血塗れになった化け物
それから殿下に綺麗なガラス細工の売っている店に案内してもらったり、一緒に劇を観たり、気になるもの沢山食べ歩きして過ごしました。
「そういえば殿下は護衛などはつけていないのですか?」
「ついてはいるが、少し離れたところで街の人に紛れてもらってんだ。あまり目立つと周囲の人の負担になるからな」
「そうですか」
私が意識してみて後ろを振り返ると確かにこちらを観察するように見ている人がいます。この人らが護衛なのでしょう。
「なあ、ルリア嬢。甘い物食べたくないか?あっちにアップルパイがあんだ」
「いいですね。お腹を満たしたら甘い物というのは定石ですから」
「そうだな!」
そうして私達は広場にあるアップルパイの屋台へと足を運びました。
私達がついた時丁度焼き立てだったらしく温かいアップルパイを殿下に手渡され、いざ一口といこうとしたけれど急に広場に人が集まりだしたのを感じて殿下に尋ねてみます。
「これから何かあったりするのでしょうか?」
すると殿下はハッとしたような表情で私の手を握り広場から出ようと走り出しました。
「一体何が…?」
「悪い…忘れてた、これから広場で伝統の笛の演奏が始まる。笛の演奏は祭りの名物だから街中の人が必ず広場に集まり聞きに来る。はぐれる可能性がある、広場から出るぞ。」
急いで広場を出ようと模索するも既に広場を出るための唯一の通路は人で溢れかえっており私達も人に押し潰されそうになります。
暫くするとずっと繋いでいた手が離れてしまい殿下の姿が見えなくなってしまいました。
人をかき分け、殿下を探すもどこにも見当たらないです。周りを探し続けていると急にグンッと手を引っ張られる様な感覚がして私は人のいない路地裏に連れ込まれます。
殿下かと思い、振り向くとそこには見覚えのない男達が私を見下ろしていました。
「これは…すっげぇ上玉だな。」
「こんな美人そう居ねぇ…売るのは勿体ねぇし傍に置いて楽しもうぜ」
「いや、こんな女なら相当の値で売れるぜ。貴族に売りつけたら暫く遊んで暮らせるぞ」
随分と勝手にぶつくさ言ってくださいますね。
事を進めようと勝手に話を進めていますがこの男どもは理解しているのでしょうか。この国では貴族に手を出すと全ての財産を奪われた後に斬首刑です。
「なあこの女の着てる服、中々良い布が使われてる。しかも、靴の飾りには宝石が使われてないか?」
「嘘だろ…つまりこいつは貴族って事かよ!」
「貴族に手を出したら俺達に命はねぇぞ!!」
ああ、この男達は私に手を出したということを理解したのでしょう。
男三人は一斉に私を見て何か考えているようです。
「なら、殺せばいいだろう。」
そう言って私に剣を抜いて向けてきました。
「こんな美人なのに勿体ねぇな。」
私に剣を振り上げてきます。
そして私の心臓丁度を貫きました。この人は心臓ぴったり狙える辺り手慣れているのでしょうか。
顔に折角の真っ白のドレスが赤が滲んでいきますね。顔にを血飛沫が飛んでしまいました。
私が目の付近に付いた血を拭っていると、当然私が死んだと思っていた男達の顔が余裕そうな表情から怯えへ変わったのがわかりました。
私は不老不死ですからね刺されたところで死ぬことはありません。
「な、何なんだよお前!確かに心臓を狙って…」
男の一人がゆっくり後退りして震え声を出しました。
そしてそのまま男は尻餅をついて怯えています。
残り二人の男は私を排除しようと考えたのでしょうか、一人が私を取り押さえもう一人がまた私に剣を振り上げてきました。
私の胸に剣が突き刺さり串刺しになります。
私に剣を振るった男を見つめていると男は更に怯えた様子になり、それから何度も私を串刺しにしてきました。
いくら経っても私は死ぬことはありません。
何度も何度も刺されているうちに私は飽きてきてしまいました。
不老不死とはいえ何度も死ねば流石に疲れますし、同じ方法ばかりでは飽きてしまいます。
そろそろ片付けましょうか。
私はお出掛けだからと奥歯に隠していた毒を噛みちぎり目の前の私を刺した男に吹きかけます。
私は幼い頃から毒の研究を自分を実験台にして行っており自室には毒が沢山あり、これはその一つです。
男は急に倒れ体は痙攣していました。
私を押さえつけていた男は私の体を離し倒れた男へ駆けつける。
「おい!おい!」
必死に声をかけ続ける男に私はドレスの下に隠していたナイフを取り出しそれで斬りつけました。
するとその男も倒れ、体が痙攣しだしました。
残りの一人の男は立ち上がり奇声をあげながら私を襲おうとしていたのでナイフで斬りつけました。
その男も倒れ、体が痙攣しだしました。
このナイフには体を麻痺させる毒が塗ってあります故斬りつけるだけで対抗できるのです。
そして私は男達の心臓にナイフを突き立てようとした時、聞き覚えのある声が耳に入り体の動きが止まりました。
「ルリア…嬢?」
そこには王太子殿下と護衛と思われる何人かの騎士たち。
王太子殿下に血塗れで男達にナイフを突き刺そうとしていたところを見られてしまったようです。




