【第一部】20話
ここはこの繁華街では有名なヤクザさんの事務所。
確か大前田一家というヤクザさんの傘下だった筈・・・
「まじでここなの!?」
俺は親父に確かめる。すると親父は当然といったような表情で「そうだ」と答えた
親父がドアノブを回し中に入る。それに続くように恐る恐る中を見渡した。
8畳程の部屋には立派の木目調のテーブルが真ん中に置かれている。
それを囲むように茶色いソファーがありそこに1人の男性が座っていた。
それと奥にも部屋があるらしくそのドアの所にも1人男が立っていた。
「よう!久しぶりだな!!」
親父がソファーにもたれ掛かっている男に挨拶している。
その男は慎重180cmくらいで綺麗な黒いスーツに身を纏い、左目の上辺りには切り傷のような跡が残っていた。
その男は野太い声で答えた。
「おう!秀ちゃん待ってたぞ。まぁ座れよ」
(秀ちゃん・・・まぁ親父の名前は秀一だからか。)
「悪いな。おい、翔もはやく座れ」
俺は親父に促され親父の横に座った。
ギシッと軽く音をたてなが沈むソファー。
テーブルを挟んで合い向かいにすわっているヤクザさんが徐に口を開いた。
「この子が秀ちゃんの子供かぁ。大きくなったもんだな。お前が3歳頃の時にはよく遊んだもんだが」
そう言われたが俺にはまったく記憶に無かった。
まぁ、幼い頃の記憶などそんなものだろう。
俺が記憶を呼び起こそうとしている間にヤクザさんが奥の扉の所にいる男に外に出ているように促している。
そして、完全にこの部屋には俺と親父とヤクザさんの3人となった。
「功ちゃん忙しい所申し訳なかったな。電話で話した通り翔を視てやってくれないか?」
このヤクザさんは功ちゃんと言うらしい。
「別に組長の座についてからはそんな忙しい事は滅多にねえしかまわねーよ。」
組長なのか!
なんだか心の中で親父の顔の広さに少々驚いた。
「えっと・・・宜しく御願いします」
俺が功ちゃんにそう言うと功ちゃんは「そんな堅くなる事ねーから」と言ってくれた。
「俺は何をしたらいいですか?」
「別に何もしなくていいさ。ただ手だけ握れば後は俺が視る」
功ちゃんはそう言うと俺の左手の握りだした。
「俺が霊視してる間は何も喋らずに目を閉じてリラックスしてろ。」
俺は言われるがままに目を閉じた。
功ちゃんの手の温もりだけが伝わってくる。
特にこれといって身体に変化があるモノでもくただただ時間だけが通り過ぎた。
ふと、功ちゃんが声を上げる。
「徐々に見えてきたぞ。暗いな。ここは何処かの小屋の中か?」
親父がそれを聞き功ちゃんに質問を問いかける。
「そこには杭に注連縄がついてる部屋じゃないか?」
「そうそう。5本の杭があって真ん中に鞘の無い剥き出しの刀?小太刀か?まぁそれを囲うように注連縄がされてるな。」
「そこだ!今功ちゃんが視てるのはうちに封印してある奴の視界だ。今日から4日前の奴の視界まで捕らえる事はできるか?」
「やってみるわ」
また少しの沈黙が続いた。
「ん?何か壊したような変な音が聞こえたな。」
その瞬間親父に緊張が走る。
「ドアが開いたぞ。なんだか視界がぼやけていてよく見えないが、コートを着てるな。多分男だ。何かそいつが喋ってるがよく聞こえん。」
「身長とか他に特徴はないか?」
「身長は170cmくらいか。む!?そいつの周りに突然黒い煙のようなモノが包み込んだぞ。」
「なんだって!?・・・・そういう事か、奴は封印されているから外には出れないがその男に呪いを掛けて操ろうとしているのかも知れん」
「何か聞こえるぞ。見・・つけ出せ・・・そして・・・・連れてく・・るのだだってよ」
「なんとなく分かってきたよ。奴の企みが。功ちゃんもういいぞ。それ以上は危ないかも知れん」
すると功ちゃんは俺の手を離し、目を開けていいぞと言った。
俺はこの一連の話を聞いていて何かひっかかるモノがあった。
「とにかく注意しなきゃいかんのはコートの男か。」
親父はそう言いながら考え込んでいた。
コートの男・・・・。
最近どこかで見たような・・・・。
170cmくらいでコート・・・。
俺も考え込んでいると功ちゃんが喋りだした。
「それとそのコートの男は黒い鞄を持っていたな」
!!!
それを聞いた瞬間に俺の中で何かが弾けた。
その男って夢に出てきた奴だ!
夢の中だと確かそいつはG神社で熊さんと沙織ちゃんを・・・・
俺は直感的にこれが偶然などでは無いと思った。
「親父!すぐにG神社に戻ろう。車の中で説明するからすぐに!なんだか嫌な胸騒ぎがする」
親父は俺の剣幕に驚きながらもすぐに出る準備をしてくれた。
「功ちゃん今日はありがとな。また近いうちに遊びにくるわ」
「いつでも来いよ。気をつけて行ってこい」
俺も功ちゃんに頭を下げて親父と共に駐車場へ急いだ。




