第参漆話 Ignorant
俺は偽浩二がいた世界で起きたことと、翔太と理恵を小杖が別の世界に送ったこと。そして、今は2人の元々いなかった世界に再構築されていることなどを話した。その結果、番外にマークされている事も。
「小杖と福子の件に、関係なくは無いと言うのはどういう事なのですか?」
「知らん。」
「知らんは無いでしょう。俺は全て話しました。騙したのですか?」
「自惚れるなよ小僧。お前、番外の隊長の『領域』に捕まったんだろう?」
「ええ。気がついたら、一切の能力の使えない世界にいました。」
「ありゃあよう、対抗手段の存在しない力だと言われてんだよ。捕まったら最後。奴の意思で無ければ絶対に逃げられない。だから、あの領域に捕まらないうちに、逃げるなり倒すなりするしかないんだ。
だが、お前はあっさりと捕まっちまった。奴がなぜお前を解放したのかはわからない。だが、奴がその気なら、お前を拷問するも、頭かち割って、脳みそから直接情報を聞き出すも出来たってことだ。
そんな奴に、大事な情報を簡単に渡せると思うか?」
ぐうの音もでなかった。
「お前は弱い。だから、わしは知らん。」
「では、あの2人の事はどうすれば・・・」
・・・・・・・・・。
首領は少し間をおくと。
「ワシに昼寝をさせてみろ。」
「!?」
「ワシは10年、寝た事がないんだ。ここを離れられるのは一瞬だからな。だから、昼寝できるくらい、お前が代わりにここを守ってみろ。」
「わかりました。」
「わかってねえよ!!」
恐ろしい声で怒鳴られた。
「生半な奴なら、ワシが足を抜いたとたん、すぐにお陀仏なんだよ。まずは考えろ。そして準備しろ。準備ができたら声をかけろ!!」
「でも、2人が。」
「まだ、『あっち』は数分も経ってないだろうよ。それに一人は『白杖』の娘だろう。死にゃあせん!」
「小杖の事を知ってるんですか?」
「だから、知らんと言っとろうが!!それより、自分の身を心配しろ。危険に身をさらすのは、お前の方なんだからな。」
そうは言われても、何をどう準備すればいいんだ。
「表のじじいは玄爺という結界師だ。ここの結界を張っているのもあいつだ。」
「大結界についても詳しいと?」
「これ以上、言わせるな!」
俺はすごすごと部屋を出た。
「首領はお優しい方なんです。」
玄爺の方から声をかけてきた。声は外まで筒抜けだったようだ。
「全ては、あなたの成長に必要だとお考えなのでしょう。」
「大結界とはどういうものなのですか?」
「それをお教えする事はできません。」
やっぱり、核心部分は話して貰えないか。
「では、首領が足を抜くと何が起こるのですか?」
「穴からよくないものが吹き出してきます。」
「それによって命を落とすことがあると!?」
「正直に申しまして、あなたが命を落とされる事が問題なのではありません。よくないものが増えすぎて、私の結界で抑え切れなくなるのが問題なのです。そうなる前に、首領が止めるでしょうが。」




