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ジジイ爆ぜる  作者: おやびん


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「うひぃ〜、結局死んでもーたのー。にしてもドえらい火力じゃったのぉ」


 手投げ弾で自爆死に戻りはしたものの、その爆発には確かな手応えを感じたジジイ。先ずは満足といったところか。そんな折、


「ん〜? なんか街中がピリついとるのぉ」


 死に戻ってふと辺りを見渡すと、普段は穏やかな賑わいを見せる街が何やらザワついているのだ。

 ジジイは何があったのかと、その辺のプレイヤーに聞いてみた。


「のぉ、何をそんなに騒いどるんじゃ?」


「お? 爺さんか。なんだ知らないのか? ついさっき草原エリアで謎の大爆発があったんだってよ」


「謎の大爆発とな!?」


 爆発と聞けば聞き捨てならない。それも大爆発ときた。ジジイの興味は高まる。


「まだ噂だけどな、なんかヤバいモンスターが出現したんじゃないかって感じだぞ」


「ほっほ~、そりゃ豪気な話じゃのぉ! ワシも見てみたいもんじゃ」


「やめとけやめとけ、爺さんなんか巻き込まれて死に戻るだけだぞ」


 実際その爆発で死に戻ってたりする。そう、大爆発の正体はジジイの手投げ弾である。

 まさかジジイがそんな手投げ弾を持っているなどとは当然他のプレイヤーは知る由もなく、ジジイにしてみれば当事者の自覚など有るわけも無い。

 この事件は草原謎の大爆発事件として迷宮入りしたとかしないとか。


「しかしせっかくこさえた手投げ弾が使えんのはもったいないしつまらんのぉ。どうにか出来んもんか親方に聞いてみるかのー」


 何しろ手投げ弾を投げたくてこのゲームを続けていたまであるのだ、それは当然の欲求だろう。早速クラフト工房の親方に相談しに行く。


「お~い親方ぁ、手投げ弾ついにこさえたんじゃがの、ワシの投擲距離じゃ爆発範囲に入ってもーて自滅してしまうんじゃよ。何とかならんかの?」


「なんだ便所コオロギの、そんな事か。ひたすら力のステータス上げてきゃそのうち投擲距離も延びるけどよ、手っ取り早くは、ま、クラフトだな」


「クラフトで距離延びるんかいな?」


「厳密には武器のクラフトだ。あんまり使ってる奴は見掛けないけどよ、スリングショットは癇癪玉や手投げ弾を撃ち出せるぜ」


「そりゃエエこと聞いたわい! 早速こさえてみるかの」


「いや、ちょっと待て。便所コオロギののクラフトレベルなら問題無く作れるけどよ、スリングショットってのは弾をセットして引っ張って撃つ、いわばパチンコだな。だから連発は出来ん。そこでだ、お前さんカスタムクラフトは知ってるか?」


「知らんのぉ」


「なら山岳の街のクラフト工房に行ってみろ。そこの親方は俺の弟だ。カスタムクラフトについて教えてくれるだろうぜ。奴ならスリングショットを連発するカスタムを知ってるかも知れねえぞ」


「なるほどの、さんきゅーじゃ親方。ひとっ走り行ってみるわい」


 親方に礼を行って工房を後にするジジイ。一路目指すは山岳の街。程なくすれば街に辿り着き、クラフト工房にやって来た。


「うぉ~い。山岳の親方ぁ、カスタムクラフトってのを教えてくれんかの」


「おうらっしゃい。カスタムクラフトだな? いいぜ、教えてやるよ。ところでアンタ、もしかして便所コオロギの爺さんか?」


「お? ワシの事知っちょるんかい?」


「おうやっぱりか! 聞いてた見た目通りだな。本当にパンイチなんだな。いや、アンタは俺達ドワーフの恩人だしよ、兄貴からもよろしくしてやってくれって言われてんだよ」


 以前の隠しクエストのおかげで、ジジイのドワーフからの友好度は爆上がりしている。本来ならカスタムクラフト用のクエストをこなさないと、カスタムクラフトは教えて貰えないが、ジジイは免除されたようだ。


 かくして、一通りのカスタムクラフトの手順やスリングショットのカスタムを教わった。

 カスタム化されたスリングショットはスリングショットライフルとなり、確かにライフル銃の見た目さながら、二連発の射出を可能としていた。


「完成じゃあ! 試し撃ちに行って来るぞい!!」


 血気にはやるホーレスジジイ。パンイチでライフル銃を持つビューティフルスタイルは、行き交う人々のヘイトを嫌でも買いまくる。


「うへ、うへへへ、連発じゃあ! 連発じゃ〜!」


「お、おい、爺さんいよいよ銃を持ち始めたぞ」

「アレ癇癪玉放出するやつよ? スライム倒すのに3発必要な」

「それよりあの、どこぞの村で猟奇連続殺人しそうなスタイルはみんなスルーなのか?」


 爺さんついに武器を持つの報はまたたく間に知れ渡ったが、結局癇癪玉かい! のツッコミも同じく知れ渡った。


「おるわいおるわい。憎っくき鳥女どもめ!」


 試し撃ちでジジイが選んだ獲物はハーピーだった。手投げ弾は射出後約数秒で爆発する。つまり生当てしなくても、爆発範囲に入ってさえ居れば問題無いのだ。ジジイお手製脅威の手投げ弾なら、少々狙いが雑でも何とかなるだろう。


 そして。


 またもやあの凶悪な爆発が爆ぜた!! 周りのプレイヤーは誰もジジイには注視しておらず、何処からか何者かが砲撃してきたやら、草原エリアで起こった大爆発のモンスターが現れたやら、見当外れの推意で侃々諤々だ。


「い、厳ついのぉ〜!! これじゃよ! ワシの求めてたのはこれじゃぁ!!」


 いよいよジジイの火力に手が付けられなくなってゆくのであった。

 


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