↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
行商人ヒルデと魔剣ヴェルサレス  作者: 鳥部 本太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
22/34

第二十一話 レイナを訪ねて

 

 ヒルデは行商車(ぎょうしょうぐるま)を押しながら、隣町の『リューベン』へとやって来ていた。

 目的はひとつ──「魔封剣ネメシス」の情報を求め、女盗賊で剣コレクターのレイナに会うためだ。


「よーし、着いた! リューベン! まずはレイナさんの家を探さないとだね!」


 背中で魔剣ヴェルサレスがぼそりと忠告する。


【しらみ潰しに探しても埒があかんぞ】


「だよね〜。分かってるってば。……というわけで、まずは商売から!」


 ヒルデは町の広場に行商車を止めると、さっそく商売を始めた。

 久しぶりの行商に、やたらと商人魂を燃やしているようだ。


「いらっしゃいませ〜! いい素材が揃ってますよー!」


 しばらくすると、ヒルデの周りに人が集まり始める。


「君が商人なのかい? まだ小さいのに、偉いじゃないか」


「自分で素材集めてるの? 立派だねぇ」


 ヒルデはどうやら、人を惹きつける天性のものを持っているらしい。

 素材は次々に飛ぶように売れていった。


 ついでに、ヒルデは客からレイナの情報を聞き出していく。


 ──すると。


「レイナ? ああ、知ってる知ってる。あの剣マニアでしょ?」


「うん、レイナはこの町じゃ有名人だよ。“あの人に剣のこと聞いたら間違いなし”って言われてるくらいさ」


【なるほどな……商売ついでに聞き込みか。なかなか効率的ではないか】


 魔剣は珍しく、ヒルデに感心した様子だった。


◇◇◇


 ヒルデは聞き込みを重ね、町の人々から得た情報を頼りに、住宅街の外れへと向かう。

 

 ──そして見つけた。


 石造りで、なかなか立派な建物。門の前には、やけに目立つ金属製の看板が掲げられている。


 『剣(つるぎ)コレクター レイナ』


【……盗賊の癖に、なんだこの自己主張の強すぎる家は】


 ヴェルサレスがボソリと呟き、ヒルデがクスリと笑った。


「ほんとだね。なんか看板がやたらキラキラしてるし」


 門を開けて中へ入ると、庭には大小さまざまな剣のオブジェが立ち並び、まるで小さな剣の美術館のようだった。


「わぁ……思ってたより、ちゃんとしてる……」


【ふん。どこからかき集めたのか……おそらく碌でもない手段であろう】


 ヒルデがドアベルを鳴らそうとした、そのとき──


 ガチャッ


 扉が突然開き、中から現れたのは──


「……騒がしいと思ったら、あんたらか」


 腕を組んだレイナが、相変わらず気だるげな目でヒルデを見下ろしていた。


「レイナさんっ!」


 ヒルデは目を輝かせながら駆け寄り、勢いよくレイナに抱きついた。


「ちょっと! 馴れ馴れしいわね! 何なのよ、いきなり!」


 思わず後ずさるレイナ。顔を赤くしながら腕をバタつかせる。


「えへへ、会えたから嬉しくて!」


「……ったく、あんたは距離感ってものがないわけ?」


 軽くため息をついたレイナだったが、ヒルデの無邪気な笑顔に少しだけ口元がほころんでいた。


「あのね、今日は“魔封剣”? のことを聞きたくて来たの」


 その言葉を聞いた瞬間──


 レイナの表情がすっと引き締まった。


「なるほど、例の件ね。……わかったわ、こっちへおいで」


 レイナは、ヒルデと魔剣を家の中へと招き入れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。