リリアーナの不安
夏季休暇が終わり、新学期になった。
新学期になって、イザベラを見かけることが、ほとんどない。2階の廊下を歩く姿を一瞬、見かけたと思ったら、別の生徒で見えなくなって見失うことが多々あった。
ーイザベラからの嫌がらせはない。
ザッオールの気持ちは私にあるが、【悪役令嬢】から何もないと不安な気持ちになる。
ザッオールの気持ちを受け取ったときのことが、胸に残り不安な気持ちは薄くなるが、何もない日々が続くとやはり(イザベラが邪魔をしてくる)と考えてしまう。
失敗になったイベントもある。もしかして、好感度が足らなくて、最終的にハッピーエンドにならなかったら……どうしよう。
イザベラ…は……悪役になってもらは…ない……と…
わたし…は……ヒロイン…!
みんな……に…愛される……存在!
ふらふら歩いていると、見覚えのある……階段…
階下にこちらに近づいてくる、聞き覚えのある声がする。ザッオ…ール…
「あぁ!」
何かに押された感じがした。体が宙に浮き、下へ……
……落ちる!
遠いけどザッオールと目が合った。目を丸くしてる。
「あぶない!」
このまま階下の床に叩きつけられる、と思ったが風が体を纏い、抱えられた。
目を開けると、イザベラの騎士。
……なぜ、ここに?
「お怪我はないですか?」
やさしく声をかけてくれる。
「リリアーナ!」
ザッオールが駆けつけてくれた。落ちた階段を見た。そんなに段数はないけど、でも、怖かった。
この見覚えのある階段……イベント!【悪役令嬢】とヒロインのイベントだ!
「ぃ…イザベラ様です!わ…私を後ろから…押したんです!」
「なに!?」
勢いよく捲し立てる私を、抱えている騎士が背中をさする。
「落ち着いてください。貴女が落ちた時、誰もいませんでした」
「で、でも!」
「リリアーナの言うことを疑うのか!?」
騎士は私をゆっくり降ろす。ため息が聞こえた気がした。
「殿下も落ち着いてください。イザベラお嬢様は、今、王城にいます」
「な、なんでお前はここにいる!護衛だろ!?」
確かに、イザベラの護衛なら、ここにいるのはおかしい。イザベラを庇っている?
「お嬢様が王城にいる時は、王城の騎士が護衛をします。今私が学園にいるのは、お嬢様に課題を持っていくようにと、頼まれたからです」
「疑うのでしたら、学園長にでも確認してください」
ザッオールは、言い淀んだ。知らなかったのだろうか。騎士は私の両肩を掴み、ザッオールに押し付けた。一瞬のことでビックリした。
「リリアーナ嬢は階段から落ちて、ショックのあまり混乱しています。慰めてあげてください」
そういうと、騎士は立ち去ってしまった。
階段イベントも失敗した。うまくいかない。
なぜ?……どうして…?
いつも…!いつも……!
モブの騎士が!邪魔するの!
イザベラも!ゆるさない!ゲームどうりにしないの!
ゲームどうりにならないの!
それからも、イザベラは遠くで見かける程度。1つ気づいたことがある。イザベラを見かけたとき、あの騎士はいない。何か理由があるのか、分からないが護衛がいないなら、邪魔なイザベラをどうにかできるんじゃないか。
何日も何日も、イザベラを探し続けた。
冬も近くなった、秋の終盤。とうとうイザベラを見つけた。今日の授業が終わり、生徒が少なくなったころ。
周囲に他の生徒は、いない。騎士もいない。
今だ…!




