2度目の外の世界へ
いつものように殿下が私の部屋で難しい顔して本を読んでいます。またチェスのルールの本のようですね。
少し前に殿下が突然ボードゲームを持って対戦を申し込んできた時に私が圧勝をしてしまってからはずっとチェスのルール本を読んで次はチェスで勝つと息巻いています。
もう定位置のようになった私の足元でずっと本とにらめっこしている為殿下と話したくなって声をかけました。
「殿下。」
「なんだ?」
殿下が本から目を離さないまま返事をします。
「外に行きたいです。連れ出してください。」
これはずっと殿下に話していた話でしたが殿下が微妙そうな顔で「もうちょっと待て!」なんて言って先延ばしにしていた事でした。
恐らく殿下は前に襲われたことを気にして私が外に出るのを良くは思っていないのでしょう。まだ私が傷ついたのは自分のせいだと罪悪感を抱いているようです。私はすぐ治るのですから傷なんてついていないのに。
別に凄く外に出たいわけではないけれど殿下が私を連れ出してくれないと殿下は私と居る理由がなくなってしまいます。
「そりゃお前だって外出たいよな…分かった!この前から俺のせいで怪我をさせといてまたあんな事が起きたらと話を先延ばしにしてて悪かった。」
殿下はバツの悪い顔をして謝罪をしつつ言葉を続けました。
「覚悟を決めた!護衛を増やして人の少ない所にまず行くぞ。」
そう言うくせに妙に緊張した面持ちで私に手を差し出しました。差し出している腕がプルプルと震えているのも緊張のせいでしょうか。
「あ、私寝間着だから外に行くなら着替えないと。」
「俺と部屋にいる時は大体寝間着なんだし今更だろ…」
殿下が呆れた様子でため息をつきます。
「外に行くのだからやっぱりおしゃれしましょう。それに人が少ないところに行くとはいえ護衛の方もいらっしゃるのですから身なりは整えなければ。ということで殿下。」
私は殿下にくしを差し出すと殿下は二度目のため息をつきました。
「俺はバルコニーに出てるからまずは着替えてからな。」
私が1回目よりほんのちょっぴり慣れて手間取ることなく少しお洒落目な薄紫のワンピースを身に纏うとバルコニーへと、くしを片手に近づき声をかけます。
「殿下、髪の毛やってください。」
「なんかお前だんだん遠慮がなくなくなってるだろ…」
「気の所為です。」
殿下の疑問を斬り捨てさっさと鏡台の前に座り殿下がやってくれるのを待っていると、仕方がないとでも言った様子で私の後ろに立ちゆっくりと髪を梳かしていよきました。
私の長い髪が梳かし終わると次は丁寧な手つきであっという間に三つ編みへと髪は変貌を遂げていたのです。
そして鏡台の上に乗っていた物をそっと手に取り私の頭につけます。それはシルバーのリーフモチーフのヘアコームでお父様にプレゼントしていただいた品の1つなのでした。
「よし準備できてんな?手を出せ。外の世界に連れ出してやるよ!」
そうして私達は光に包まれて、殿下は私のことを外へ連れ出してくださったんです。




