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ようやく火薬の採集出来るエリアである鉱山に来たものの、エリア帯のモンスターに難儀するジジイ。とりわけ有翼モンスターハーピーに至っては手も足も出ない。癇癪玉は衝撃で爆発する為、空を飛ぶモンスターの場合は生当てが必須だ。当然ジジイにそんなテクい能力も無く一方的に狩られてしまう。
「火薬が目の前にあるのにのぅ。やっぱり【裸の王様】でバレんようになるまで大人しく賢さをあげるかのー」
ジジイは一旦エリアを戻しレベル上げに興じる事にした。せっかくなので未だ攻略していない草原のエリアボスを倒すかと意気込む。
「工房の親方に聞いた場所はこの辺じゃったけどのー…… おお! あったわい」
情報頼りに来た草原ダンジョン。草原のどまんなかにドデンと構えてるので、まぁ簡単に見付かるのだ。ダンジョンとしてもチュートリアル的な立ち位置だから致し方あるまい。
チュートリアルと言えどプレイヤースキルは絶望的なジジイ。しかも攻撃手段は爆弾縛り。敵とは一定の距離を取らないと攻撃に自分が巻き込まれてしまう為、曲がり角を曲がったらすぐ接敵などと言うダンジョンならではの問題に直面し、
「あはぁ〜」
今日も今日とて死に戻る。
「まいったのぉ。殺られる前に殺ら無いとワシは手段が無いからのぉ」
ジジイは考えた。そのテントウムシくらいの脳ミソをフル回転させ、出した結論。それは――――
「い〜ひっひっひっ!!」
爆破でしか無かった。すこぶる単純な話である。ダンジョンと言う構造がジジイと相性が良すぎたのだ。わざわざモンスターを見付ける必要など無い。
進む先に癇癪玉++を放り投げれば、その爆発半径に居るモンスターは爆散するのだから。
そこからはただの快進撃でしか無い。量産しまくった癇癪玉は潤沢。ましてダンジョン素材やモンスター撃破ドロップアイテムも手にはいる。換金すればまた癇癪玉++が作れる。むしろホクホクだったりした。
「おほ〜。ゼロの兄ちゃんがレベル上げならダンジョンと言うとったのはこういう事かいの」
ここまでプレイヤースキルゼロの脳筋プレイを指したわけでは無いのたが、ジジイは知る由もない。
そしてついに最奥にたどり着けば。
「扉じゃの。前に森林ダンジョンに兄ちゃんと行った時はここにボスがおったの」
あの時は簡易ダイナマイトで瞬殺だったが、今回はゼロと言う盾役はいない。簡易ダイナマイトだと自爆してしまうので癇癪玉++と、激烈癇癪玉に頼るしか無い。
ジジイは覚悟を決めて扉を開いた。
やや大きめの広間に佇むは1つ目の巨人。いわゆるサイクロプスである。
ジジイを発見するや咆哮をあげて突進してくるサイクロプス。その手に握られた無骨な棍棒が嫌が応にも恐怖心を煽り立てる。
「のわぁ~!! 来たわいなぁ!! ほりゃ! 癇癪玉を食らえ!!」
狙いは違わずサイクロプスに直撃する。だがさすがはエリアボス。怯みこそしたが1撃撃破には至らない。こうなって来ると苦しいのはジジイである。
エリアボス戦は倒すか倒されるか、1度ボスエリアに入ったら撤退出来ないのだ。つまりサイクロプスと距離を取るために逃げねばならないのだが。
「ぬおお〜」
絶望的に足が遅かった。本来サイクロプスは遅いのである。デカいので歩幅こそあるが、かといって逃げ切れないレベルでは無い。極論を言うとアウトレンジで弓チクで完封出来る程だ。
でもジジイの場合、爆発半径を考慮に入れるとしっかり距離を置かねばならない。しかしながら遅い足。
結果。
「あはぁ〜」
見事棍棒で叩き潰され死に戻ったのであった。




