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スキルドレイン

なにやら世界が騒がしくなるかも

 吸血鬼のヴァンの周りの空気が変わるとともに、寒気がしてくるような異様な雰囲気を醸しながら秘術を行おない始めた。 

「今からここで、最も簡単な『楽園の果実』を作って見せましょう。そこのお嬢さん。オリビア言ったかね。一歩前に出てきてくれないか。心配しなくていいよ。怖がらないで。」


ヴァンはオリビアの目の前に手をかざすと、オリビアの体全体から、かすかに赤い霧のようなものが出始めた。ヴァンの目が光ったような気がした瞬間。ヴァンの手の平の上にオリビアの体から出た赤い霧が集まり、丸いボールのような形になっていった。その丸い玉はゆっくりとその場で回りながら、果実のようにしっかりとした果実のようになっていった。


ヴァンは大きく深呼吸しながら大きく息を吐くと、果実が手の平の上に落ちた。


「すまないね。手伝ってくれてオリビア。少しだるいかもしれないから、少し座っていたほうがいいよ。」


優しくヴァンはオリビアをいたわった。しかし、背後からピンクドラゴンのゼロはヴァンに火を吹きかけるぐらいの勢いで怒鳴った。


「可愛い娘に何をした!」


ヴァンは手品のように栄養ドリンクをオリビアに与えると、サラがピンクドラゴンの怒鳴り声を上回る声で罵倒しはじめた。

「うるさいわ!このボケー!どこから現れてるんじゃ!オリビアは協力してるんじゃぞ!静かにできんなら出入り禁止にするぞ!」


ゼロは今までにないぐらい、サラが怒っているのがわかり、謝りながら部屋の隅にいき、イジイジするのだった。


それをなだめるように、ヴァンはサラにオリビアから作られたと思われる『楽園の果実』を渡された。


「まあ、まあ、サラさんもちっこいピンクドラゴンさんも慌てないでください。安心してください。オリビアさんから少し精気をいただいただけですから。そしてそれは単なる精気からドレインボールからつくった『楽園の果実』のまがい物ですよ。でも、体力回復みたいな効果はしっかりあるんですよ。」


ヴァンはサラとオリビアに『楽園の果実』の丁寧に教え始めるのであった。



『楽園の果実』というのは、吸血鬼の特有のドレイン技術から作られた秘薬。

ドレインされる側のスキルを少しいただくことができる。

魂や霊体といったものからドレインして生成するので、個人差が出てくる。


サラはすかさずヴァンに尋ねるのであった。

「固有のスキルだけ吸い取ることもできるのか?」


大きくうなずきながらヴァンは答える。

「よくある話だが、魔力だけ吸い取る種族は多いいぞ。吸血鬼は血を吸うなんてイメージもあるが、精気も吸い取ることができるしな。スキルのようなものは秘術を使わないと無理だがね。この秘儀を応用すれば、複数のスキルを持った者でも一つだけスキルを選択して、そのスキルを奪うことができるかもしれんがな。」


オリビアも少し疲れた顔で聞いた。

「その秘儀を技術として研究すれば、魂や霊体、精気なんかものも一気に取り出すこともできるんですか?」


ヴァンは気さくに答えた。

「マミーなんかの魔物は魂も霊体や精気を一気にドレインしてるんだぞ。できないわけないじゃないか。それに妖怪なんかでも、スキルや思い出に知識記憶、そして寿命だけ丸ごと盗んで食べる者いると聞くぞ。」


サラは顎に手をあてうなずいた。

「なるほど、ドレイン技術と可視固形化技術か~。」


ヴァンは首をふってニコって笑った。

「サラさん。違いますよ。これは、ドレイン技術ではなく、付与技術といったほうがいいですよ。可視固形化しているということは、他者に付与するってことですからね。ニッ」


オリビアは少し悪い顔になりながら言ったのである。

「果実でなく、弾薬でもいいかも。直接エネルギーとして貯蔵できれば、エネルギーレザーガンにしてもいいし、なんなら、レールガンでもいけるかな。ウヘウヘヘヘヘ。」


サラはオリビアの頭をひっぱたいた。

「オリビア。顔が怖いぞ。っていうか、気持ち悪い。武器にしてどうするんだ。対話や使用しやすさが重要なんだぞ。スキルなどの受け渡しや使用を考えれば安全で携帯できるものがいいんだぞ。」


