局ササメユキに引っ張って貰ってヒイコラよじ登ったわけだが。

 

「おほ〜! よく見えるの〜」

「魔法陣、結構離れちゃったけどいいの?」

「いや、むしろ離れにゃ危のうてかなわんわいな」


 話には聞いていても、ジジイの爆弾の破壊力は見たわけでは無い。ササメユキはせいぜい手投げ弾の威力が少し高くなった物ぐらいにしか考えてないのだ。


「よ~し、お爺ちゃん。あと10秒9秒……」


 5……4……3……2……1……


 魔法陣が輝くと無数のモンスターが一気に現れた!!


 そして……

 

 地獄のような大爆発が始まった!!


 吹き上がる爆炎!! 吹きすさぶ爆風!! 大連鎖の始まった爆発地獄はもはや大空襲さながらである!!


「おほ〜っ!! 爆発じゃあ!! うひょひょひょひょ!! 爆ぜれ!! 爆ぜるんじゃあ!!」


 狂喜乱舞するジジイ。巨大な爆炎に照らされたジジイの姿はなんかこうコンプライアンスに引っ掛かるんじゃないかしら? とさえ思える。


「あ……あ……」


 目を見開くササメユキは、もはや声にもならない。こんな地獄を目の当たりにすればそりゃそうなる。

 爆発が一通り収まれば、そこには一匹だけモンスターが残っていた。既に死に体とも言える程にボロボロではあるが、巨大な亀型モンスター【玄武】である。

 ボスモンスターは最後に出て来る仕様の為に、最大火力の難は逃れたのだろう。


「ほっほ~、まだ生きちょるのおったわい。トドメ差さんとの」


 ジジイはスリングショットライフルを取り出すと、


「ん? この距離ならマックス濃縮イケるかもの」


 高い木に登ったぶん、距離も稼げた。コレならとマックス濃縮手投げ弾をセットする。


「ぐっどらっく〜」


 実に軽い感じで放たれた2発のマックス濃縮手投げ弾は、確実に玄武を捉えると、巨大な爆発を巻き起こして撃滅した。


 第18サーバー玄武討伐確認


 運営から告知された余りにも秒殺過ぎる玄武討伐に、全てのプレイヤーが一瞬動きを止めたとか。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