第伍陸話 Research
「お前たちも、そう感じているのか。」
「はい!」
2人とも嬉しそうに返事をした。
「だが、本当にいたとしても、どうやったらこんな事になるんだ?誰の記憶にも残っていないなんて。」
「そういう能力者っていないんですか?」
!!!
そうか。私もそこそこいろんな能力を知っている方ではあるつもりだが、もしそういう能力なら、その能力をわざわざ第三者に語らない限り、他者に知れる事はないだろう。
『学派』の主流派にも評判が悪いだろうからなあ。私は。評議会もサボりまくっているし。強力な能力者に目をつけられる心当たりがありすぎて見当がつかない。
だが、村の住民が消し去られているとしたら、絶対に許すわけにはいかない。
「本格的に調べてみよう。だが、お前たちは手を出すな。それと、他言もするな。」
「えーーーーーーーっ!!」
「どうしてですか!?」
2人は不満の声を上げる。
「もし、そんな能力者がいるとしたら、相当に上位のはずだ。私でも対抗できないかもしれない。」
「首領様の能力は、序列第2位なんでしょ?
って事は1位の人が犯人?」
翔太が身を乗り出してくる。
「まあ、そう急ぐな。まだ、本当に子供がいたのかどうかも分かっていないんだ。
それに、犯人がいるとして、既存の能力者では無い。私が知ってる奴だったとしても、能力は隠していたはずだ。犯人の目星など付けようも無い。」
「じゃあ、どうやって調べるって言うのですか?」
「玄爺の力を借りようと思う。これ以上は内緒だ。」
「えーーーーーーーーーーーーっ!!」
「教えてくれないの!?」
「だから、お前たちは関わっちゃあダメなんだ!
昭二には事情を説明しておくから、絶対にでしゃばるなよ。
もし、言いつけを破ったら草引きくらいじゃあ済まなくなるからな!」
「わかりました~。」
2人はシュンとして帰っていった。
さて、と言ったもののどうすればいいのだろう。玄爺には村の周囲に、出入りを監視するための結界を展開して貰うつもりだ。住民を消し去るほどの高度な能力を使うためには、恐らく、直接、対象と接触する必要があるだろう。つまり、村に余所者が出入りしていなければ、その能力も使えないはずだ。
その上で、私が村にいないとなれば、今もこの村を狙っているのなら、高い確率で仕掛けて来るのではないだろうか。
もしもに備え、手錬の3人には計画を伝えておくつもりだ。ちょうど、昭二はあとで来る事になっている。あとの2人にも伝えるように言っておけばいいだろう。
などと考えていると、目の前にひょこひょこと野うさぎが跳ねて来た。堂々と人の気配が有るところに出て来るのは珍しいのだが、もっと珍しいのは、頭と胴体の大きさが全然合っていないことだった。
やたら、体が大きい。というか、うさぎの体じゃない。猿だ。猿がうさぎ跳びをしているのだ。
「鵺のできそこないか。」
ぽつりと呟く。
複数の動物の体が混ざっている固体は、この周辺では珍しくないのだ。ただ、いまだに何故そのような事が起こるのかはわかっていない。
これも、事件に関わりがあるのだろうか?