ヴァンはピンクドラゴンのゼロをみながらサラに頼みはじめた。


「サラ頼みたいことがあるんだが・・・実はこの『楽園の果実』の秘術を教える代わりに、死者を生き返らせる技術を開発してくれまいか。われら吸血鬼ではせいぜい吸血鬼にして生かすことしかできないのじゃ。そして生き返らせる死者というのはこのゼロの奥さんをな。」


どうやら、ヴァンは自分たちを守ってくれた、ゼロたちに何かしたかったといった。無理難題でも、研究所で働くゼロの娘にあったからには、親子が明日を生きる糧を何か与え、何かしてあげなければと思ったらしい。


「死者を蘇らせるなんて事は、摂理や理に反することは重々承知です。しかし、死者の国から魂を持ってこなければ摂理や理に背くことにはならないはず。だから、この父娘の記憶や形見といったものから思念をドレインして、何かのものにでも強く宿し付与できれば、心の中で生きかえったという実感がわくとおもうのです。この父娘に、母ともに生きているという気持ちを与えてください。」


サラ少し涙目になっていた。

「わかりました。物には魂が宿るって言いますものね。ドレイン技術と付与技術に関する魔法も研究してみましょう。もしかしたら、死者を本当に生き返らすことができるかもね。」


ヴァンは付け加えるようにいった。

「異世界では高位神官は死者を蘇生することができるそうです。しかし、「楽園の果実」に関する秘儀はある程度のスキルの制限や、効力の制約があるので、その辺も一考して活用してください。そして、詳しい資料は後ほどお持ちしますからよろしくお願いします。」


ヴァンはそういうと部屋を出ていくのであった。

話を終えて出ていくヴァンの姿を見たSKIESーANGELは一斉に、サキュバスのスキルがある『楽園の果実』をいただけないかとせっついていた。それを見てサラはユージに支持をしたところ、みんな腰砕けの状態になった。ヴァンはその様子を笑い眺めながら研究所をあとにするのであった。


ヴァンと入れ違う形でショウが研究所に入ってきた。

 「犯罪対策課よってきたら、ゼロがこっちにいるって聞いてきたんだけど・・・犯人に撃たれたって聞いたけど・・・います?」


ピンクドラゴンのゼロがひょこっと顔を出した。

「ショウじゃないか。何か用か?」

かわいらしく愛くるしい姿で聞くと、ショウは飛びあがってガッツポーズをした。


「このピンクドラゴン売ってください。どうしても、あの子たちにプレゼントしたいもので・・・エヘヘ。」


サラ達はまたこの手のダメなオジサンが来たなと呆れてしまった。

ゼロは俺だよ、俺と言わんばかりに、ショウの頭にかぶりついた。ショウの頭から血がピューと流れても、嬉しそうだった。


「俺になんか用か!ショウ。ちょっとした事情で、ピンクドラゴン型アンドロイドに入ってるんだ。あまり、男にジロジロみられるのは好かんぞ。」


ショウはピンクドラゴンがショウだとわかると、頭にかぶりついている、ゼロを床に投げ飛ばし、すかさず蹴り上げ、壁にシュートした。

「このカスが、女子受け狙ってるんじゃね~よ。ペッ!」


ゼロは壁から這出ると、フラフラとしながらわざと、ショウのすねに頭突きをかました。ショウはたまらず片足でケンケンしながらバランスを崩し、倒れこんだ。ゼロはそこに大声で話ながら火を吐いて見せた。


「目が回ってる。気持ち悪いな~ゴン!!!」

「いっつつてーーーててて!バタン」

「気持ち悪いなーアッ!!!ショウ!じゃないか!オッエーゴゴゴッゴー!」


「あちちちち!気持ち悪いふりして炎を吐くじゃねーくそゼロめ!」


「あーごめん、ごめん!わざとだから気にするなショウ!で俺に用か!」


ショウは昨夜、吸血鬼がオーナーのクラブ近くの裏通りの路地で起きた事件の顛末を話した。そして、なにやら、異世界人と地球人間でかい事件が起こっていると伝えた。その件で、研究所にいくなら、エドナー部長から、ゼロを犯罪対策本部に呼び戻してと頼まれたからついでに聞いてみたそうだ。


