得意な魔法は?
馬車の中はミントの香りで充満しているが、ナナはぐったりしている。それでも、馬車酔いは今までより軽いかもしれない。
気を紛らわすために何か会話をしよう。
「ナナは風魔法が得意なの?」
「ええっと、攻撃魔法は全属性使えるけど、魔力温存のために主に風魔法を使ってる」
魔法は無から有を生み出すときに魔力を多く使用する。近くに火や水が無い場合、火や水を生み出さないといけない。土の地面があれば、その土を利用して攻撃や防御魔法にできる。魔力消費量は無から有にする魔法の1/3。風は常にあるためどんな時も利用できる。
「風魔法は応用も利くし便利だから」
「ふーん。自分を吹き飛ばしたりとか?」
「あ、あれは…仕方なかったの」
ザッオールとの手合わせで、負けたようにみせる演出をしてたが、あんなに飛ばなくてもよかったのではないか…、と思う。
「あの時は、初めてナナを抱っこをした記念日だね」
「記念にするなっ」
ナナは途中の町で買ったクッションにもたれている。
私ではダメか?と言ったのだが、ダメ!と言われてしまった。
「ルディは?」
「んー…。攻撃系は一通り使えるけど、やっぱり火かな。私も、魔力温存のために、風魔法をもっと使えるようにしよう」
勉強になった。魔力温存も一理ある。戦いで1番懸念なのは、魔力の枯渇だ。パートナーの剣がいるとはいえ、魔力が枯渇すれば、補助も攻撃もできなくなる。どれだけ効率よく魔法を使えるかが大切。
「ナナ、雷を剣に集中させたのは、アレも風魔法?」
「そう、雷は高くて尖ってるところに落ちるんだけど、剣を掲げて雷を剣へ落として、あとは風の向きを替えて吸い込む感じにしたの…うまくいってよかったぁ」
「吸い込む…か。思いつかなかったな」
まだまだ、ナナから学べることはありそうだ。自由な発想と応用。
もうすぐ私の国の王都に着く。学園も始まる。
「ナナ、選択の儀式はどうする?」
「ずっと悩んでいたんだ。でも、わたしは…」
まっすぐ、強い眼差しを私に向ける。
「剣にする!」
この強い眼差しが好きだ。揺らぎない信念で、誰かの為に、自分の為に。
「そうか。では、急ごう!」
「え?えぇ〜!」
ナナの隣に座り、ナナを抱えて自分の膝に乗せた。
「着いたら、私の父に挨拶と、学園の準備だな」
「ちょっ…、なんで膝に乗せるの〜!!」
御者に合図を、送る。
「これからスピードを速めるからさ。膝の上なら揺れが緩和するだろ?」
顔が真っ赤になると、抱えたクッションに顔を埋めてしまった。…クッションに嫉妬してしまいそうだ。
「外から見られちゃいますぅ〜」
「外からじゃわからないよ」
徐々に速くなり、揺れも激しくなる。一瞬馬車が跳ね上がった。
「ひゃぁ!」
ずっと、触れることを我慢してきたが、今なら大丈夫だろう。
クッションごと抱きしめ、頭を撫でた。
今は、これくらいでいい。私が触れることに、徐々に慣れてくれれば。
ナナの住み慣れたところから離してしまった。寂しい思いをさせるかもしれない。
私の国に連れて来たのは………
私の……わがままだ……
読んでくれてありがたい。ここで完結です。
『ゲームの続編』としてのストーリーを考え中です。




