冬に告げる愛…終わる愛
あれから、何もない。イザベラに魔法を打ったのに、確かに肩に怪我を負ったはずなのに、何も噂も聞かない。
2回目の魔法は防がれた。影で暗かったが、フェルディオだった。けど、生徒会で会っても、何も言ってこない。
不安と焦りで、食事に手がつけれなかった。思い悩みすぎたのか、目眩やふらつくこともある。
不安を消したくて、ザッオールと共に過ごし、自分の気持ちをザッオールの愛で満たす。
そんな日が続いた。
年も開け、目眩も続き、食欲が出ず、養父母が医者を呼んだ。
*****
私とザッオール、養父母も王城に呼ばれた。
通された部屋には、宰相とクロムエルや騎士団団長とアーサー、商会長とダイタナ、学園長とウイルズがいた。
部屋の真ん中にはテーブルと4脚の椅子。向かい側には陛下が座り、隣の椅子は空席だった。そこは王妃の席だと気づく。
ザッオールが王位を継げば、あの席は私のもの。
「リリアーナ嬢、立ったままでは疲れるだろ。椅子に座りなさい」
?なぜ急に、そんな事を。座るよう促したのは宰相。養父母、ザッオールはまだ立ったままだ。
あとから、イザベラが入って来た。生きていた?あの時の怪我は?
それを待っていたように口火を切った。
「父上!オレとイザベラとの婚約を解消します」
婚約解消の言葉に、周りがどよめくのではないかと思ったが、意外と静かだった。
「それは本気か?」
「勿論です。イザベラと婚約を解消し、リリアーナと結婚します」
言った、この日を待っていた。とうとう結ばれる。
「リリアーナのお腹にはオレの子がいるのです」
養父母が呼んでくれた医者が言った、妊娠初期だと。2人の愛がお腹に宿った。
それにしても周りの様子がおかしい。
「そのことについては、皆知っている」
どうして、知っているの?今初めて言ったのに。宰相が座るよう促したのは、知っていたから?
「新たな命が宿ることは、素晴らしいことだ。ザッオール、覚悟はできているのだな」
「勿論です。2人でこの国を支え発展しさせていきます」
「では、こちらの書面にサインを」
宰相がザッオールに解消の書類を置く。そこにはすでにイザベラのサインがあった。
ザッオールは迷わず、サインをする。その書類を陛下に渡す。もう一枚紙を差し出される。もう一枚は婚姻の書類。これにもザッオールが迷いなくサインし、私もサインした。
「これで、解消成立し、婚姻が成立した……ところで、リリアーナ嬢」
陛下と目が合った。
「そちらのイザベラ嬢に何が言いたいことはあるかな?」
ゾッとした。もしかして…まさか
「イザベラ嬢が学園で誰かに、魔法で怪我を負わされたと聞いたのだが」
「……ぞ、存じあげません…わ」
手が、体が震える。 …心臓の音がうるさい。
「そうか。ではイザベラ嬢。申してみよ」
陛下にお辞儀をし、私の方を向く。目が合わせれない。
「夕方、学園にて魔法での攻撃を受けました。右肩をこんな…」
イザベラが自分の右肩に手を滑らすと、怪我が現れた。…あの時と同じ位置に。
「これは幻影魔法です。怪我は治ってます。あのときは逆光で見えませんでしたが、目撃した人がおります」
「私です。陛下」
入ってきたのは、フェルディオ。
「確かに逆光でしたが、私は目がいいので、はっきり見ました。リリアーナ嬢がイザベラ嬢に魔法を打ったところを」
「!たかだか、留学生を信じれるわけないだろ!」
陛下はため息をついた。フェルディオも周りも冷ややかな目をしている。
「おや、陛下。伝えてなかったのですか?」
「ザッオールよ、フェルディオ殿は隣国の王太子である。口を慎め」
「なっ!?」
え……!隣国の王太子!?そんな重要な人物だったなんて、ゲームにはなかったし…どういうこと?
「ちなみに、本物のイザベラ嬢はあちらです」
イザベラが手を向けた先に、王妃の椅子側から、イザベラが出てきて、王妃の椅子に座る。
「2人!」
「私は……そうですね。殿下にはこちらの方がわかりますか」
フェルディオの近くにいたイザベラの姿がユラユラと変わり、いつも側にいた騎士の姿になった。
「どういうことだ!」
「リリアーナ嬢の魔法で怪我したのは、私です」
うそ、イザベラと思っていた人は、変装した騎士?
なぜ、変装してたの?
「もう少しズレていたら、腕がなくなってました」
これは私を嵌める罠?
「イザベラ嬢に殺意があったと受け取るが?」
「い、いえ…私は…そんなつもりじゃ…」
「そんなつもりでなくても、訓練場以外の魔法の使用は禁止しております」
学園長が、すかさず話す。
私は頭が真っ白になった。指先も冷たくなる。
イザベラに向かって怒鳴る。
「どうして王妃の椅子に座っている!」
陛下は手を掲げると、ザッオールは言葉を止めた。
陛下は息を吸い、言葉を述べる。
「リリアーナ嬢、もう一つ聞きたいことがある」
陛下を見るのが怖い。
「夏季休暇の際、男達に襲われたそうだね」
「は、はい」
返事をするのも怖い。
宰相が紙を見ながら話しだした。
「姿はフードで、わからないが、声はリリアーナ嬢と同じ声だったと供述したそうです」
「そして、どこかの令嬢が警備兵何人かに金を積んで、その男達が中間層地区に入れるようにしたとのことです」
今度は騎士団長。バレないと思っていたのに!
うまく隠せていたと思ったのに!なんで…
「イザベラ嬢へ殺意と護衛騎士への傷害。中間層の警備兵の買収と、犯罪者を招き入れたことへの罪。重罪です」
宰相は、淡々と告げる。
「…………」




