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福見福子の最終定理 第1章 始まりの仮説  作者: 黙定六
始まりの仮説
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第漆漆話 Failure

 そろそろ、獣のいる広場に出るのではないだろうか。進むのをやめ、地面に芽を出し、小さな花を1つ咲かせた。すると、花は目の役割を果たす。

 今、広場の端にいるらしい事がわかる。そして、獣の見張りは3人いるのだった。


 おかしい。なぜ、獣を見張る必要があるのだろう?

 獣が起きる可能性があるからか、それとも、俺に接触させたくないのか。そのどちらかではないか。

 この世界で唯一の敵である俺を排除することよりも、優先すべき事情がこの獣にはあるらしい。是が非でも接触する必要がある。

 ただ、見張りに騒がれると厄介だ。思いつきだが試してみるか。


 俺は残してきた小さな草を人型に成長させた。傍らの牙も手に持たせる。だが、俺の意識を入れたわけでは無い。ただの人形だ。その状態で、地下茎を切り離す。すると、人形が独立して動き始めた。


「いたぞ!こっちだ!!」


 見張りが声を上げる。森に入った連中は、俺が村に戻るとは思っていなかったらしく、声の位置が遠い。最も近いのが、獣の見張りの3人だった。

 3人は俺の人形の捕獲に向かって行った。


 地下茎の俺は、すぐに地中を全速力で進み、獣の足から寄生する。完全に体内に入り込み根を伸ばすが、強い抵抗を受けてしまった。

 獣には元々、悪茄子が寄生していたのだ。首領が塞いでいた穴から向こうの世界に伸びてきていた奴だ。そいつが、新たに侵入して来た俺を排除しようとしているのだ。


 どちらも同じ悪茄子だ。増殖力は互角。つまり、これ以上の侵入は難しいのだった。

 やむなく撤退して地面に戻ろうとする俺に、すぐ傍から偽誠の声が聞こえる。


「だから、無駄だと言っているでしょう!!」


 偽誠は、中にいる俺ごと、獣の足をぶった切る。

 俺の一部が切り取られ、獣に取り込まれて行った。同時に、俺から何かが失われるのを感じる。忘れるのでは無い。消える感覚。


「どうです?イグジストを切り取られる感覚は。」


 イグジストを切り取る!?


「見たんでしょう?この獣の中にあったものを。村人たちのイグジストの破片もその中にあるんですから。」


 俺はそんなのは見ていない。また、騙されているのだろうか。


「逃がしはしませんよ!」


 偽誠を中心に、四方八方に地割れが走る。


「誠さんは土属性なんですよ。知ってましたか?

 知りませんよねえ。知ってたら地面に潜ったりしませんよねえ。

 アハハハハハッハハハッハアハハハッハハハハアハアアアッハッハハッハハハハハ!!!!」


 狂ったような笑い声が辺りに響いたのだった。



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