「で!何か!、怪我をおった2名の男は救急隊に運ばれたっていうのは聞いているが!お前は魔法少女2人を保護して、ジュドーは医薬品会社の女重役を確保してるだとー!」


「あの娘たちの安全のために、寝ないで保護してたんだよ。・・・詳しくは触れるなよ。守ってたんだからな!」


こいつはやっぱり性犯罪者だと確認しつつ、ゼロは事件についてわかったことが、まず知りたかった。

「とりあえず、なんで襲われたか、わかったのか!ちゃんと聞きだしたんだろうな。」


「そりゃもちろん。あんなことや、こんなことをして、すべて俺のことが好きになるぐらいまで調教してやったよ。もとい!!やさしく聞き出したんだ。やさしく!!当り前じゃないか!ゼロ!」


ダメだコイツとおもっても、まだ、ガマンできると、自分に言い聞かせるゼロだった。

「人狼グループにマジックアイテムと武器を売る予定だったんだって。なんでも、武器やアイテムを持ち歩けないぐらい、人狼グループはマークされてたらしく、当日決行前に、渡す手はずだったんだってさ。だから、少し前に、クラブ近くで武器ブローカーにマジックアイテムを納めようとしたら、情報が漏れて、武器ブローカーと用済みになった情報屋が襲われたんだって。」


「魔法少女は前もって、武器ブローカーに渡せば怖い目にあわなかったのになー!」


「なんでも、襲撃当夜に深夜に魔法少女が武器を運んでるなんて思われないから、武器ブローカーの作戦だったんだって。でも、手配した情報屋からダダ漏れしてこのありさま!」


「少女たちはどこだ。今から、犯罪対策課が保護するから身柄をよこしてくれ!」


「それより、ジュドーの確保した医薬品会社の女重役の方を対処した方がいいぞ!でかい組織犯罪がらみだぞ!少女たちはこの研究所に預かってもらった方がメリットがありそうなもんでな!まずは、サラ所長に会わせないと!」


ショウはそういうと、サラのもとに向かうのであった。


ゼロはもやもやしながら、犯罪対策室に連絡をして、ジュドーの動きについて問い合わせるのであった。

すると、いきなりオペレーターが別の回線にまわすと伝えた。


「ゼロー今どこだーーー!」

「エドナー部長!さっき出かけるときに言ったじゃないですか。サラの研究所ですよ。」

「悪かった。わしも昨日は徹夜だったんでな。お疲れさんなんじゃよ。それより、すぐもどってこい、犯罪対策本部会議を始めるぞ!今回のジュドーが持ち込んだ山は世界を揺るがすぞー!」


「怪我した情報屋と武器ブローカーの件に関係あります?」


「もっとでかい山だぞ。異世界人との保護協定破りから異世界戦争が起こるかもしれんぞ!早く戻ってこい!」


世界が不穏な空気に包まれる前兆を感じ始めるゼロだった。ゼロは娘に一度、本部に戻ると伝え研究所をあとにした。


ショウはというと、サラがいる部屋に入っていった。

「こんばんわんこ!サラちゃんいるー!ショウのお兄ちゃんが来たよー!」


まわりのスタッフとSKIES-ANGELたちは鬼いちゃんが来たってさーと後ろ指を刺しながら、気持ち悪い顔をした。

「何がお兄ちゃんじゃい!本当の兄でもないくせに!この外道が!」


サラは一蹴して見せた。


「そういうなよ。サラと俺との仲だろ!」

「どんな仲だよ。お前が壊した研究機材の修理費2000万返してくれるのか!」

「その節はどうもすいませんでした。謝罪は済んだし!まー堅いこと言うなよ。今日はいい情報を持ってきたんだ。まずこれを見てよ!」


また、怪しい物を持ってきやがってぐらいに思っていたサラの顔が変わった。


ショウがサラのために持ってきた2体の人形が、光る不思議な粉をかけると宙に浮き始めた。そして、次にショウは小さな水晶の光を浮いている人形にあてると、人形は勝手に踊りだした。


「すごいだろ!妖精の国に伝わる妖精の粉みたいだろ。それにこっちの水晶は魂を入れるまではいかないが、この人形を作った人の魂が人形にのり移るマジックアイテムなんだってさ。」


「どうしたのショウ。このおとぎの国の人形は!そうじゃなくて、それらのマジックアイテムはどこで手に入れたの!」


ショウは勝ち誇ったようにサラの耳元で囁いた。

「魔法使いの人形と錬金術師の人形はいりませんか。」


次の瞬間、手品のように二人の魔法少女がサラとSKIES-ANGELの前に姿を現したのであった。

ぼちぼち更新します。

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