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【完結】乙女ゲームの表と裏  作者: あまつ冴
9 エンディングのあと
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エピローグからプロローグへ

 その後、ザッオールはリリアーナと不毛の土地へ旅だった。その旅には遊んだ令嬢と、令嬢を差し向けた貴族の家族と共に。



 ひと仕事終え、貧困区で落ち着いて過ごしている。差別撤廃により、平民は中間層にも自由に行き来できるようになった。さすがに貴族街へは無理だけど。


貧困区も名前が変わるそうだ。


 傷害や病気で働けない人に補助制度も導入される。

 平民にも選択の儀式が受けれるように法が変わる。

 みんなが平等に勉強ができる学校も建設中だ。


王も王妃もよりよい国にするためにに頑張っている。国民はそれに応えなくては。



 教会の扉をノックする音が響く。返事をすると、ゆっくり扉が開き、誰かが覗く。

「ナナ…」

(…聞き覚えある声…………、デジャブ?)

フェルディオが立っていた。

今はもう、魔法は使っていない。あの騎士のナナの姿ではないし、今はシスターの格好している。

「どちら…様でしょう?」

にこにこしながら、ゆっくり近づいてくる。さわやかイケメンか、残念イケメンか…。

「誤魔化してもダメだよ。君の本当の姿をみたからね」

髪を指さしている。

「……へ?」

本当の姿…。

あ!怪我したときか!全部解けてたのか…。


騎士の時は暗めな髪色にしていた。本来は赤毛。

学園では目立たないように変えていた。印象に残らないために。色を維持するために魔法を継続して使用しなければならなかった。

怪我を負ったときに、その魔法の維持ができずに解けてしまっていたのだ。


繕った笑顔をしてみせる。……笑顔が引きつってるかもしれない。

「どうしました?フェルディオ様、こんなところまで」

フェルディオが剣を差しだした。この間まで使っていた剣だ。仕事が終わった後、親方に預けていた。手入れも含めてだが、当分休もうと思っていた。


その剣をフェルディオが持ってきた。

「もう一度、相手をしてくれ」

真剣な眼差しに、断る理由も無かった。

「わかった。先に外で待ってて、着替えてくる」


 あの断罪から二月(ふたつき)ほど、剣は握ってない。仕事を終え騎士も辞めたから、男爵の爵位も返上した。今はただの平民。


 着替えて外へ出ると、フェルディオが剣を持ち待っている。さっそく、鞘から剣を抜き、柄の感触を確かめ、構えた。目が合うと同時に踏み込む。剣の弾ける音が何度も響く。

「…そろそろ、国に帰るの?」

フェルディオの動きが前より速くなっている気がする。フェルディオの練習の成果か、私が鈍ってるのか。

「そのことで、話がっ……ある!」

私の剣が弾かれ、私の後方に飛び地面に突き刺さった。

「腕が上がったんだね」

?…何か怒ってる?苦しいような、耐えてるような表情をしている。

「まだ、本調子じゃないだろ」

「………」

刺さった剣を引き抜く。

「肩を切られた感覚が…どうしても拭えなくて…」

それとあのときは『見えなかった』と言ったが見えていた、怒りの目で私に魔法を打ってきたきたリリアーナを。


「で、話って」

「……ナナと、もっと……」

「え?」

何か言葉にすることを迷ってる?

「いや…違うな…」

聞こえないくらいの声で呟いてる。

「私の国の学園に、来ないか?……あ、来てほしい」

「どうして…」

フェルディオはまっすぐ私を見つめる。…なんだか恥ずかしい……。

「騎士として?」

「違う。生徒として」

え?生徒?…確かに、学園に入学できる年齢だけど。

突然すぎるし、私には問題が……

「王妃様より、大まかな事情は聞いてる。とりあえず、これを見てほしい」

大まかって、どこまで……。

フェルディオが広げたのは…地図?

「これ…この王都ね」


シスターが生きてたころ、地図を見せて貰ったことがある。でも、地図も真っ黒でわからなかった。


でも、今は…

「!」

王都以外もはっきり見える。

「この国の領土地図だよ。そして…」

別の紙を広げる。これも地図?

「こっちは私の国の地図。この国のここを通って、私の国に行けるんだ」

初めて、他の領土と国の地図を見た。

「こんな風になってたんだ」

なんだか嬉しい。この国の問題を、ゲームを、クリアできたから?見えるようになったの?

「王妃様から、これを見せろと言われたんだ」

イザベラには、地図のことも言っている。本当に見えるか私に試させたのかな。

「学園には他国の生徒が多くいる。ナナの世界がもっと広がると思うんだ。どうかな」



 始まりはここ、周りは真っ黒で、このまま終わるのかもと思っていた。少しずつ見える景色が増え、嬉しくて、楽しくもなった。



 もっと色んな景色を見たい。


「…行きたい……もっと見てみたい!」

私の返事を待っていたかのように、笑顔になり、封蝋付きの手紙を見せた。

「王と王妃の推薦状と…」

イザベラを守ったことで、男爵位はそのまま授与すること、学費は免除されること、貧困区の支援は半永久にすることも書かれていた。

「明日、出発するから準備してね」

「え!?早っ」

えーと、着替えと…、みんなに伝えなきゃ、親方にも言わなきゃ…忙しいよぉ。


「それと、また『ルディ』と呼んでほしい」



教会に入り、女神像に祈る。

女神様、悲しいことも辛いことも嬉しいことも楽しいことも、たくさんありました。私は一旦ここを出て、別の国の景色を見てきます。



>>>>>


続編の始まりは、留学していた先で出会った、年若い平民出の騎士が自国の学園に入学する。


攻略対象キャラは、王太子兼学園の剣と魔法の指導教師フェルディオを含め5人。


誰と恋仲になり、どんなエンディングが待っているのか…。


「あーあ、私も見たかったな」

この先は、ナナ1人でがんばるのよ。幸せになってね。

まぁフェルディオの好感度はカンストしてそうだけど…。

たしか…好感度MAXで愛称呼びを許されたはず。


……。……。……


あれ?ナナ……ゲーム始まる前から、フェルディオ一択になってる。

でも…フェルディオの好意に気づいてないんだよなー。こりゃ、フェルディオがナナを攻略する図が見えるわ。

「乙女ゲームの表と裏」の本編は完結です。これから【閑話】を掲載します。

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