第漆捌話 Reunion
体の一部を切り取られた感覚があるのだが、いかんせん、今の俺は地下茎だ。どこを失ったのかわからない。しかし、何度もあんなのを食らったら、まともに再生できなくなるかも知れない。方角も分からないまま、大急ぎで地下茎を伸ばし続ける。
バリバイバリバリッ!!!
もう一度、さっきの技を使ったようだ。今度はどこも切られていない。距離が離れれば、放射状に伸びる地割れの直撃を食らう確率は大幅に下がる。ひたすら、真っ直ぐ遠ざかる。
充分に距離を取ったところで地上に出て、人型に戻ろうとするが、膝上から下の脚がどちらも元に戻らなかった。
悪茄子の再生能力で新たな脚を作ってみたが動かない。動かし方がわからないのだ。そもそも、『脚がある』という感覚が理解できなくなっていたのだ。生まれつき、無かったかのように。
悪茄子の能力を使えば、自在に動けはするので、脚は飾りでも構わないのだが、もし、切られたのが頭だったら、今頃、俺はただの悪茄子になっていたと言う事だ。
しかし、そもそもがこの体は借り物なのだ。脚を切り取られようが、再生すれば元通り動かせるようになる。脚を動かしているのは脳だからだ。頭部さえ無事なら、体はいくらでも作れる。
なのに、一度切られただけで、脚の動かし方がわからなくなるというのは異常だ。それがこの世界のルールなのかそれとも・・・・。
試しに、自分の右手の小指を千切ってみる。激痛が走る。すぐに再生すると、新しい指は普通に動かせた。
この世界のルールでは無い。つまり、体の一部の『存在そのもの』を奪う『能力者』がいるのだ。
元の世界で見た奇妙なウサギ。あれは、頭を切り取られ、猿の頭をくっつけられたのではないか?
では、あの獣の化け物は。そして、村人たちの意識は・・・・・・
気が付くと村の外れまで来ていた。村に来る時にみた索道の反対側だ。大きな杉の大木に太いロープが結び付けられており、谷を挟んで反対側の方に伸びている。
「えっ!?」
目を疑った。そこにあるはずのない光景を目にしたからだ。
完全に灰色のモノトーンの世界のなかに、鮮やかな色を帯びた少女が2人。
「おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!!!!!!!
2人とも無事か!?」
追われている事も忘れ、全力の大声を出してしまう。
それより、もっと重要な事を忘れていた。今の俺は人間の姿をしていないのだ。
向こう岸の2人は、こちらに気付いたようだが、こっちを見ているだけだ。
逃げられるかもしれないが、こちらから向かうしかない。




