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【完結】乙女ゲームの表と裏  作者: あまつ冴
10 【閑話】フェルディオとナナの旅路
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デレと照れ

 ナナと一緒に私の国へ出発した。もう少し準備に日にちが欲しかったと怒られたが、なにせ移動に日にちがかかるのでしかたない。

 猶予を持たせると、「やっぱりやめた」なんて言い出しかねない。

 一緒に馬車に乗ることも断られそうだったが、1台しかないから、と押し切った。

 なので、今、目の前に、ナナがいる。馬車の外を目を輝かせて見ている。例え、森の中だろうと、川沿いを通っても、嬉しそうにしている。

「なんですか?」

私の視線に気づき、こちらに視線を移した。

「楽しそうで、嬉しいよ」

ナナの様子を見ていると、顔がずっと緩みっぱなしだ。外ばかり見ているから、気づいていないようだけど。

「だって、初めての旅ですから」

「……」

御者に合図を送り、馬車を止めさせた。

「休憩しよう」

馬車の扉を開け、私が先に降り、手を差しだす。私の手を取り踏み台に足をかけるが、ふらついて倒れそうになり、体を支える。


 ナナは馬車酔いをしていた。振り向いたときに、顔が少し青かった。

「……まさか…こんなに気持ち悪くなる…とは…」

「ずっと外を見てるからだよ」

ゆっくり深呼吸をする、ナナの背中をさする。

「吐けるなら、吐いといた方がいい。水もあるから」

「吐ける物があるなら吐いてます…」

弱々しい声。よしよしと背中の手を頭に伸ばした。ナナは気にしてないようだが、気持ち悪さでそれどころではないのかもしれない。

「少し、ましになりました」

「じゃ、行こうか。ゆっくり走らせるから」

「それは、次の町に着くのが遅くなるのでは」

「大丈夫さ。宿屋は逃げない」

乗り込む際も、少しふらついている。ここからの移動は慎重にしなければ。


 ナナの座った真横に、私も座る。

「〜〜!」

「また外ばかり見て、酔いが酷くなったらいけないからね。外が見たいなら私側の窓から見たらいい。疲れたら、私にもたれて?」

狼狽してる。かわいいな。

「だいたい、未婚の男女が一緒の馬車に乗ることがいけないんです!仮にもフェルディオ様は王太子なんです…か、ら」

私はずっと見つめているのに、目を逸らされてる。そろそろ私の方を見てほしいのだけど。

「仮じゃないよ。ナナ。本物の王太子だよ」

「そうですね、本物です。だからフェ…」

「ルディと呼んでくれないの?」

目があちらこちらに動かして忙しない。

「……る、ルディ…」

頬を赤らめて、かわいい。うれしくて、胸が締めつけられる。思い切り抱きしめたいが、ここは我慢だ。

「旅の間だけ…よ…」

「うん。ほら興奮すると、また酔っちゃうよ」

留学のときは1人で少し寂しかったが、この帰国の旅はすごく楽しい。


「そう言えば…ルディは婚約者はいないの?」

突然何かと思えば…婚約の話?あの国ではバカ王子は婚約してたしな。私は王太子だから気になるのか。

「ん…。いないよ。父はこういうことは自分達に任せてくれているんだ」

私は、もう決めている。断られるかもしれないけど、断られても諦めない。絶対に。

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