閃光と
なんかみたことある、これ。
あれだ。三つ編みのあの女の子のアニメ映画だ。
胸元で光る、小さな宝玉
震えるように、浮かび上がってきている
服の下に身につけていたはずなのに、いつの間にか、服の外に出ているし
ひかりは、なんだかわたしを包み込むように、広がってきた。
あ、ジョルジェさまがガッチガチに怯えてる
女神さまに怒られたとでも思ってんのかな。
大丈夫、わかるよ。これ、怒ってるとかじゃないから。
むしろなんか、強烈な謝意を感じる。
女神さまっていいやつなのかもしれない?
いやいやいや、あんなことしてくれた人だよ?
いろんな思いが出たり入ったりする。
でも、感じるのは、ぎゅっと抱きしめられているような、感じ。
心地よい、うっとりするような空気の中で、半ば夢現
ジョルジェさまが、こっちに寄ってくる。
目が怖い。
めちゃめちゃビビってる。
ガッチガチで、うごきがおかしい
見ていたらつい、笑っちゃったゴメン
ちょっとブルブルと震える手で、わたしを抱きしめてくれた。
わあ、めがみさまにもジョルジェさまにも抱っこされるとかなんてすてき。
とろとろ、ふわふわ、きもちいい……
しかし気づけば、はぁはぁ、と、荒い息遣い。
あ、笑っちゃったりしたけど、もしかしれこれジョルジェさま本当にきついやつか
「いなく、ならないで」
途切れ途切れの声で、耳元で囁かれた。
ん? どういうこと
心地よい、うっとりするような空気の中で、半ば夢現になりながら
そのこえの、意味することを、噛み締めた。
眠ってしまう直前の、あの、ふわふわした感じに似てる、この、きもちよさ
いなく、ならないで。
え、わたしが?
「いっちゃ、だめです」
「いや、どこにもいかないし」
「だめです」
すごい必死だ。
なんか、シュンって冷えた。
一瞬で、ふわふわ感が消えた。
「いかないいかない。なんで?」
はぁはぁ、と、激しい息切れの中、ジョルジェさまが答える
「女神、さまに、つれていかれるかと、おもい、まし、た」
いやいや、ないし。
気づけば光が、弱くなってきている。
なんだったんだろう。
全く訳がわからない。
++++++++++++++++++
完全に光が消えた後、ジョルジェさまは椅子にぐったりと座ったまま、動けなくなっていた。
水薬を持ってきてもらって飲んでもらったけど、“そういうやつじゃ効かない” らしい
なんでも “高濃度の女神のお力の直撃” だったそうで。
よくわからないけど、わたし自体もなんだかちょっとすごい威圧感が出ているらしい
普通にしてる、っていうか、さっきのフワフワ感でむしろいつもよりふにゃふにゃしてるのに
これは、この宝玉はやっぱり「女神の涙」とか言われてる伝説のうんぬんカンヌンなんだろうか
以前に神殿の偉い人に尋ねてみたことがある
この石はなんですか、って。
そのときには “高濃度の神力がつまっている” ということしかわからなかったのだけど
“長高濃度の神力がつまっているもの” として、その名を聞いたのだった。
「女神の涙」という、所有者を生涯守り、死後は別のものに変化すると言われている宝玉だ
以前にみつかったそれは、所有者を襲撃からも災害からも守り、
所有者の死後には美しい水晶の白鳥の彫刻になり、王家に飾られているとのことだったけど
平和にのんびり暮らしているわたしにはなんの危機もなかったので効果はわからなかったのだ
椅子に座りこんでゼーハーゼーハーと、試合後のボクサーみたいになっているジョルジェさま
いつもは、わたしがあんまりに脆弱だと迷惑をかけているのに、今日は逆でちょっと楽しい
変にテンションが上がってしまっているところもある気がするけど
よしよし、と、頭を撫でてあげたら、上目遣いでこっちをみてきた
「あかりさまは平気なのですか? あんな、神気のなかで」
うん、ちっともっていうか、もう、お酒飲んだみたいに気持ちよかったけどなぁ
「平気ですよ。気持ちよかったです」
うわー、とも、うぇーも言えるような顔で、まじまじとみられた。
いや、そんな顔されるようなことだったの?
「我々よりも繊細だと思っていたのですが、我々よりも遥かに強いところもあったのですね…」
いやめずらしいな、みょうな嫌味っぽいこと言われたわ。
「というより、あかりさまはいつもこんな気分でいらっしゃったのですね……」
ああ、そうね、いつもわたしがみんなより弱くて馬車で潰れたりするもんね
げれんげれんのジョルジェさまなんて確かに初めてみるかもしれない。
この世界の人たち、あんまり病気もしないし、怪我もすぐに治っちゃうんだよね
「我々は、強すぎる神気の中では生きていけないのです」
「なんで?」
「神に作られたもの、だからですかね? 根本から崩されるような気になります」
よくわからないけど、そういうことなのか
「あなたが、連れ去られるのかと思いました。女神の世界へ、もしくは元の世界へと」
そう言って、ジョルジェさまは、泣き出してしまった。
泣きながら、途切れ途切れに、謝罪を呟いている
なに? どうしたっていうの???




