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あなたとみた、あの星空に。  作者: 半崎いお
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こんかい

「どういうことなのでしょう」

再び共に暮らすようになったシェリスの温かい毛並みに包まれながら、

わたしは数年来の疑問をジョルジェさまに問いかけた

わたしがいわゆる聖女、としてこの地に来てから、7年。

ついでに言えば、ジョルジェさまと再結婚してから4年。

その間、十分な時間が流れているのに

前回あれほど恐れていた “疫病” が来る気配がない。

全く、ないのだ。


どこかで突然大量に人が死んだ、という話も聞かないし

こないだみたいな検疫所が悪に蝕まれているなんて話も聞かない。

むしろ、検疫所のおかげで病気を治してもらっただの、石鹸のおかげで病が減っただの

そんな嬉しい報告が昇ってくるだけだ(これに関しては誰かさんが止めている可能性はある)



わたしは平和に、人と会う暮らしを続けているだけだし

ジョルジェさまはわたしのそばで護衛を続けてくれている

あらたに潰れた村の話など持ち上がってきてもいないし

王太子も大人しく何かを妨害されたとかの大きな問題は聞こえてこない



その代わりに、最近「風の病」と呼ばれるちょっとした病気が蔓延しては、いる。

この世界にはなかった病気

現代風にいうなら普通に「風邪」だ。

手を替え品を替え、ちょっとずつ症状を変えては流行する、お馴染みの、あれだ。



ちょっと熱が出て、咳が出て、一日二日調子が悪くて、お腹を壊したりして、すぐ治る

そんな、“ちょっとした病気”

検疫所で止めるほどのこともない、軽度な疾病。

この世界には存在しなかった、そんなちょっとした病気が、現れたのだ。



たしかに、“風邪をこじらせて死ぬ” ような人がいないわけではない。

しかし、あの疫病のように大部分の人が重症化して死ぬような病では、決してない。



「どういうこと、といわれてもだな……」

ジョルジェさまが困っている。でもわたし知ってるんだ。

「何か隠し事をされておりませんか?」

今日こそは逃さないんだから。



あんまりにも上手くいき過ぎている。

わたしが必死に搾り出して伝えた情報をすべて、わたしよりも5年前からしっていた、としても

女神からのご信託が本当にあったとしても

だとしてもあんまりに、上手くいき過ぎているんだ。


ジーーーっと見つめると、目を逸らす。

絶対に怪しい。


そんな権力を持った立場なのにも関わらず、この人は本当に嘘がつけない。

“あなたの前でだけですよ” なんていうけど、本当に偉い人できてるのか不思議なほどだ



「本当にですか?」また、目を見つめながら問うてみる「ほんとーぅに、知りませんか?」

「知りません」

「ほんとに? なにも?」

「しりま……せん」

また目を逸らす。

絶対に何か隠してる。



「ひとつも? 絶対?」

「……はぃ……」

「嘘つきは女神さまのバチが当たりますよ」

「あたりませんよ。めg……あ」

「今何か言いかけた!!」

「そんなことないです!」



そんなやりとりを何度か続けているうちに、ジョルジェさまが、ポツリポツリと、口を開き始めた


「会って、しまったんです」




+++++++++++++++++++++++++++++




わたしが、一瞬だけ見た、真っ白い部屋

ジョルジェさまはあそこで、女神さまとお話しされた、と、いうことだったのだ。



「あの人が女神さま……」

俄には信じられないようなお話しなのに、なんだかしっくりくる。

そのお話の内容は女神さまとのお約束とのことで詳しくは教えてもらえなかったが、

今度はわたしを閉じ込めないように、多くの人に触れ合うようにと告げられたとのこと…



……やっぱり、という気もする。

そいつのせいでわたしはあんな目に遭っていたのだろう。

あんな、め。

なんども、なんども、なんども、ころされ、た、あれ



不思議と、遠い話のようにも思える

意外に、最近の話のようにも、思える

でも、いまだにリアルにも思い出せる、あれ。



そして、流されていた女神さまの、涙。



そのとき、唐突に

わたしの胸元から強烈な光が

溢れ出したのだった。


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