第伍参話 Revenge
大蛇は頭をもたげると、天井ギリギリの高さから首領を見下ろす。首領は首を切り落とすように、気弾を撃ち込むが、少し傷がついただけで、それもすぐに修復されてしまった。
「貴様と会うのは久しぶりよのう。あの時の借りを返させてもらおう。」
首領はつかつかと近づき、大蛇の間合いに入っていく。
大蛇は遠慮なく首領を頭から丸飲みにする。次の瞬間、大蛇の頭が爆発して弾け飛んだ。
しかし、残った部分の先端が再び頭になり、飛び散った部分も粘液となって再び大蛇に合流していった。
「あのときといっしょじゃな。だが、こいつはどうだ?」
というと、纏っていた逆陽の気に炎を練りこみ、結界を展開した。
大蛇は首領から距離をとろうと、部屋の隅を這っている。それを見た首領は、すかさずその場で手刀を振り下ろす。
炎をまとったカマイタチのような気弾が大蛇の胴体を真っ二つに切り裂くと、たまらず、大蛇は2匹に分裂した。
2匹の大蛇はすぐさまとぐろを巻いて防御の体制を取った。伸びていれば、簡単に分断されてしまい、小さくなれば気弾の餌食だと悟ったようだ。
しかし、首領は待ってましたとばかりに、右側の1匹目掛けて、真っ直ぐ突っ込んだ。
ジュジューーーーーーーーーーーーーー、ボン!!
首領の結界に接触した部分が激しく沸騰し、カスが燃えて猛烈な煙を放つ。首領はそれに構わずとぐろの内部に侵入すると、爆発が起こり大蛇がバラバラに千切れ飛んだのだった。
体の一部は、粘液に戻ってもう1匹に合流したが、明らかに最初に蛇の姿になったときよりも、小さくなっているのだった。
首領は休まず、もう1匹の大蛇へと突っ込んでいく。すると、大蛇はポロポロと体から粘液の雫を垂れ流したかと思うと、全ての雫が小さな白蛇へと変わったのだった。大蛇の本体もみるみる小さくなり、無数の小さい蛇が首領を半円形に包囲していた。
首領は構わず真っ直ぐ突っ込み、白蛇を焼いていく。だが、目標が分散しているため、効率が非常に悪いようだった。対象の位置が低くなった事も、炎熱系の攻撃にとっては不利に働いていた。
俺は手助けをしようと、白蛇に伸ばした枝を振るう。白蛇は簡単に千切れ飛び、玄爺の結界に叩きつけられて崩れ落ちる。
左翼は片付けようと、俺も前へと出ようとする。
「来るな!
こいつの毒は精神を蝕む!!」
首領に制されてしまった。そして、急に俺の後方へ気弾を放つ。そこには、いつの間にか白蛇が忍び寄っていたのだった。
間一髪で首領に救われたが、
「ぐうッ、う、ぐぐ。」
首領が呻き声を上げてその場に膝を着く。経絡への無理が限界に達したのだ。逆陽の結界も消えている。
ここぞとばかりに、一斉に白蛇が飛び掛ったのだった。




