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5 生徒会長と校則

僕は実家から学校に通っている。


知っているだろうが僕は受験に落ちた。

行きたかった高校は家から坂道30分ほど自転車で行ったところにある。だが僕の通うことになった高校は徒歩10分だ。


落ちたおかげで遅くまで寝ることが可能になった。なんという皮肉だ。


そして今は入学式の翌日の朝だ。

僕には毎朝起こしてくれる妹のはるか(12)がいる。そろそろ来る頃だろう。


トントン ガチャッ


「お兄ちゃんー!朝ごはん!って起きてる...」


見てはいけないものを見てしまったような目で見てくる。

やめてくれ。中一の妹にそんな目で見られたら死んでしまう


「どうしてそんな目で見るんだ...」

「だって、お兄ちゃんがこんな早くから起きてるの中学の生徒会の仕事が朝にあった時以来だもん!」


確かに中学3年は早く起きる日が多かった。

だが引き継ぎをし仕事が無くなった後は毎朝遅刻ギリギリに起きていた。毎日起こしてくれるが寝たいので無視してよく喧嘩になる。


「別にいいだろ!」

「何かあったの?お兄ちゃん」

「なんもねえよ」


ん?いやあったな。昨日とんでもない事が。

それを察された。


「...お兄ちゃん、彼女できた?」


「なっ?」


え、怖い。何この人心読めるの?


「その反応は出来たんだぁー」

「出来てないって!」

「あっそう?でも紹介してね!」

「だかーらー!」

「2人とも朝からやめなさい!」


喧嘩しようとしたら母が介入してきた


「チェッ...。」


本当にこの妹、前まで小学生だったのか...?



朝ごはんを食べ、支度をして家を出た。春がいた。


実は春から昨日の夜、連絡が来ていた。


『明日の朝、一緒に登校しよ!』

『バレるぞ』

『礼琉の家行くから途中まで!』

『見られたら?』

『その時は任せて!!』


その後呆気なく家の場所を聞き出されてしまった。


「おはよう!礼琉。行こう!」


目の前には茶色の長い髪の毛が靡いている天性の美少女が僕に手を差し出していた。


「...一緒に行くとは言ったけど、手とか繋ぐのはなしだからな!」

「チェッ...。」


なんかさっき聞いたような


「行こ?遅刻するよ?」

「はいはい。」


歩きながら話す


「...わざわざ寮からここまで歩いてきたの?」

「うん!そんな遠くないしね。」

「なんかそのすまんな。」

「大丈夫だって!やっと礼琉に会えたんだもん!何でもするよ!」


『なんでもする』にビクッとしてしまった


「そういうこと簡単に言うな...」

「えー照れてんの?」

「うっせ」


5分ほど歩き学校に近づいてきた時、今日初めて橘花の白い制服を着た生徒を見た。


「もう見られるよ。」


そう言うと少し残念そうにしながら


「わかった!見られたらまずいもんね!それじゃまたね!」


手を振りながら前に走っていった


その日の昼、一人で唐揚げ定食450円を食堂で食べていた


「隣、空いてる?」


なんかイケメンが話しかけてきた


「空いてますよ。何かありましたか?」

「ありがとう礼琉君だよね?」


隣に座りながら聞いてきた。手には唐揚げ定食のお盆。


「いやー...人違いじゃないですか?」

「礼琉くんだよね?」

「いや?」

「礼琉くんだね?」

「...はい。」


この人意外とノリがわかる


「僕は3年8組西条直哉(さいじょうなおや)だよ。よろしく」

「は、はぁ...。」

「まだ分かっていないのかい?」

「何がですか?」

「僕はこの学校の生徒会長で、君に興味があって会いに来たんだ。」

「まさか生徒会長さんだったとはびっくりデス」

「その反応分かってたな!あんま年上をからかうもんじゃないよ」

「気をつけます。」

「うむ。...で単刀直入だが、次の生徒会選挙に出馬しないか?」

「っ....ゴホッ」


水を吹いてしまったではないか。


何を言ってるんだこの人。俺の何を知ってそんなことを提案するんだ?


「どういうことです?なんで1年の入学したばかりの俺に?」

「...お前の実力は知っている。僕には弟がいてな。君と同い年で君と同じ中学に通っていた。」


うん。あいつしかいない。そう僕を生徒会に仕立てあげた高身長メガネ男子、西条尚史(さいじょうなおふみ)だ。そのメガネ姿、通りで似てると思ったんだよ...。


「僕なんてなんもやってないですよ。君の弟さんが僕を盛り立てただけ。僕はやることをやってただけです。」

「...本当に自分でそう思っているのか?」

「...はい。」


この人は僕に何を期待しているのだろうか。

あいつから何を聞いたのだろうか。


「...僕の彼女の話をしよう。」

「...はい?」


急にどうした


「まあ聞け。僕は1年の時、同じクラスの女子に恋をした。その子との出会いは...」


長くなりそうなので要約すると


1.会長は1年の時にクラスの子を好きになった。


2.何とか付き合えたけどその子は勉強が絶望的で女子クラスに落ちてしまった。


3.その子は猛勉強して3年になると同時に共学に上がった。


ということらしい。


「...それでどうかしたんですか?」

「それでだな。ここだけの話だが最近教師の間で『共学クラスも恋愛禁止にし、更に学力を高める方向にシフトする』という案が出ているらしい」

「会長にとっては死活問題ですね。」

「僕にとってだけではない。考えてみろ。もしクラス内で少しでも恋愛したら退学になるという校則が作られたらどうなるか。まず、秘密の暴露による脅迫が頻発する。これは今もあるがさらに増えると思う。それに間違いなくクラスの雰囲気は悪くなる。」

「それは困りましたね。...で、それとなんの関係が?」

「礼琉君。君は中学で大きな功績をあげた。それはスマホを学校に持ってこれるようにしたことだ。」

「...まあ、やりましたけど、それは全校生徒の意見を1人ずつ聞いて回りその意見を集計し、生徒会内でまとめ、先生にもメリットがあるような形で提案したら通っただけですよ。」

「...一人で全校に聞いて回ったのか?」

「...はい。」

「その行動力と実行力。そのどちらも生徒会長にふさわしいと思っている。どうだ?やってみないか?」


冗談じゃない。平穏な学校生活を送るって決めたからには貫いてみせる。だが、もし生徒会長の言っている事が本当なら春の努力も無駄となる。だからと言ってやめる春では無いのも知っている。


「...うーん。」

「まあ、まだ時間はあるから、気が変わったらここに連絡してくれ。」


IDが書いてある紙を手渡された


「分かりました。ありがとうございました。それでは」


お盆を持って立ち上がりその場を後にした


その日の夜春から電話が掛かってきた


「もしもし〜、れいる?今大丈夫?」

「うん。大丈夫だよ。どうかした?」

「いやーれいるの声聞きたくなっちゃって。勉強めっちゃ頑張ってるからたまにはいいでしょ?」

「そうだな。」

「どうしたの?元気ない?」


勘が鋭い


「そうかもな」

「...話聞くよ?」

「いや、大丈夫だ。心配かけて悪かったな。」

「そう?れいるがそう言うなら...。」

「...そんなことより!寮はどんな感じなんだ?」

「えっと、ちょっと狭いかなー」

「まあ、山奥のあの家に比べればな。」

「うん。でもそれ以外はすごく綺麗だし、生活しやすいよ!」

「そう、それなら良かったよ。」

「うん!遅くまで起きたりしてれいるは家族に迷惑かけちゃダメだからね!」

「うん。気をつけるよ。」

「じゃあ勉強に戻るね!またねれーる!」

「またな春。」


電話を切って、ベットに寝転び全て忘れようとしたが、春の声が頭の中で反射していて忘れようにも忘れられなかった。春は僕と付き合うために勉強をしてくれている。あんな校則が作られたら春の心は折れてしまうだろう。


だが、すぐに決断する必要はない。いくらでも方法はある。それを今は考えるべきだ。

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