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ジジイ爆ぜる  作者: おやびん


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 イベントが始まる前からジジイに振り回され、疲労困憊のゼロとソフィー。主に精神的にだが。


「ところで(あん)ちゃん、このイベントはどんな感じで遊ぶんじゃ?」


「ああ、それはですね……」


 ゼロが説明を始めた。


 このイベントはフィールド中央の防御拠点を、東西南北の4カ所から攻め込んで来るモンスター軍団から守るイベントである。北の玄武、南の朱雀、東の青龍、西の白虎。


 フィールドは中央に防御拠点があり、それをぐるっと荒地が囲い、荒地の外側は森林地帯となっている。それぞれ東西南北4方向に街道が有り、終点にはモンスターが現れる魔法陣が設置してある。


 プレイヤー達はこの4方向から押し寄せるモンスターを退治するわけだが、戦力の配置や防衛方法などを自分達で決めて戦うのだ。

 完全に守りに入るのも良し、魔法陣まで攻め入るのも良し。或いは半々に分けるのも良し。


 プレイヤーの質も配置構成として考えなければならない。上級プレイヤーで固まって1つ1つ一気に攻め落とす。その間、他のプレイヤーはひたすら防御に努める。もしくは平均的な強さで割り振る。


 とかく戦術いかんで勝敗は大きく左右するだろう。


 勝利条件は敵の殲滅。一定時間拠点の防衛に成功。


 敗北条件はプレイヤーの全滅。拠点の崩壊レベルが80%を超える。


 勝利タイムや、拠点の崩壊レベルで他サーバーとの順位が決まる。


「ほうほう。よくわからんの」


 まぁジジイじゃしょうがない。


「ま、まぁ深く考えずに攻めてきたモンスターを倒せばいいんですよ」


 だろうなと、ゼロも苦笑しながらこたえた。


「そ、それじゃあお爺さん、私と一緒に戦いませんか? 私、お爺さんの事守ってあげれますし」


 あんなしょぼくれた指輪の対価に、退魔の宝剣を貰ったしまった負い目もあるが、ソフィーはスッカリジジイが気に入ってしまっているようだ。


「ん、それなら俺も一緒に戦うかなぁ。久しぶりにコオロギさんの癇癪玉も観たいし」


 ゼロはジジイの破壊力を知っている。あの癇癪玉投げてるだけでかなりの面破壊力になる。下手な中堅プレイヤーより断然頼りにできるのだ。


「ワシャなんでも良いぞい」


 3人が3人とも、ソロプレイヤーでクランには所属していない。しがらみが無いぶん、この辺は自由に立ちまわれる。


 が。


「ちょっとまってくれ」


 そんな3人にちょっと待ったを掛ける声。振り向けば体躯の良い男性プレイヤーだ。

 

「ラファエルか」

「ちょっと待てとはどう言う?」


 ゼロとソフィーは、このラファエルと言う男に少し構えた。余り好意的な相手では無いのかも知れない。


「どうもこうもない。上位ランカーのアンタ等が固まったら困るって言っているんだ」


 ラファエルの口調もどこか上から目線の高圧的な態度だ。


「別に私達が3人くらい固まったところでそんなに影響無いと思いますけど?」


 ソフィーが言い返したところで、ゼロがソフィーを制した。


「確かにそこまで影響があるとは思えんが、奴の言ってることは正論だ。周りを見ろ」


 他のプレイヤーもゼロとソフィーが一緒になることには納得いかない空気になっている。


 ゼロはイベントランキング常連の猛者中の猛者。

ソフィーは称号【戦乙女(ヴァルキリー)】を持つ上位プレイヤーだ。

 普段ならあまり気にならないと思われるが、ラファエルにああ言う形で指摘されては、皆、意識してしまっているのだろう。


「……わかりました。ならゼロさんとは別の持ち場に致します。ではお爺さん、私達だけでも一緒に……」


「だから待てって!」


「はい?」


 ジジイとの共闘すら待ったを掛けるラファエルに、明らかな怒りの表情を見せるソフィー。


「俺達はな、遊びに来たわけじゃないんだよ。きちんと戦力を分け、戦術を練り、勝利し、他サーバーより抜きん出たい。なぁ! 皆んなもそう思うだろ?」


 ラファエルは辺りのプレイヤーに賛同を求めると、そうだそうだとざわめきだす。


「アンタみたいな最高戦力をこんな爺さんのお守りに使えないって言ってんだ」


 パンイチホームレスだ。その考えは無理もない。言い方こそトゲがあるが、至極真っ当である。


「だからってそんな言い方は無いでしょう!」


「言っちゃ悪いが、その爺さんが本気でイベントに臨んでるとは思えないけどな。防具すら着けて無いんだぜ? 冷やかしにしか見えないんだよ!」


 いやまぁ実際半ば冷やかしなんだなコレが。ゼロに誘われてお祭り気分で参加したジジイてすから。


「でも!」


「ああ、ああ、いいんじゃよ江藤さん。実際、ワシはお祭り気分で参加しとるしの。一緒に戦えんのは残念じゃが、ワシ等だけわがまま言っちゃいかん。皆んなで力を合わせんとの」


「ほらみろ、爺さんの方が物分かりいいじゃねえか。悪いな爺さん」


「なんもなんも! しゃーないしゃーない」


 明らかにジジイを馬鹿にしたような態度だが、ジジイは本気で気にしていない。それより早く爆弾を放り投げたいでいっぱいだからだ。


「ま、それじゃ配置構成は俺がやりますかね。誰も文句無いみたいだし」


 かくして、四方への人選はラファエルに一任された。そしてそれはジジイを自由にするという、一番危険な選択肢でもあった。

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