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【完結】乙女ゲームの表と裏  作者: あまつ冴
7 それぞれの思い
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18/25

>>>ナナとイザベラ

 イザベラと出会ったのは、平民街で攫われかけていた女の子を助けた。その女の子がイザベラだった。

確か、私が10才で、イザベラが12才。身なりは平民街にはない綺麗な服。色艶のいい肌と髪。明らかにいいとこのお嬢さんでは?と思った。

 人攫いから助けたときには気絶をしていたので、貧困区の教会に連れてきてしまった。起きそうもなかったので、そっとしておいた。


 外で孤児院の子供に、前世で有名な昔話をしていると、教会で寝ていたイザベラが起きてきて、目を丸くして驚いていた。


 起きたイザベラと教会でここへ連れてきた経緯を説明した。

「いやっ、それよりもっ、さっきの!昔話…『桃太郎』よね!」

「え?」

「あなたも!転生者なの!?」

勢いに押され、秘密にしていたことを話してしまった。

「私も転生者なの」

私だけでなかった安堵と、驚きで言葉が出なかった。


イザベラが教えてくれたのはこの世界は『剣と魔法のフェイヴァリット学園』という乙女ゲームの世界で、イザベラは【悪役令嬢】なのだという。


 なぜ貴族が平民街にいたかというと、12才の誕生日に第1王子との婚約が決まったと言われたときに、前世と乙女ゲームの内容を思い出し、失意で平民街に来てしまったのだ。そして人攫いに会ったと。


 でも、私はその乙女ゲームをやったこともないし、タイトルも知らない。そもそも私のスタートは…


 そのこともイザベラに話した。イザベラの言う乙女ゲームにはそんな要素はなかったと言っていた。この貧困区も設定にはなかったという。ナナシという人物も。では、私は誰なのか。なんの為に転生して生まれてきたのか。


 そんなことを考えてもしかたないので、ここの現状、孤児院のことを話した。平民差別は初めて知ったと言っていた。


 イザベラをグォーブさん付き添いで、「迷子になっていた」ということにして、警備兵に引き渡した。それからイザベラは貧困区をたびたび訪問し、親を説得し、支援してくれるようになった。イザベラの親は貴族贔屓ではあったが、差別までは酷くなく、イザベラの話しを聞き、支援を決めたのだそう。


 イザベラとともに中間層地区に入れた時はうれしかった。また、私が行ける範囲が広がったのだ。平民が中間層に行けることはそうそうない。それを可能にしてくれたのは、イザベラの『公爵家の友人』であることを示す紋章のおかげ。


 グォーブさんに鍛冶屋を紹介してもらったのはそのころ。でも親方は厳しくて、腕をみてもらいに行っては断られるを繰り返した。



 イザベラの【悪役令嬢】は最終的に断罪され、処刑はないものの、国外追放になる。

「どうしよう」

と、相談された。ゲームをしたことのない私が何ができるのか。

「とりあえず、味方をつくろう……私以外で」

1番偉いこの国の王様に取り入ってはどうかと言ってみたら、意外と乗り気になり、王城に行くたびに、

「王太子妃になるために陛下の公務を知りたい」

と、妃教育以外は王様にべったりつき、公務の手伝いをしていた。


 学園に入るまでに、王様の信頼を勝ち取った。


 今、王妃は不在……というか、第2王子を出産したのち亡くなった。陛下に後妻をと話しもあがっていたが、亡くなった王妃を愛していたため、後妻の話はなくなった。



さらにイザベラは王様に平民差別の現状、他国での平民に対する考え方を説き伏せた。


 王様の信頼を勝ち取ったイザベラは、私を護衛したいと、王様に願い了承させた。

また、この護衛に関して、貧困区や平民区で起こった事件を調べるための、イザベラの案でもある。

 護衛の為に、貴族地区へ、そして王城へ行ったことで、王都のほとんどを行けるようになった。



∷∷∷∷∷


「気がついた?」

傍らに、フェルディオがいる。手には濡れたタオルを持って、私の顔を拭いている。

天井も見覚えのない……部屋。

「ここ…は?」

まだ、ぼんやりしている。リリアーナに魔法で……

「ここは学寮の、私の部屋」

部屋…フェルディオの……部屋。


?!へっ?

「まだ、動かない方がいいよ。傷は塞がってはいるけど、多量に血を失っているから」

起き上がろうとした私を止め、もう一度寝かせる。動いたとき、右肩に痛みを感じ、目眩もした。

「わ、私…どれくらい、寝てた…?」

時間がどれくらい経ったのか、日にちは?

「だいたい2週間、かな」

え!?フェルディオの部屋で2週間も寝てた!?

しかも動けるまで、まだ時間がかかりそうだし……

「ずっと、看病してくれてたの?」

「授業がないときはね。授業の時は、この魔力石を媒介に結界を張ってたんだ」

魔力石を見せてくれた。

「私がベッド使ってたから寝れなかったよね」

「大丈夫。ソファを置いてるから、そこで寝てたから、問題ないよ」

迷惑をかけてしまった。しかも巻き込んでしまった……。軽率な行動したばかりに、リリアーナと話そうとしたから、こんなことに。

「助けてくれて、ありがとう」

「どういたしまして。無事でよかった」

駆けつけてくれたのが、フェルディオでよかった。

「一応、心配させてはいけないと思って、イザベラ嬢には知らせておいた。イザベラ嬢の『大事な時』が何なのかわかったよ」

「!!」

まだその時まで、秘密にしたかった。フェルディオだから、まぁいいのか…。


 その後は、私が動けるまで、水を飲ませてくれたり、食事を食べさせてくれたり、甲斐甲斐しくお世話をしてくれた。お世話されるのってすごく恥ずかしい…。


 着替えはさすがにフェルディオはできないため、イザベラが手配しくれたメイドがしてくれる。口止めもしてくれているようだ。


 動けるまで1週間かかった。

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